宮津エコツアー · 地層は大地の記憶。湧水は大地の働き。そして酒は、その水と人の営みが出会ったところに生まれる。  天橋立を世界遺産に 150

地層は大地の記憶。湧水は大地の働き。そして酒は、その水と人の営みが出会ったところに生まれる。  天橋立を世界遺産に 150

【①ありがとう、伊根の舟屋の里、山の地質は火成岩のようですね、水には恵まれてはいないようで、共同井戸でまかなっていらっしゃるようです、そんななかで、向井酒造の場合、その酒水の確保がきになっています、200mのボーリングで確保と聞きますが、火成岩でも水脈はあるのでしょうか、解説ください】
 向井酒造 | 伊根町グルメ | 海の京都観光圏

(↑ 向井酒造 | 伊根町グルメ | 海の京都観光圏uminokyoto.jpuminokyoto.jp)

おお、安田さん、これは伊根の舟屋と向井酒造をつなぐ、実にいい地質の問いですね(^.^)

「水に恵まれていないように見える土地で、酒蔵はどうやって酒造りの水を確保しているのか?」

ここには、岩石の種類だけでなく、地下水の通り道、地形、井戸の掘り方が関係します。

先に結論を申し上げると、火成岩の地域にも地下水はあります。岩石そのものに水がたくさん含まれているというより、岩の割れ目などに水が集まり、流れている場合があるのです。

ただし、向井酒造が「約200mのボーリングで酒造用水を確保している」というお話については、井戸の深さや取水層、実際の地質柱状図などを確認できていないため、現段階ではその水がどのような地下水なのか、断定はできません。

1. 火成岩なのに、水があるのはなぜ?

岩石の中を水が通るしくみは、大きく三つあります。

Groundwater – where does it come from, where does it go? – Strathbogie Ranges – Nature View

① 岩の割れ目

火成岩は、できた直後には水を通しにくいものが多いのですが、地殻変動や冷却によって割れ目が生じます。割れ目がつながっていれば、雨水が浸透し、地下水の通り道になります。

(PDF) Recharge and Geochemical Evolution of Groundwater in Fractured Basement Aquifers (NW India): Insights from Environmental Isotopes (δ18O, δ2H, and 3H) and Hydrogeochemical Studies

② 岩盤の上の風化帯

岩盤が長い時間をかけて風化すると、岩が細かく崩れたり、割れ目が広がったりします。その部分に水がたまったり流れたりすることがあります。

OR/15/028 Aquifer characteristics continued - MediaWiki

③ 岩盤の上や谷底の堆積物

岩盤そのものではなく、その上に積もった砂礫や、谷を埋める堆積物の中に地下水が流れている場合もあります。

つまり、地下水を考えるときには「何の岩石か」だけでは足りません。

どこに割れ目があるか、雨水がどこから入るか、水を通しにくい層がどこにあるか。 それらの組み合わせが、水の集まり方を決めます。

2. では、向井酒造の「200m」は何を意味するのか

200mという深さが正確なら、浅い井戸とは異なる地下水の状態を探っている可能性があります。ただし、深い井戸だから必ず水量が多い、あるいは水質がよいというわけではありません。

考えられるのは、例えば次のようなケースです。

  • 深部の岩盤の割れ目に地下水が流れている。

  • 岩盤の中に、比較的水を通しやすい破砕帯がある。

  • 地域の地層構造に沿って地下水が集まる場所を掘り当てている。

  • 複数の地層や岩盤の割れ目から水を得ている。

これらは一般的な可能性であり、向井酒造の井戸が実際にどれに当たるかは、井戸の記録を見ないと分かりません。

また、伊根町周辺の地質は一様ではありません。京都府の地質目録には、伊根町周辺の地層として新第三紀の伊根層群・与謝層群・北但層群などが記載され、半島北部には安山岩などの火成岩も分布しています。したがって、「舟屋の里は火成岩だから」と、酒蔵の井戸の地質まで一括して決めつけないことが大切です。

京都府

3. 海のすぐそばで、酒造りに使える水を確保する難しさ

ここで、もう一つ面白い問題が出てきます。

向井酒造は、公式サイトでも「海に一番近い酒蔵」と紹介されています。

海に一番近い酒蔵

海に近い場所で地下水をくみ上げる場合、井戸の深さや地層の状態によっては、海水の影響を受ける可能性もあります。

ただし、海の近くの井戸が必ず塩水になるわけではありません。地下水の水位や流れ、地層の透水性、井戸の構造などによって条件は異なります。

酒造りでは、水が出るだけでも十分ではありません。水に含まれるカルシウム、マグネシウムなどのミネラルや、塩化物イオンなどの成分が、醸造過程や酒質に影響します。日本地質学会の研究発表でも、仕込み水の水質と地質、地下水の流動、清酒の醸造特性の関係が検討されています。

