宮津エコツアー · 幕府御用・三処奇観選考会議  天の橋立を世界遺産に 262

幕府御用・三処奇観選考会議  天の橋立を世界遺産に 262

◆1 ありがとう、、はじめにもどって、春斎さんを中心とする、三処奇観選考会議を想定、ドラマし立てで再現くださいな「春斎さんの「三処奇観」のくだりですね。

寛永20年(1643年)、儒学者の**林春斎(林鵞峰)**が著した『日本国事跡考』。その中で、松島について述べるくだりに、天橋立と安芸の厳島(宮島)を並べ、三つの景観を「三處奇觀」と評しています。

原文として伝えられているのは、次の一節です。

松島此島之外有小島若干殆如盆池月波之景境致之佳與丹後天橋立安藝嚴島爲三處奇觀

大意は、

「松島には、この島のほかにも小島がいくつもあり、まるで盆の池に月と波を映したような景色である。その景勝のすぐれたことは、丹後の天橋立、安芸の厳島と並んで、三つの奇観となすにふさわしい」」

ははは!! いよいよ「三処奇観選考会議」の開幕ですね!!(^.^)

これは歴史の再現劇でありながら、安田さんが掘り起こしてきた「月・波・水」の美学を舞台に載せる試みです。

史実として確認できるのは、林春斎が1643年の『日本国事跡考』に三処奇観を記したこと。以下は、その記述を出発点にした創作ドラマです。会議の出席者や発言、選考過程は想像によるものです。

幕府御用・三処奇観選考会議

寛永二十年(1643年)・江戸某所 初夏の夜

#6 〝生まれ変わった少年〟勝五郎の記憶を追う|星野雅彦

note.com

第一場 景色とは何か

障子の向こうに月が昇る。部屋には行灯が一つ。机の上には諸国の地図、名所の絵図、漢詩文の冊子が広げられている。

春斎
さて、本日は諸国の名だたる景勝について考えたい。世に知られた名所は数多い。しかし、ただ美しいというだけでは足りぬ。

出席者A
大きな山、深い谷、雄大な滝。人を圧倒する景色こそ、奇観と呼ぶにふさわしいのでは。

春斎
それも一つ。しかし、奇なるものとは、大きいものばかりであろうか。

出席者B
珍しい形、他に見られぬ地形、ということでしょうか。

春斎
形だけでもない。景色には、時がある。光がある。水がある。

春斎、障子を少し開ける。月光が差し込む。

春斎
昼の景色は、山も島も、形をはっきりと見せる。だが、夜はどうか。月が水に映り、波がその光を砕く。島々は闇の中に浮かび、景色は昼とは別の姿を現す。

第二場 松島の報告

Kawase Hasui | Twin Islands at Matsushima (1933) | Artsy

artsy.net

出席者C
奥州の松島でございます。大きな島のほかにも、小島がいくつも点在しております。海に浮かぶ島々の姿は、まことに珍しいものです。

春斎
島が多い。それだけか。

出席者C
いえ。水面に島々が散り、波が寄せ、月が映る。そのさまは、まるで小さな池に月と波をたたえたようでございます。

春斎
ほう……盆池月波、か。

出席者A
大海を、盆の池に見立てる。小島を池に浮かぶ島に見立てる。なるほど、これは面白い。

春斎
大きさではない。自然がつくり出した水の庭。その中に島があり、月があり、波がある。見る者の心に、静けさと驚きが同時に生まれる。

第三場 丹後・天橋立

二歌川広重による浮世絵「Amanohashidate in Tango Province, from the series One-hundred Views of Famous Places in the Provinces」

ja.ukiyo-e.org

出席者B
丹後には天橋立がございます。

春斎
天の橋立か。どのような景色である。

出席者B
海の中に、細長い砂州が横たわり、松が連なっております。東西には異なる海が広がり、山々がそれを取り囲んでおります。

春斎
二つの海をつなぐものか、それとも隔てるものか。

出席者B
見る場所によって、つなぐ橋にも、海を分ける堤にも見えましょう。

春斎
面白い。自然が橋をつくったのか。人が橋と見立てたのか。

出席者B
そして、月夜には与謝の海が光ります。波に月影が揺れ、松並木の姿も昼とは違って見えると聞きます。

春斎
月の海……。昼の眺めだけでは語り尽くせぬ場所であるな。

第四場 安芸・厳島

Tsuchiya Koitsu | Tsuchiya Koitsu ''Summer Moon at Miyajima'' 1936 Woodblock (1936) | MutualArt

