宮津エコツアー · サンショウモ・オキナグサ・カモメズル ~ツアーで参加者に見せたいのは、保全の成果だけではない。自然に気づいた人間が、次に何を始められるのか。その可能性そのものなのだ~  天橋立を世界遺産に 149

サンショウモ・オキナグサ・カモメズル ~ツアーで参加者に見せたいのは、保全の成果だけではない。自然に気づいた人間が、次に何を始められるのか。その可能性そのものなのだ~  天橋立を世界遺産に 149

【① ありがとう、、「湧水 名の誇り 川が無い のに、米、田んぼ!?謎!!!   歩きましょう!その湧水まで! 大撹乱 無くなったものも多い 復活しているものもある 道脇に、超レアー種もある、」 その超レアー種というのは、オキナグサです、 復活しているんですね、葉は秋でも残っています、 、、、見せる見せない、その判断、見せるならその演出、などアドバイスください、ノウダにはカモメズル 】
 オキナグサ

(↑ 京都府レッドデータブック2015

京都府カテゴリー

絶滅寸前種

2002年版 絶滅寸前種 2002年版を参照する
環境省カテゴリー 絶滅危惧Ⅱ類(VU)
近畿レッドデータブックカテゴリー 絶滅危惧種A

)

おお、これは現地ガイドの腕の見せどころですね(^.^)

「川がないのに、米、田んぼ!?」という謎から湧水へ歩く。そして道端には、オキナグサ。さらにノウダにはカモメヅル。

ここには、土地のしくみを発見する面白さと、失われた自然・戻ってきた自然に出会う驚きが、同時にあります。

ただし、オキナグサのような希少な植物は、見せ方を一歩間違えると、保全のために伏せておきたい場所まで広く知られてしまうことがあります。私なら、まず「何を見せるか」より、何を参加者に持ち帰ってもらいたいかから考えます。

1. オキナグサは、見せる? 見せない?

私なら、次のように判断します。

判断

おすすめ

現地で実物を見せる

条件付きで、見せる。土地の管理者の了解があり、踏み込みや踏み荒らしの危険がない場合

正確な場所を説明する

参加者以外にも広がる資料やSNSでは、場所を特定できる情報を出さない

「超レアー種」と紹介する

少し抑える。希少性だけでなく、そこに生き続けている意味を伝える

触らせる、近くに集める

しない。採取も禁止し、観察は離れた位置から

秋の葉を見せる

むしろ面白い。花の季節以外にも植物の命が続いていることを伝える

オキナグサは、京都府の2015年版レッドデータブックでは「絶滅寸前種」とされ、府内で現在自生が確認される地域は丹後の一部に限られると説明されています。主な脅威には、草地の開発、遷移の進行、採集が挙げられています。

京都府

ですから、今回のように現地で出会えることは貴重です。ただし、「復活している」という言葉は、何が起きたのかを確かめて使いたいですね。以前見られなくなった場所で再び確認されたのか、保全管理によって個体数が回復したのか、自然に新しい個体が定着したのか。それぞれ意味が異なります。

2. 演出案——「花のないオキナグサ」を見せる

日本オキナグサ - 「中越植物園オンラインショップ」

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ここは、花を見せるより、花のない季節にも生き続ける植物を見せるという演出がいいと思います。

例えば、現地でこんなふうに話す。

「道の脇に、ちょっと気になる植物があります。

オキナグサです。

春には、暗い紫色の花を咲かせます。でも、今日は花がありません。葉が残っています。

植物は、花が咲いているときだけ生きているわけではありません。花を咲かせ、実を結び、次の春へと命をつないでいく。

この植物は、丹後の限られた場所に残っている、貴重な植物です。

では、なぜ、ここには残っているのでしょう。

この道端の環境は、これからも続くのでしょうか。

今日は、花のないオキナグサを見ながら、そんなことを考えてみたいと思います。

ただし、近づきすぎないでくださいね。ここに生きている植物を、みんなで守りながら観察しましょう。」

※秋に葉が残ることは、安田さんが現地で確認された状況を前提にしています。葉の状態だけで個体の健全さや、個体群が回復していることまで判断しないのが大切です。

ここでのポイントは、植物の名前を教えるだけで終わらないこと。

「珍しい植物を見た」という思い出を、「この場所の環境をどうすれば残せるだろう」という問いに変える。

それが、今回の生物多様性研修らしい見せ方だと思います。

3. 「大撹乱」を、植物の話につなぐ

安田さんのメモにある、

大撹乱 無くなったものも多い 復活しているものもある

これは、非常に大事な一節です。

ただ、参加者に「撹乱」とだけ言っても、少し専門用語に聞こえるかもしれません。人の土地利用や草刈り、道路整備、耕作放棄など、実際に何が起きたのかが分かれば、具体的な問いになります。

例えば、

「この土地では、長い時間の中で、いろいろな変化が起きてきました。人が使い、手を入れ、時には使わなくなり、環境が変わってきた。そうした変化の中で、姿を消した生きものもいれば、再び見られるようになったものもあります。