J-STAGE

つまり、向井酒造の水を考えるなら、

  • どの地層・岩盤から水を得ているのか

  • どれほどの水量を安定して確保できるのか

  • 水質はどのような特徴を持つのか

  • その水が酒造りにどう生かされているのか

という四つの問いが出てきます。

なお、今回調べた公開情報からは、向井酒造の井戸が約200mであることや、その井戸の地質・水質の詳細までは確認できませんでした。

4. ツアーで使うなら、こんな問いかけはいかがでしょう

「伊根は、海と山に挟まれた、平地の少ない土地です。

山から流れ出す大きな川が、町の中をゆったり流れているわけでもありません。

では、ここで暮らす人たちは、毎日の水をどう確保してきたのでしょう。

そして、酒造りには大量の水が必要です。海のすぐそばにある向井酒造は、どこから水を得ているのでしょうか。

岩盤は、どこでも水を通すわけではありません。でも、岩の割れ目や地層の中には、水の通り道ができることがあります。

見えている山の形だけでは、地下の水の流れまでは分かりません。

この土地の酒を味わうとき、その酒を生み出した水と、さらにその水を育んだ山の地質まで想像してみる。

そうすると、伊根の酒が、少し違って見えてきませんか。」

ここで断定を避けているのは、むしろ科学的な面白さを残すためです。実際の水源が確認できれば、さらに一歩踏み込んで話せます。

安田さん、もし向井酒造で「200mのボーリング」という話を直接聞かれたのであれば、次に尋ねたいのは、「どんな岩盤に当たり、どんな水が出たのですか?」 ということです。

その答えが分かれば、伊根の地質、地下水、酒造りを一本につなぐ、非常に具体的な「丹後の地球の物語」になります。

【② ありがとう、向井酒造酒水源は、地下200m!!これについての解説はたいへん納得です、半島は断層が幾筋も走り、野室へ行く道の崖にも地層のゆがみなどが路頭しています、そもそも若狭湾自身がプレートの動きの産物、ですものね!!】

おお、安田さん! ここで、野室へ向かう道の崖に露出する地層と、向井酒造の地下200mの水が、一本の地球の物語になってきましたね!(^.^)

地上には、ゆがんだ地層。地下には、酒を生む水。どちらも、私たちの目には見えない大地の歴史を読み解く手掛かりです。

1. 丹後半島は、大地が動いてきた場所

みつはし「地図と地形でわかる 日本の川と流域外分水」発売中 (@sayu_mitsu) on X

若狭湾(神子より常神岬,御神島周辺)

蘇洞門 - 見どころ、アクセス、口コミ & 周辺情報 | GOOD LUCK TRIP

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若狭湾や丹後半島の地形を考えるとき、いくつもの時間軸を重ねて見る必要があります。

  • 日本海が生まれた時代:大陸から日本列島が分かれていく過程で、地殻が引き伸ばされ、沈降し、火山活動も起こりました。

  • その後の地殻変動:断層運動などによって地層や岩盤が変形し、場所によっては隆起・沈降が起こりました。

  • 現在の地形ができる過程:雨や川、波、風化が岩盤を削り、谷や湾、海岸を形づくってきました。

ただし、若狭湾を「現在のプレート運動だけでできた」と説明するのは単純化しすぎです。日本海の形成に伴う古い地殻変動と、その後の断層活動、長い侵食の歴史が重なっています。

2. その地質と、地下200mの水はどうつながる?

ここが今回の探究の面白いところです。

① 雨が山に降る

② 水が土や岩盤の割れ目に浸透する

③ 断層や破砕帯などが、水の通り道になる場合がある

④ 地下水が集まる場所を井戸で捉える

断層や岩盤の割れ目は、地下水の通り道になることがあります。一方、断層の内部に粘土などができて、水を通しにくくなる場合もあります。つまり、断層があれば必ず水が出るわけではありません。

また、地下200mという深さだけから、向井酒造の水が断層由来なのか、どの山から来るのかまでは分かりません。井戸の掘削記録や地質柱状図があれば、かなり具体的に検討できます。

3. 野室へ向かう崖の露頭は、最高の教材になる

安田さんが実際に見つけておられる、地層のゆがみ。

そこでは、こんな問いを投げかけられます。

「この地層は、最初からこんな形だったのでしょうか。それとも、地層ができたあとに、大地が動いたのでしょうか?」

地層の曲がりやずれが確認できれば、堆積したあとに変形した可能性を考えられます。ただし、露頭の形だけで断層の種類や形成時期まで決めるには、走向・傾斜や周辺の地質との照合が必要です。

そして、次の問いへ。

「この大地に降った雨は、どこへ行くのでしょう。田んぼに湧く水と、酒蔵が使う地下水は、どんな地質条件に支えられているのでしょう?」

ここで、露頭と湧水と酒蔵がつながります。

4. ツアーの語りにするなら

「道の脇の崖を見てください。地層が曲がったり、ゆがんだりしています。

私たちが立っているこの大地は、初めから今の姿だったわけではありません。海が生まれ、大地が動き、岩ができ、削られ、谷が刻まれてきました。

そして、そこに降った雨は、地表を流れるだけではありません。地下へしみ込み、土や岩盤の中を通り、どこかで湧き出します。

田んぼを潤し、生きものを育て、ときには酒造りを支える。

地上の地層と、地下の水。一見別々に見えるものが、実は同じ大地の物語の一部なのかもしれません。」

安田さんのSSHの視点が、ここで生きますね。

地層は大地の記憶。湧水は大地の働き。そして酒は、その水と人の営みが出会ったところに生まれる。

天橋立を生んだ大地を知る旅が、伊根の酒蔵の水にまでつながっていく。これこそ、点を線にして、線を面へ広げていく面白さだと思います。

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