宮津エコツアー · 巨樹は、地球の時間、生態系の時間、人間の時間、地域の時間、これらの時間を読み解く手掛かりなのです。 天橋立を世界遺産に 137

巨樹は、地球の時間、生態系の時間、人間の時間、地域の時間、これらの時間を読み解く手掛かりなのです。 天橋立を世界遺産に 137

【①巨樹、ですね、環境省の認定基準をクリアした巨樹、それについては、天橋立、そのコアゾーンと、バッファゾーンとして想定するエリア、マツの参道、伊根湾の青島、成相寺、篭神社始め各寺社林、流域夏緑樹林など高校生たちと調査をし、りっぱな巨樹がおおく残っていることを確認しました、こういう植生の豊かさ、これについては、審査の対象になりますか】
 京都・丹後半島の巨樹2738本紹介 地元高校生が調査 | 毎日新聞

(↑ 京都・丹後半島の巨樹2738本紹介 地元高校生が調査 | 毎日新聞 mainichi.jp)

なるほど! 今度のお話で、調査の意味がさらに明確になりました。

単に「大きな木が何本もあった」という話ではないのですね。天橋立のコアゾーンと想定バッファゾーン、海上の青島、成相寺や籠神社などの寺社林、さらに流域の夏緑樹林まで、高校生たちと実際に歩き、景観を構成するさまざまな場所に、豊かな樹木と森林が残されていることを確認したということですね。

私の結論は、この植生の豊かさは、世界遺産の検討に十分取り上げる価値があります。ただし、何を証明する資料として使うかが重要です。

ユネスコの世界遺産では、自然と人間の長い関係を示す文化的景観も評価対象になります。一方、自然遺産としての評価では、生態系の進化や発達を示す生態学的プロセス、生物多様性保全上の重要性など、別の基準が求められます。

The Criteria for Selection
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では、審査にどう結びつけるか

私なら、今回の成果を次の三本柱で整理します。

調査成果

審査・保全に向けた意味

巨樹の分布と規模

景観を構成する樹木・森林の現状を示す

海岸・島・寺社林・流域林の比較

景観の多様性と、自然環境のつながりを明らかにする

樹木と信仰・参道・暮らしの関係

自然と人間が景観を形づくってきた歴史を検討する

ここで、コアゾーンとバッファゾーンの違いも重要です。世界遺産の価値そのものを担う区域と、その価値を保護するための区域では、審査上の役割が異なります。バッファゾーンの森林や巨樹も、保護・管理や景観の完全性を裏付ける資料として意味を持ち得ますが、それだけで世界遺産の価値を直接証明することにはなりません。

Compendium
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また、流域の夏緑樹林については、巨樹の本数だけでなく、標高に沿った植生の変化、森林の連続性、種の構成、森林の健全性などを調べると、自然環境としての評価が深まります。自然遺産の基準まで視野に入れるのであれば、専門家による生態学的な評価と、他地域との比較が必要です。

私が一番期待すること

高校生たちが調べた巨樹は、天橋立の周りにある「付属物」ではないのかもしれません。

砂州のマツ、海上の島の森、山の寺社林、流域の夏緑樹林。それぞれは違う環境にありますが、それらを一緒に調べることで、天橋立を取り巻く自然と文化の関係が見えてくる。

「天橋立の巨樹調査」から、「天橋立を支える景観と植生の調査」へ。

そう整理すれば、今回の成果は世界遺産の可能性を検討するための資料にも、将来の保全計画にも、先ほど構想した探究センターの展示にもつながります。

そして何より、高校生たちが現地で確かめた記録が、地域の未来を考えるための資料になる。そこに、この調査の大きな価値があると思います。

【②ありがとう、環境省が、巨樹認定の制度を設けた目的、意義について解説くださいな】

 全国巨樹・巨木の会 に対する画像結果

これは、環境省の公式資料を読むと、かなりはっきりしています。

まず、ひとつ訂正を兼ねて大事な点を。環境省が設けたのは、巨樹を文化財のように個別に「認定」する制度というより、全国の巨樹・巨木林の実態を調べ、記録し、保全に役立てるための調査事業です。原則として幹周3m以上という基準は、調査対象を定める基準なのですね。

