さらに一歩、SSHするなら「変なもの」を探す~10月17日に、京都府生物多様性センター企画ツアーのコースガイド~ 天橋立を世界遺産に 134
2026年10月2日 in 世屋・高山ガイド部会 by yasuda | No comments
![舟屋の里公園からの伊根湾夕暮れ 写真素材 [ 4148868 ] - フォトライブラリー photolibrary](https://www.photolibrary.jp/mhd7/img255/450-2012062014095157298.jpg)
(↑舟屋の里公園からの伊根湾夕暮れ 写真素材 [ 4148868 ] – フォトライブラリー photolibrary photolibrary.jp)
おお、これはまさに**「バスをSSHの教室にする」**コースですね。(^.^)
しかもテーマが「自然、人、生業」。海星公園 → 伊根 → 野室 → 世屋川 → 上世屋なら、単なる名所案内ではなく、海から山へ一本の環境・暮らしのつながりを読み解く旅にできます。
私なら、10月17日は「たくさん説明する」より、参加者の頭の中に“問い”を仕込むことを中心にします。
まず、一本の問いを置く
出発時に、こんな問いを渡します。
「海の町・伊根と、山の上・上世屋は、ほんとうに別々の場所でしょうか?」
そして最後に上世屋で、
「今日、海と山がつながっている証拠を、いくつ見つけましたか?」
と返す。
これだけでも、バスから見えるものが全部「教材」になります。
バスの窓を「観察窓」にする
今回のコース、実はすごく面白いです。
海星公園 → 伊根湾 → 野室 → 世屋川沿い → 上世屋
という移動は、
海 → 海と山の境界 → 川 → 山 → 山の暮らし
を一本でたどります。
つまり地図を見せなくても、
「私たちは今、海から山へ移動しています」
というだけで、地形の授業が始まる。
そこで、車内では説明を詰め込まず、
「見つけてください」
を連発するのがいいと思います。
たとえば――
① 海が見えたら
「海を見てください。
では、海だけを見ないでください。
海の後ろに何があるでしょう?」
→ 山。
「では、その山から海まで、何が下っているでしょう?」
→ 川・沢・道路・集落。
ここで、
山 → 川 → 海
という最初の線を引く。
伊根では「舟屋」をゴールにしない