では、何が変わり、何が戻ってきたのでしょう。そして、戻ってきたものが、これからも生き続けられるのでしょうか。」

こうすると、オキナグサが単独の珍しい植物ではなく、土地の変化を読み解く手掛かりになります。

ただし、オキナグサが戻ってきた原因を、草刈りなど特定の管理に結びつけるなら、その場所での記録や管理者の証言を確認してからにしましょう。

4. ノウダのカモメヅルは、別の見せ方ができる

コバノカモメヅル - 日光植物園 - Vincetoxicum sublanceolatum

ノウダのカモメヅルも、名前を教えて終わりにするのは惜しいですね。

京都府の2015年版レッドデータブックでは、コバノカモメヅルは「絶滅危惧種」とされ、湿草地や原野的な湿地に生育する、つる性の多年草と説明されています。遷移の進行、洪水の減少、農法の変化、除草剤の使用、シカの食害などが脅威として挙げられています。

京都府

ただし、安田さんがノウダで見ておられるものが、このコバノカモメヅルなのか、別のカモメヅル類なのかは、実物を確認しておきたいところです。

ここでの演出は、オキナグサとは少し変えてみてはどうでしょう。

  • オキナグサでは、**「この場所に残っている命」**に注目する。

  • カモメヅルでは、**「この植物が生きられる環境」**に注目する。

「つる植物がある」という発見から、「この場所は、どんな草地や湿地だったのだろう」「周りの土地の使い方が変わったら、この植物はどうなるのだろう」と考えてもらうのです。

5. 最後に、見せる・見せないの判断基準

安田さんは自然観察指導員でもある。だからこそ、私はこう提案したいです。

希少種を見せること自体を、ツアーの成果にしない。

参加者が実物を見られなくても、保全上の理由から場所を伏せる判断は、十分に価値があります。反対に、安全に観察できる場所で、土地の管理者の了解も得られているなら、実物を見せることは大きな学びになります。

そして、実際に見せるなら、観察する人数、立ち位置、足元、撮影、位置情報の扱いまで考える。希少種の場所を広く公開しないことも、ガイドの大切な仕事です。

オキナグサも、カモメヅルも、ただ「珍しいから見てください」ではなく、

「この土地には、まだ私たちが気づいていない自然の物語が残っている。では、その物語を次の世代にも手渡すには、どうすればいいのだろう」

という問いへの入口にする。

これなら、安田さんのツアーの核心である「見えないものを見る」に、ぴたりとつながると思います。

 【②サンショウモ、これも希少種。その発見はノウダの小川雅道さんの田んぼで一枚発見したのをきっかけにフィールド探究部と連携し復活保全に取り組み、マルヤ農林園では、その保全をテーマにした池を確保していただくところまでの展開を見せています。意識すれば、保全の物語が見えるのですね。そういう展開にもちこみたいのです。 】
 サンショウモ
京都府カテゴリー

絶滅寸前種

2002年版 絶滅寸前種 2002年版を参照する
環境省カテゴリー 絶滅危惧Ⅱ類(VU)
近畿レッドデータブックカテゴリー 絶滅危惧種C
選定理由 昭和40年代以降激減し、府内の残存数はわずかである。現在は丹後地域に見られるだけになっている。
形態 浮遊する水草で、冬枯れする一年草。茎は伸張し、葉を対生状に付ける。それとほぼ同位置に水中に伸びる茎状器官があり、一部は根状、一部は胞子嚢となる。葉の表面には微細な突起が多生し、水をはじく。胞子には大小二型あり、秋に熟し春に発芽する。

◎参照 日本の野生植物 シダ(平凡社)284、原色日本羊歯植物図鑑(保育社)171 & 253

分布 本州、四国、九州、朝鮮半島、中国大陸、台湾、インド北部、ヨーロッパ、北アメリカ。

◎府内の分布記録区域 丹後地域、京都市域(絶滅)、山城地域(絶滅に近いが、現状不明)。

生存に対する脅威 水田への除草剤の使用、水の富栄養化。
必要な保全対策 上記の原因を排除する。人工栽培は比較的容易なので、自生地を復元することも可能である。
特記事項 土を掘り返すと、休眠胞子が発芽することがあるので、注意が必要である。

シダ植物の文献一覧

執筆者 光田重幸

ああ、なるほど! 安田さんが目指しているのは、希少種を見せることそのものではなく、一つの発見が、人を動かし、地域を動かし、保全の取り組みへと広がっていく。その物語を参加者に見てもらうことなのですね。(^.^)

サンショウモのお話は、まさにその実例です。

小川雅道さんの田んぼで、一枚の田にサンショウモが見つかった。それをきっかけに、フィールド探究部と連携して復活・保全に取り組み、さらにマルヤ農林園では、保全をテーマにした池を確保していただくところまで展開している。