生物多様性センター(環境省 自然環境局)
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1. なぜ、巨樹を全国規模で調べたのか

環境省の目的は、大きく三つに整理できます。

① まず、どこに何が残っているかを把握する

1988年度に始まった調査の背景には、巨樹・巨木林の実態が十分に分からないまま、失われつつあるという問題意識がありました。全国的に分布を把握し、その後の変化も追跡する。これが基本です。

生物多様性ポータル
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② 巨樹を、保全すべき自然環境として捉える

巨樹は、景観の象徴であると同時に、野生動物のすみかや営巣場所になり、樹木の状態や周辺環境を知る手掛かりにもなります。環境省の調査は、木の大きさだけでなく、周囲の環境、健全度、生態的・人文的な情報も集めています。

生物多様性センター(環境省 自然環境局)
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③ 自然を、人々の暮らしや地域づくりにつなぐ

巨樹は信仰の対象となり、地域のシンボルとなり、人々の心のよりどころにもなってきました。調査結果を保全施策、環境教育、地域づくりなどに活用することも、環境省が示している意義です。

環境省
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2. 実は、環境省は「木」だけを調べているのではない

ここが、安田さんの調査と深く響き合うところです。

環境省の調査項目には、樹木の位置・樹種・幹周・樹高などに加えて、周辺環境、健全度、動物の生息、着生植物、信仰、故事・伝承、所有・管理などが含まれています。つまり、巨樹を、その木が生きている環境と、人間との関係のなかで捉えようとしているのです。

環境省
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巨樹には、いくつもの時間が重なっています。

  • 地球の時間: 気候や土壌、水、地形が木の生育を支えてきた時間。

  • 生態系の時間: 木が成長し、ほかの生きもののすみかとなり、森林の一部を形づくってきた時間。

  • 人間の時間: 人が木を植え、利用し、信仰の対象とし、守ってきた時間。

  • 地域の時間: その木が集落や寺社、道、祭り、記憶と結びついてきた時間。

巨樹は、これらの時間を読み解く手掛かりなのです。

3. では、天橋立の世界遺産構想にどう生かせるか

私は、環境省の巨樹調査の意義を、天橋立の構想に引き寄せて、こう考えます。

巨樹を調べることで、天橋立を取り巻く自然環境と、人間が景観を形づくってきた歴史の両方を調べられる。

例えば、マツの参道、青島、成相寺、籠神社の社寺林、流域の夏緑樹林。それぞれの巨樹を同じ方法で調査し、周囲の植生や地形、信仰、土地利用の歴史と照らし合わせる。

すると、単なる「巨樹の名所一覧」ではなく、海岸・島・聖地・山林・流域という異なる環境に、どのような自然と文化の関係が残っているのかを検討できる資料になります。

ただし、巨樹が多いことや幹周が大きいことだけで、世界遺産としての価値が証明されるわけではありません。登録を目指す場合は、提案する遺産の価値との関係、歴史的な裏付け、他地域との比較、保護・管理の仕組みを別途示す必要があります。

4. 高校生たちと行った調査の意味

環境省の調査は、専門家だけでなく、市町村の担当者や市民の協力も得ながら継続されてきました。2005年以降は、市民からの情報提供を受け付ける形で調査が続いています。

環境省
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ですから、高校生たちが実際に現地を歩き、巨樹を測り、写真を撮り、その場所の特徴を記録したことには、教育的な意義だけでなく、地域の自然環境に関する情報を蓄積する意義もあります。

調査結果を環境省のデータベースや地域の保全資料につなげられるか、記録の形式や既存情報との照合を確認する価値があると思います。

そして、私がいちばん大切だと思うのは、ここです。

環境省が巨樹を調べる目的は、単に大きな木を数えることではありません。巨樹・巨木林という、誰にでもその存在が伝わりやすい自然を入口として、自然環境の現状を把握し、保全につなげることです。

