◆1 サザンカと紅葉は恋人同士、見つめ合ってうっとり紅くなる!!
はははは!!(^.^)
これはいいですねえ。
サザンカは、冬の入口で花を咲かせる。 紅葉は、秋の名残を惜しみながら葉を染める。
片や花、片や葉。 咲く時期が重なり、互いの紅に見とれている。
サザンカや 紅葉に恋し また紅く
いや、安田さんの一句のほうが似合うかな。
「サザンカと紅葉は恋人同士、見つめ合ってうっとり紅くなる!!」
植物生理学も顔負けの、なかなかロマンチックな受粉ならぬ紅葉理論ですな!🍁🌺
ありがとう、この「紅葉現象を」植物生理学から、解きほぐしてくださいな
ははは!(^.^) では、サザンカと紅葉の恋物語を、今度は植物生理学の顕微鏡で覗いてみましょう。
面白いことに、紅葉は単に「寒くなって葉が赤くなる」という現象ではありません。植物が冬を迎えるために、葉の中で行う大仕事なのです。
1.まず、葉っぱの色は三つの色素で決まる
クロロフィル(葉緑素)
緑色
光合成を担う色素。太陽光を受けて、水と二酸化炭素から糖をつくる働きをします。
カロテノイド
黄色・橙色
緑色の葉にもともと含まれている色素。クロロフィルが分解されると、その色が目立ってきます。
アントシアニン
赤色・紫色
秋に新たにつくられる色素。モミジの鮮やかな赤色の主役です。
森林研究・整備機構
+2
つまり、黄葉は「緑色が消えて、隠れていた黄色が現れる」。紅葉は「緑色が消えていく過程で、新たに赤色がつくられる」。
ここが大きな違いです。
2.なぜ秋になると色が変わるのか
季節が進み、気温が下がり、昼夜の寒暖差が大きくなる。
すると植物の葉では、次のような変化が起こります。
- 光合成の仕組みが変わる。 気温低下などに伴い、葉緑素の再生産が止まり、クロロフィルの分解が進みます。
- 葉の中の栄養を回収する。 葉に含まれる窒素などを、枝や幹などへ移して、翌春に備えます。
- 色素のバランスが変わる。 黄色いカロテノイドが目立ったり、赤いアントシアニンが合成されたりします。
気温、昼夜の温度差、日照、水分条件などが色づきに影響します。だから年によって紅葉の時期も色合いも違うのですね。
日本植物生理学会
+1
3.では、赤くなることには意味があるのか?
ここが植物生理学の面白いところです。
かつては、赤いアントシアニンが強い光を和らげ、葉緑体を守るという「光防御」の説明が有力でした。
ところが、近年さらに興味深い研究が出ています。
2024年、森林総合研究所はハウチワカエデの研究から、アントシアニンが光合成でつくられた糖を消費することで、糖濃度の上昇を抑え、光合成を続けやすくしている可能性を示しました。
つまり、赤い色素は単なる装飾ではなく、葉が最後まで働くための生理的な仕組みに関わっているということです。
森林研究・整備機構
+1
そして2026年には、森林総合研究所からもう一つ重要な研究が発表されています。
紅葉と落葉は、必ずしも同じ仕組みで進むわけではない。
葉を枝から切り離す「離層」の発達と、葉が色づく現象は、それぞれ別の仕組みで制御されているという研究です。昔よく説明された「葉の付け根が閉じて糖がたまるから赤くなる」という単純な説明は、見直されつつあります。
森林研究・整備機構
4.さて、サザンカと紅葉の恋に戻りましょう!
サザンカは常緑樹です。
モミジのように秋に一斉に葉を色づかせて落とすのではなく、葉を少しずつ更新しながら冬も緑を保ちます。そして秋から冬にかけて花を咲かせる。
一方、モミジは葉の中の色素を変え、栄養を回収し、落葉へと向かう。
二つの植物は、同じ秋から冬に向かう季節の中で、まったく違う生き方を見せているのです。
サザンカは、寒さの中で花を咲かせる。 モミジは、葉を赤く染めて冬支度をする。
植物同士が実際に見つめ合っているわけではありませんが、同じ環境の変化に、それぞれ異なる生理的な応答をしているわけです。
私なら、ここから子どもたちにこんな問いを投げます。
「どうしてサザンカは冬に花を咲かせ、モミジは冬を前に葉を落とすのだろう?」
同じ季節、同じ場所、違う生き方。
これこそ自然観察の醍醐味ですね。
そして、安田さんの一句に戻れば……
サザンカや 紅葉のこころ 知る由もなし
いやいや、植物生理学を学んだ後でも、恋人同士でいてもらいましょう!(^.^)