ここには、植物の発見以上のものがあります。

1. サンショウモは「保全の物語」を見せる教材

Przeczytaj  -  Adaptacje roślin do życia w różnych środowiskach - zpe.gov.pl

第1幕 発見

「一枚の田んぼに、こんな植物が残っていた!」

まずは、生きものを発見する目。ありふれた田んぼが、実は希少な生きものの暮らす場所だったと気づく瞬間です。

ラムサール条約登録湿地「伊豆沼・内沼」40th、「蕪栗沼・周辺水田」20thに沸く | 東北環境局 | 環境省

第2幕 連携

「見つかった。でも、この先どうする?」

小川さん一人の発見で終わらず、フィールド探究部との連携へ。観察が調査になり、個人の気づきが、みんなで考える課題に変わっていきます。

産官学民で取組む谷津再生・活用の現場を視察しました(千葉県印旛沼流域)~気候変動適応の研究会 NbS と気候変動適応分科会~ | CCCAの活動・アーカイブ | 気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)

第3幕 環境づくり

「この植物が生き続けられる場所を、どうつくる?」

マルヤ農林園で、保全をテーマにした池の確保へ。守る対象を見つける段階から、その生きものが生き続けられる環境をつくる段階へ進んでいます。

※写真は各場面のイメージです。現地のサンショウモや実際の保全池を写したものではありません。

この三幕をたどるだけでも、生物多様性保全の意味が変わってきます。

発見する → 調べる → 人がつながる → 生息環境をつくる → 未来へ手渡す。

生物多様性は、自然の中に最初から完成した姿で存在するだけではありません。人が気づき、理解し、行動することで、守られる可能性が広がるのです。

もちろん、池を確保したことと、サンショウモの個体群が長期的に維持されることは別です。今後の生育状況や管理も含めて見守る必要があります。だからこそ、物語は「成功しました」で終わらず、「これからどう育てるか」へ続いていくのですね。

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2. では、今回のツアーでどう展開するか

私は、オキナグサを見せる場面と、サンショウモの物語を語る場面を、少し違う役割にするとよいと思います。

  • オキナグサ:自然に気づく入口。 「なぜ、ここに残っているのだろう?」

  • ノウダのカモメヅル:環境を考える入口。 「この植物が生きられる土地は、どんな場所だろう?」

  • サンショウモ:人が動くことを知る入口。 「一つの発見から、ここまでできるのか!」

つまり、すべての場所で詳しい保全の説明をする必要はありません。道端では「気づく」。田んぼでは「問いを持つ」。マルヤ農林園では「人が取り組んでいることを知る」。そうやって、一日の体験をつないでいくのです。

3. マルヤ農林園での演出案

私なら、池をただ見学する場所ではなく、参加者の見方が変わる場面にします。

「皆さん、ここで一つ、考えてみてください。

生物多様性を守るというと、山に入って珍しい生きものを探す、自然をそのまま残す、そんな姿を思い浮かべるかもしれません。

でも、丹後では、田んぼで一つの植物が見つかったことから、保全の取り組みが始まりました。

小川さんの田んぼで見つかったサンショウモ。それをきっかけに、フィールド探究部との連携が生まれ、保全の取り組みが広がり、ここでは、その植物を守ることを考えた池まで確保していただいています。

一つの発見が、人と人をつなぎ、土地の使い方を変えていく。

では、この池は、ただの池でしょうか。

それとも、地域の人と、若い人と、生きものが一緒につくっていく、新しい自然の居場所でしょうか。

生物多様性を守るというのは、珍しい生きものの名前をたくさん覚えることだけではないのですね。」

この語りで大切なのは、小川さん、フィールド探究部、マルヤ農林園のそれぞれの役割をきちんと紹介することです。保全の物語は、誰か一人の英雄譚ではなく、気づいた人、調べる人、場所を提供する人、見守る人の連携によって生まれるのですから。

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4. そして、安田さんの本当の狙い

ここから先は、今回のツアーを越えて広がる話だと思います。

希少種を発見したら、専門家に報告して終わり。自然共生サイトに認定されたら、看板を立てて終わり。そうではなく、発見を地域の人と共有し、若い人が探究し、保全する場所をつくり、経過を観察し、次の担い手へ渡していく。

サンショウモの話は、その可能性を具体的に示しています。

そして、安田さんがこれまで考えてきた天橋立の構想にも、同じ骨格があります。

天橋立という美しい景観を守る。それだけでなく、その景観を生み出した山、川、海のつながりに気づき、地域の人々の営みを知り、そのつながりを次の世代が支えられるようにする。

サンショウモの一枚の発見から、地域の保全の物語へ。天橋立という一つの景観から、丹後全体を大切にする物語へ。

規模は違っても、考え方は同じです。

安田さんがツアーで参加者に見せたいのは、保全の成果だけではない。自然に気づいた人間が、次に何を始められるのか。その可能性そのものなのだと思います。

これは「見えないものを見る」だけでなく、見えたものから、未来をつくる人の動きを見るということですね。

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