安田さんたちの調査も、巨樹から出発して、森林、生態系、信仰、景観、地域の暮らしへと問いを広げられる。

「巨樹が何本あるか」から、「なぜ、この場所には、こうした木々が残されてきたのか」へ。

さらに言えば、

「この木々を育ててきた環境と営みを、百年後にどう手渡すか」へ。

この問いまで進んだとき、巨樹調査は、天橋立を入口に丹後の未来を考えるという、安田さんの構想の一部になっていくのだと思います。

【③ ありがとう、評価にあたって、美しい景色景観には豊かな生態系が宿る、、今日的な常識ですね、これが担保されること、されているか、、だと思っています!(^.^)】

生物多様性とは - 京都市生物多様性ポータルサイト 京・生きものミュージアム

(↑ 生物多様性とは – 京都市生物多様性ポータルサイト 京・生きものミュージアムikimono-museum.city.kyoto.lg.jp)

おお、そこですね!(^.^)

「美しい景観には、豊かな生態系が宿る。その豊かさは、いまも担保されているのか」

これは、天橋立の評価を一段深くする問いだと思います。

ただ、もう半歩だけ踏み込みたいのです。

美しい景観に豊かな生態系が宿ることは多い。しかし、美しく見えることと、生態系が健全であることは、必ずしも同じではありません。 松並木が美しく見えていても、林床の植物がシカに食べ尽くされているかもしれない。巨樹が残っていても、次世代の木が育っていないかもしれない。海岸の景色が変わらなくても、水や土砂の流れが変わっているかもしれない。

だからこそ、安田さんたちが高校生と行った巨樹調査が生きてきます。

「美しさ」を「生態系の証拠」へ

私は、天橋立の評価に、次の四つの視点を重ねたいです。

① 景観の美しさ

白砂青松、砂州の形、海と山の眺望。人が美しいと感じ、長く描き、語り継いできた景観。

② 生態系の豊かさ

巨樹、樹種構成、林床植生、野鳥、昆虫、土壌、生息環境。目立つ木だけでなく、その木を支える生態系全体を調べる。

③ 生態系を支えるつながり

海岸林、寺社林、島の森林、流域の夏緑樹林。水、土壌、生きものの移動、人の営みが、どのようにつながっているか。

④ その豊かさが将来も維持されるか

巨樹の健全度だけでなく、後継樹の成長、植生の変化、シカの採食圧、森林管理、保全体制を継続的に観測する。

この四つがそろって初めて、「美しい景観に豊かな生態系が宿っている」という主張を、調査によって検証できるようになります。

そして、世界遺産の評価へ

ここでは、二つの問いを区別したいと思います。

  • 価値の問い: この景観は、人類にとってなぜ大切なのか。

  • 状態の問い: その価値を支える自然環境は、いまも健全で、将来にわたって維持できるのか。

前者は顕著な普遍的価値(OUV)の説明に、後者は完全性や保護・管理の評価に関わります。自然遺産として評価する場合には、生態学的プロセスや生物多様性の重要性についても、別途、厳密な根拠が求められます。

そして、巨樹の存在は重要な手掛かりですが、それだけで生態系全体の健全性を証明するものではありません。高校生たちの調査を起点に、植生や生きもの、森林の更新状況を調べていくことに意味があります。

安田さんの言葉を借りれば、まさに「見えないものをみる、それがSSH」ですね。

天橋立の美しさを証明するだけでなく、その美しさを生み、支えている自然の働きが、いまも続いていることを確かめる。

そして、もし損なわれている部分が見つかったら、それを隠すのではなく、保全の課題として示す。

私は、そこまでできてこそ、天橋立を世界遺産として次の世代に手渡すという話に、確かな説得力が生まれると思います。(^.^)

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