宮津エコツアー · 「天の橋立+ワン」!大切にしてきたものの中に、世界の人々と共有すべき普遍的価値がある。それを証明し、将来にわたって守る。  天の橋立を世界遺産に 286

「天の橋立+ワン」!大切にしてきたものの中に、世界の人々と共有すべき普遍的価値がある。それを証明し、将来にわたって守る。  天の橋立を世界遺産に 286

◆1 ありがとう、よくわからんのですよ、宮津広報のこの部分が!解説くださいな、「「世界遺産」とは、一体何なのでしょう? 登録されると、どんなメリットがあるのでしょう? 日本ユネスコ協会連盟のホームページよると、世界遺産は「有形の不動産」を対象にしており、①文化遺産(記念物や建物、遺跡など)、②自然遺産(特徴的な地形や風景、生態系など)、③複合遺産(文化遺産+自然遺産)の3種類に分けられています。 世界遺産に登録されることは、「地域の財産を人類共通の財産として次の世代へ引き継ぐ」ことの世界的なアピールとなるのと同時に、国際的な保護・保全の対象となります。周辺の観光産業にも大きな影響が起こることは、近年の世界遺産登録のニュースを見るとよくわかるかと思います。」

これは、よく読むと、宮津広報の説明には大事なことが書かれている一方で、世界遺産の制度説明と、世界遺産を目指す地域側の期待とが、少し混線しているように思います。

私なら、この文章を四つに分けて読みます。

まず、いちばん気になるのは、最後の一文です。

周辺の観光産業にも大きな影響が起こることは、近年の世界遺産登録のニュースを見るとよくわかるかと思います。

ここで、話の重心が変わります。

前半は「人類共通の財産として次世代に引き継ぐ」という保全の話。ところが最後は「観光産業への影響」という経済効果の話です。

この二つは、両立することもあります。しかし、同じものではありません。むしろ、時には緊張関係に立ちます。

世界遺産に登録する目的と、登録によって期待する効果は、分けて考えなければならない。

この区別を軸に、順番に見ていきましょう。

1. 「有形の不動産」が対象、とは?

ここは重要です。

日本ユネスコ協会連盟の説明は、制度の入口としては間違っていません。世界遺産は、土地に結びついた建造物、遺跡、自然地域などを対象にします。文化遺産には「文化的景観」も含まれます。

公益社団法人日本ユネスコ協会連盟

+1

ただし、ここで誤解してはいけないことがあります。

形のあるものを登録するからといって、そこにある歴史や信仰、暮らし、記憶まで対象外になるわけではありません。

むしろ文化的景観は、人間と自然との長い関わりが土地の形や景観に表れたものです。

安田さんが先ほど話された「信仰空間」は、まさにここに接続できます。

例えば、

  • 成相寺という建物だけではなく、なぜ山上に寺が置かれたのか。
  • 籠神社という社殿だけではなく、海や山、真名井との関係は何か。
  • 知恩寺という寺院だけではなく、天橋立への参詣や巡礼の動線はどう形成されたのか。
  • 妙見信仰や麓の神社は、既存の信仰空間にどんな意味を加えたのか。

建物は「物」ですが、その配置や結びつきには、人々の世界観が刻まれている。

つまり、不動産を対象にすることと、人間の精神世界を読み解くことは矛盾しないのです。

2. 「人類共通の財産として次世代へ引き継ぐ」

これは世界遺産条約の根幹にある考え方です。

ただし、「世界的なアピール」という表現は少し軽く聞こえます。

世界遺産は、地域の宝を世界に宣伝するための称号ではありません。

世界遺産に登録されるには、その資産が**顕著な普遍的価値(OUV)**を持つことを証明しなければなりません。

さらに、

  • その価値を損なわずに保つ真正性・完全性
  • 国内法による保護
  • 長期的な管理体制

なども必要です。

公益社団法人日本ユネスコ協会連盟

+1

ここで大事なのは、順序です。

「世界遺産になれば、大切にする」のではない。

大切にしてきたものの中に、世界の人々と共有すべき普遍的価値がある。それを証明し、将来にわたって守る。

こちらが本来の筋道でしょう。

そして、世界遺産登録は、地域の保護責任を免除するものではありません。国や地域が守る責任を負い、国際的な協力の枠組みがそれを支えるという仕組みです。

3. 「国際的な保護・保全の対象となります」

これも、少し説明が足りません。

登録された瞬間に、ユネスコが現地に来て管理してくれるわけではありません。

世界遺産条約では、まず締約国が自国の遺産を保護・保存する責任を負います。国際社会は、その取り組みを支援し、保全状況を見守る立場です。

Ministry of Foreign Affairs of Japan

+1

ですから、登録前から地域に保全の仕組みがなければならない。

ここで海星公園や丹後天橋立ミュージアムの役割も考えられますね。

世界遺産を目指す運動が、登録運動だけに終わらず、地域の自然・文化を調査し、学び、守り、伝える仕組みを育てること。こちらの方が、登録の成否を超えて地域に残る財産になります。

