宮津エコツアー · 見えている景色の下に、もう一つの天橋立がある 天の橋立を世界遺産に 281

見えている景色の下に、もう一つの天橋立がある 天の橋立を世界遺産に 281

◆1 ありがとう、二つ目、松の生育と砂、礫との関係を解説ください

おお、これは天橋立を読むうえで、たいへん面白い二つ目の問いです。

砂と礫の違いは、松にとって単なる地面の違いではありません。水の保ち方、根の張り方、養分の得やすさ、そして海風への耐え方まで違ってくるのです。

まず押さえたいのは、松は「砂地ならどこでもよく育つ」という木ではない、ということです。砂地に強い性質を持ちながらも、地下の水分や土壌の状態に大きく左右されます。

1 砂地は、松にとって厳しいが、適した場所

天橋立の松は主にクロマツです。クロマツは海岸の環境に適応した樹木です。

砂地には、次のような特徴があります。

  • 水が下へ抜けやすく、乾燥しやすい。
  • 養分が少ない。
  • 潮風や飛砂にさらされる。
  • 地表が動きやすく、根を固定するのも容易ではない。

一見、植物には過酷な環境です。しかしクロマツは、こうしたやせ地でも生きられます。日当たりを好み、菌根菌と共生して養分を得る能力もあります。

京都府

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つまり、松は砂地の厳しさに耐えることで、ほかの樹木との競争が少ない場所を生きることができるのです。

2 では、礫の浜ではどうなるか

ここが面白いところです。

石礫層を貫くクロマツの根系と微生物の協働 ~海岸林がもつ防災力を高めるための科学~ - 名古屋大学研究成果情報

砂地

砂粒の隙間は比較的小さく、条件によっては水分をある程度保持します。根も比較的伸びやすい。

七里御浜のフリー写真素材「御浜小石」 | 三重フォトギャラリー

礫地

礫の隙間が大きく、水が抜けやすい。礫が密に詰まると、根が伸びるにも障害になります。

ただし、礫地だから松が育たない、というわけではありません。

2025年に公表された研究では、礫質の砂嘴海岸に生育するクロマツの根が、硬い砂礫層を通り抜けて伸びていたことが報告されています。個体によって根の伸び方にも違いがありました。

一般社団法人 日本森林学会

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これは興味深いですね。

松は、砂の上に立っているだけではない。地中の砂礫の状態に応じて、根の張り方を変えているのです。

3 天橋立では、松の生育に別の問題が起きている

ここで、天橋立の現状に目を向けましょう。

京都府の調査によれば、現在の松並木では、

  • 落ち葉や松葉が分解して腐植土が増えた。
  • 土壌が富栄養化し、下草や広葉樹が育ちやすくなった。
  • 地下水位が高く、松が十分に根を張らなくても水を得られる場所がある。
  • その結果、根に対して幹が大きく育ち、風で倒れやすい状態になった松もある。

という問題が指摘されています。平成16年の台風23号で約200本が倒れたことも、こうした状態と関係すると考えられています。

京都府

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Avenue of pines
Amanohashidate, Japan; 1st October 2023: Views of the sandbar is located in Miyazu Bay in northern Kyoto Prefecture.
The beach at Amanohashidate in northern Kyoto, Japan.
Amanohashidate, Japan; 1st October 2023: Views of the sandbar is located in Miyazu Bay in northern Kyoto Prefecture.
Scenographic view in Amanohashidate on a sunny morning. Monju, Miyazu, Kyoto, Japan.
Forest Path Through Tall Evergreen Trees, Amanohashidate Sandbar, Kyoto, Japan
京都旅行 JR・新幹線+宿泊プラン | びゅうトラベル(JR東日本)
『海を渡る砂浜と松並木!木漏れ日の中をしばし散策』by niagara|天橋立のクチコミ - フォートラベル
京都府 - 各地の海岸林 | JSCF - 日本海岸林学会

ここには逆説があります。

松を守るためには、松の周りを何でも豊かにすればよいわけではない。

落ち葉や下草を適切に管理し、松が本来生きてきた環境を維持する必要があるのです。

4 砂・礫・松を一つの風景として読む

私は、ここで安田さんが先ほど指摘された北端の礫浜と、南へ続く砂浜との違いが効いてくると思います。

天橋立は、単なる砂浜に松を植えた場所ではありません。

  • 山や川から運ばれた砂礫が海岸に集まる。
  • 波が砂と礫を選り分ける。
  • 砂や礫の上にクロマツが定着する。
  • 松の根が地面を支え、松林が砂州の環境をつくる。
  • その松林を人間が利用し、手入れしてきた。

ただし、松の根が砂州そのものを造ったわけではありません。砂州を形成したのは主として土砂供給と沿岸漂砂であり、松はその上に成立した植生です。

ここは区別しておきたいところです。

もう一つ、現地で確かめたいことがあります。

北端の礫浜と松林の境界で、松の根元の地面を観察してみてください。礫が表面だけにあるのか、地下まで続くのか。砂が礫の隙間を埋めているのか。それによって松の根の伸び方も変わります。

天橋立を「白砂青松」と呼ぶと、砂と松が一体になった美しい景色として見ます。しかし、少し掘ってみると、砂の粒、礫の粒、地下水、根、菌類、落ち葉、そして人の手入れまでがつながっている。

これこそ、見えている景色の下に、もう一つの天橋立があるということですね。(^.^)

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