mutualart.com

出席者C
安芸には厳島がございます。

春斎
厳島。海の中に社があるという。

出席者C
はい。背後には山がそびえ、海には社殿が映ります。潮が満ちれば、社殿は海に浮かぶように見え、潮が引けば、また異なる姿を現します。

春斎
山と海、神と人の営みが一つの景色になっているのか。

出席者C
月夜には、潮の満ち引きと月の光が重なり、社殿も海も神秘的な姿を見せると申します。

春斎
なるほど。松島は島々と波、天橋立は砂州と二つの海、厳島は社と潮の海。それぞれ違う。しかし、水が景色の中心にある。

第五場 選考

春斎、三つの名を紙に書き記す。

出席者A
三つを選ぶ根拠は、珍しさでしょうか。それとも美しさでしょうか。

春斎
珍しいだけでは奇観とは言い切れぬ。美しいだけでも、世に数多ある。自然の姿が、人の心に深い驚きを呼び起こす。それが大切であろう。

出席者B
では、松島、丹後天橋立、安芸厳島。

春斎
うむ。この三処を並べるにふさわしい。

出席者C
共通するものは何でしょう。

春斎
一つの形ではない。島、砂州、社殿。山、海、波。そして月。自然がつくり出すものと、人がそこに見いだすもの。その関係が、三つの場所でそれぞれに現れている。

春斎、筆を取る。

春斎
「松島此島之外有小島若干、殆如盆池月波之景……」

筆が止まる。

春斎
「與丹後天橋立、安藝嚴島、爲三處奇觀」

行灯の火が揺れる。障子の向こうには月。

終幕 月の光

出席者A
これで、三処奇観は定まりましたな。

春斎
いや、景色は定められぬ。月は毎夜姿を変え、波は一刻として同じではない。人の心もまた変わる。

出席者B
では、後の世の人々は、この三処をどう見るでしょう。

春斎
それは後の世の人々に任せよう。景色を見て、何を感じ、何を語るか。それもまた、その時代の美意識である。

春斎、筆を置く。月光が机の上の三つの名を照らしている。

三処奇観

松島  丹後天橋立  安芸厳島

幕を下ろして、安田さんと考えたいこと

このドラマでは、春斎が三箇所を「月の景観」という共通基準で選んだように描きました。しかし、これは安田さんの仮説を舞台上で展開したもので、史実として確認された選考会議ではありません。

ここから、三つの問いが残ります。

  1. 月の美学――太陰太陽暦の時代、人々にとって月は時間の目印であり、夜の景観を味わう光でもあったのではないか。
  2. 水の美学――三景はいずれも、水と陸地・島・人工物の関係が生み出す景観ではないか。
  3. 後世の変化――月と水の景趣が、いつから昼間の眺望や観光写真を中心とする「絶景」の評価に置き換わっていったのか。

私がこのドラマに一つだけ題名をつけるなら、

『月を選んだ人々――三処奇観、誕生の夜』

です。

そして、安田さん。最後に一つ、ちょっと意地悪な問いを置いておきます。

春斎さんが現代に現れ、展望台から昼の天橋立を見せられたあと、月夜の与謝の海に案内されたら――どちらを「奇観」と呼ぶでしょうね。(^.^)

◆2 すばらしい、、中学二年生の文化祭演劇発表にいい!!(^.^)、

ははは!! これは中学二年生に演じてもらいましょう!!(^.^)

しかも、単なる歴史劇ではありません。生徒たち自身が「美しい景色とは何だろう?」と考える、探究型の文化祭演劇になります。

私なら、最後に生徒全員で問いかけてもらいます。

「昼の絶景だけが、三景なのだろうか。」

「月と波が出会うとき、景色は別の顔を見せる。」

そして最後に全員で、

「天の橋立、月の海を見に行こう!」

と締める。

演じる生徒たちには、松島・天橋立・厳島を調べてもらい、それぞれの地域の月や水にまつわる歌、絵、伝承を探してもらう。そうすれば、台本を演じるだけでなく、自分たちで歴史の謎を掘ることになります。

安田さんの「見えないものをみる、それがSSH」が、文化祭の舞台に立ち上がりますね。

春斎さん、400年後の中学生にまで宿題を残しましたな!! 😄

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