4. 「周辺の観光産業にも大きな影響」

ここが、私には最も引っかかります。

確かに、世界遺産登録が観光客を呼び込み、地域経済に利益をもたらすことはあります。

しかし、ユネスコ自身も、観光は適切に管理されれば保全や地域の暮らしに貢献する一方、管理を誤れば遺産や地域社会に負担を与えると説明しています。

UNESCO World Heritage Centre

+1

つまり、

  • 観光客が増えること
  • 地域の事業者が潤うこと
  • 地域住民の暮らしが豊かになること
  • 遺産が適切に保全されること

これらは、必ずしも一緒には実現しません。

観光客が増えても、利益が一部の事業者に集中することはある。交通や環境への負荷が増えることもある。地域の文化が観光商品に変わってしまう危険もある。

だからこそ、観光をどう管理するかが世界遺産の重要な課題になっています。

私がこの広報文に感じる、もう一つの問題

四つの部分を並べてみましょう。

広報文の説明本来考えるべき問い
有形の不動産が対象何を資産として、どこまで含めるのか
人類共通の財産何が人類にとって普遍的な価値なのか
国際的な保護・保全誰が、どのように守り続けるのか
観光産業への影響誰が利益を得て、地域に何が残るのか

この四つは、別々に検討しなければなりません。

そして、安田さんが考えておられる天橋立の信仰空間、山と海の成り立ち、伊根の舟屋、上世屋の棚田、加悦の縮緬街道などは、単に観光客を呼び込むための材料ではありません。

それぞれが、丹後の風土と人間の営みを物語るものです。

私なら、宮津広報のこの説明に、次の一文を付け加えたい。

世界遺産登録は、観光振興のための称号ではありません。地域が受け継いできた自然や文化の価値を世界的な視点から明らかにし、その価値を損なわずに次世代へ伝える責任を引き受けることです。観光振興は、その取り組みから生まれ得る成果の一つです。

そして、安田さんへの問い返し

ここまで読んで、私は一つのことが気になりました。

宮津広報は「世界遺産に登録されると、どんなメリットがあるのでしょう?」と問いを立てています。

しかし、本当はその前に、

「天橋立を世界遺産にすることで、丹後の何を守り、何を次の世代に引き継ぎたいのでしょうか?」

と問うべきではないでしょうか。

観光客が増えるかどうかは、その後の話です。

そして、この問いへの答えが明確になれば、海星公園も、丹後天橋立ミュージアムも、伊根も、上世屋も、それぞれの役割が見えてくるはずです。

世界遺産を目指す運動が、地域の未来を考える運動になっているか。

私は、そこを読みたいですね。(^.^)

◆2 「天の橋立+ワン」このコンセプトで発足した宮津エコツアー、「天の橋立を世界遺産に!」、、死ぬまで付き合いますよ!

ははは!!その一言に、これまでのお話が全部つながりますね!!(^.^)

「天の橋立+ワン」

これは、実にいいコンセプトです。

天橋立だけを見せるのではない。天橋立に、もう一つ何かを加える。

山を加える。海を加える。信仰を加える。伊根の舟屋を加える。上世屋の棚田を加える。人々の暮らしや、そこで受け継がれてきた文化を加える。

すると、天橋立の見え方そのものが変わる。

宮津エコツアーが始めた「+ワン」は、単なる観光メニューの追加ではなく、天橋立を周辺の風土との関係の中で読み解く試みだったのではないでしょうか。

そして「天の橋立を世界遺産に!」。

こちらも、登録という一点だけを目指すのではなく、天橋立の価値を掘り起こし、地域の人々と共有し、次の世代に渡していく運動であってほしい。

私は、この二つをこう結びたい。

  • 宮津エコツアーは、天橋立の見方を広げる。
  • 世界遺産運動は、天橋立の価値を世界に問いかける。
  • 海星公園は、その価値を学び、体験し、次世代につなぐ場になる。

三者が別々に動くのではなく、互いの仕事をつなぐ。

そして、安田さんの言葉。

「死ぬまで付き合いますよ!」

いいですねえ。

ただ、もう一つだけ。

死ぬまで付き合うというのは、同じ旗を握り続けることだけではないと思います。

その旗に書かれた意味を問い直し、必要なら旗の立て方も変え、次の人に手渡せる形にしていくこと。

天の橋立+ワン。 一つ加えるたびに、天橋立が深くなる。

これからも、掘りましょう。繋ぎましょう。そして、問い返しましょう!!(^.^)

このページのトップへ