(↑ 舟屋の里から雪の高原 宮津エコツアー)
舟屋の説明をして終わると、普通の観光ガイドになります。
ここではむしろ、
「なぜ、ここに人は住んだのでしょう?」
と問いかける。
海がある。
山が迫っている。
平地が少ない。
湾がある。
魚がいる。
舟を使う。
そして家と海が直接つながる。
つまり、
自然条件 → 生業 → 住まい
という順番で見てもらう。
そして、
「この舟屋は、自然を克服して作ったのでしょうか。
それとも、自然に合わせて作ったのでしょうか?」
これ、かなりSSH的です。
野室への道では「人がいないこと」を教材にする
ここ、私はかなり重要だと思います。
伊根の舟屋は「人の営み」が目に入る。
ところが野室へ向かうと、だんだん人の気配が薄くなる。
そこで、
「さっきまで人の暮らしが濃かったのに、今は何が濃くなってきましたか?」
と聞く。
森林。
斜面。
沢。
谷。
植生。
すると、
人がいる/いない
ではなく、
人の暮らしと自然の境界がどう変化しているか
を見るようになる。
これは「自然、人、生業」という今回のテーマにぴったりです。
そして世屋川
ここからが、安田さんの真骨頂でしょう。(^.^)
世屋川を見つけたら、
「この川は、どこから来たでしょう?」
と聞く。
もちろん上世屋のさらに上。
そこで、
「では、私たちは今から、この川を逆上りしていきます」
と言う。
これだけで旅の意味が変わります。
伊根では海から山を見る。
世屋川では川を見ながら山へ入る。
そして最後は、
上世屋=川の源流側
に着く。
つまり、
海から山へ行く旅ではなく、
海から、川を逆流して、山の暮らしまで行く旅
になる。
これは相当強いです。
バスから見える「変化」を5つだけ拾う
全部説明しようとしない方がいいと思います。
参加者に、
「今日は五つの変化を見つけてください」
と最初に言ってしまう。
例えば、
① 海の見え方
湾 → 外海 → 海が見えなくなる
② 山の距離
遠い山 → 迫る山 → 谷の山
③ 川
海 → 河口 → 川 → 沢
④ 土地利用
舟屋・漁業 → 集落・農地 → 森林
⑤ 人の気配
港 → 集落 → 道路沿いの暮らし → 山の暮らし
そして最後に、
「この五つは別々の話でしょうか?」
と聞く。
ここで参加者自身に、
「いや、全部つながっている」
と気づいてもらう。
さらに一歩、SSHするなら「変なもの」を探す
これ、安田さんらしくて面白いと思います。
車窓に、
- 石垣
- 石積み
- 水路
- 古い橋
- 田んぼ
- 放棄された農地
- 杉林
- 雑木林
- 崩れた斜面
- 防護柵
- 堰
- 小さな社
- 道路脇の地蔵
- 変わった地名
などが見えたら、
「あれ、何だと思います?」
で止める。
答えをすぐ言わない。
「分からない。だから調べる。」
これがSSH。
そして「上世屋」に着いたら、答え合わせをしない
ここが大事だと思います。
「今日見たものはこういう意味でした」
と先生が全部まとめてしまうより、
「伊根から上世屋まで来ました。
海から山まで、ずいぶん景色が変わりましたね。
でも、海と山は本当に別々だったでしょうか?」
と問い返す。
そして、
魚 → 人 → 舟 → 湾 → 川 → 田んぼ → 森 → 水
という循環を参加者自身に組み立ててもらう。
そして、最後に「砂」を一粒
これは安田さんのテーマにつなげられます。
上世屋で、
「ここにある土や石は、いつか川を下って海へ行くかもしれません。」
と。
さらに、
「伊根で見た海も、上世屋の山と無関係ではありません。」
ここで初めて、
山 → 川 → 海
を実感させる。
そして天橋立まで知っている人には、
「では、海へ出た土砂は、その後どうなるのでしょう?」
と次の問いを残す。
これで、
上世屋 → 世屋川 → 宮津湾・阿蘇海 → 天橋立
という、安田さんがずっと掘ってきた「山と海」の物語の入口まで持っていけます。
ただし、ここでは**「世屋川が天橋立を作った」とは言わない**。
「山から海へ物質が運ばれる」という大きな仕組みを感じてもらうところまでで十分です。
そして、今回のツアーのタイトル、
「丹後 伊根・上世屋に自然、人、生業を訪ねる」
を、私はこう読み替えたいです。
「自然、人、生業を三つ別々に訪ねる」のではない。
むしろ、
自然が人の生業をつくり、
生業が景観をつくり、
人の営みがまた自然を変え、
その結果として今の丹後がある。
それをバスの窓から読み解く。
これなら、安田さんの役割は「伊根や上世屋を詳しく説明するガイド」ではなく、
「参加者が自分で丹後を読み始めるようにするガイド」
になります。
そしてこれ、昨日まで話していたカッパドキアにも直結します。
「岩がすごい」ではなく、
岩 → 水 → 人 → 暮らし → 生業 → 信仰 → 景観
を一つの風景として読む。
10月17日は、その丹後版SSHの実験日にできますね。(^.^)
【②天橋立も里山も、わたしには、「小さな花の歌」なのです、なので,長江の浜も、本庄の浜も、。「小さな花の歌」は流域のソウルソング!!なのです。】

ああ……そういうことでしたか。(^.^)
天橋立も、世屋の里山も、長江の浜も、本庄の浜も、みんな同じ歌を歌っている。
それが、安田さんのいう「小さな花の歌」なのですね。
浜辺に立てば、砂がある。 山に入れば、土がある。 川をたどれば、水がある。 田んぼには、人が手を入れてきた時間がある。 そして、その一つひとつに、小さな生きものや草花が暮らしている。
一見、別々の景色です。でも、流域という大きなつながりの中で見れば、どれも同じ物語の一節になる。
「小さな花の歌」は、花だけの歌ではない。
山の水も、川の石も、浜の砂も、そこに暮らす人も、みんなが参加する歌。
だから、天橋立の白砂青松も、上世屋の棚田も、長江の浜も、本庄浜も、単独の名所として切り取るのではなく、流域の歌として聴くことができる。
そして、ここが大事だと思うのです。
流域のソウルソングは、誰かが作曲したものではない。長い時間をかけて、自然と人が一緒に歌ってきたもの。
その歌は、いつも同じ旋律ではありません。山の荒れ方も、川の流れも、海岸の姿も、人の営みも変わる。だからこそ、歌い継ぐには、耳を澄ませ、変化を感じ取り、次の世代に手渡す人が必要になる。
10月17日のツアーも、そう考えると、少し違って見えてきます。

伊根の舟屋で、海辺の暮らしの節を聴く。 世屋川をさかのぼり、山の水と田畑の節を聴く。 上世屋で、森や棚田に残る、人と自然の長い掛け合いを聴く。
ガイドは、歌の意味を一方的に解説する人ではなく、参加者がそれぞれの耳で、その歌を聴き始めるきっかけをつくる人なのかもしれません。
そして、安田さんの言葉を借りれば――
天橋立を守ることは、天橋立だけを守ることではない。 その歌が生まれ、今も歌われている流域を大切にすること。
うん。これは、単なる自然観察のテーマを超えていますね。
「小さな花の歌」――流域のソウルソング。
この言葉、10月17日のガイドの心の中に、そっと置いておくとよさそうです。 説明のための標語にするより、参加者と一緒に景色を見ているとき、ふと口をついて出る。そんな言葉として。(^.^)
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