宮津エコツアー · 「生物多様性保全上重要な里地里山(重要里地里山500)」と世屋高原  天橋立を世界遺産に 185

「生物多様性保全上重要な里地里山(重要里地里山500)」と世屋高原  天橋立を世界遺産に 185

【①ありがとう、もう一つ、生物多様性保全上重要里地里山500、これについて制度の目的、課題、など情報、状況、を下さいな 】

ありがとうございます!(^.^)

これは、先ほどの「つなぐ棚田遺産271」と並べて考えると、面白いどころか、上世屋という地域を二つの異なる物差しで読み解くことができます。

今回の制度は、環境省の 「生物多様性保全上重要な里地里山(重要里地里山500)」。2015年12月に全国500か所が選定されました。

環境省
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そして、安田さんにとって特に重要なのは、宮津市の上世屋地区が、その500か所の一つとして選定されていることです。環境省の公式資料には、上世屋の棚田、広葉樹林、湿地、畦畔、そしてそこに生息する生きものや、地域で続けられてきた保全活動まで記載されています。

環境省

1. そもそも、なぜ「重要里地里山500」を選んだのか

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環境省がこの制度を設けたのは、里地里山の自然が、放っておけばいつまでも残るものではないからです。

里地里山は、人の暮らしや農林業と自然が長い時間をかけて関わり合うことで形成されてきました。田んぼ、畦、水路、ため池、草地、雑木林、社寺林などが組み合わさり、多様な生きものの生息・生育環境になっています。

環境省
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ところが、人口減少、高齢化、農林業の変化によって人の手が入らなくなると、環境によっては生きもののすみかが失われ、里山の生態系そのものが衰退してしまいます。

そこで環境省は、全国の里地里山すべてを従来どおり維持することは難しいという現実を踏まえ、生物多様性保全の観点から特に重要な地域を明らかにし、地域内外の多様な主体による保全・活用を促すことを目的に500か所を選定したのです。

環境省
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ここで注目したいのは、「人の手が入っている自然」が、重要な保全対象になっていることです。

原生的な自然を守ることだけが自然保護ではない。人が暮らし、働き、手を入れてきた環境にも、守るべき生物多様性がある。これが制度の大切な出発点です。

2. 選定基準――何をもって「重要」としたのか

環境省は、次の3つの基準を設けました。原則として3基準のうち2つ以上に該当する地域を選び、全国的な重要性がある地域については別途判断する仕組みです。

環境省

基準

見ているもの

① 二次的自然環境

田畑、雑木林、草地、水路、湿地など、人の関与によって維持されてきた自然

② 生きものの多様性

里地里山に特徴的な動植物や希少種の生息・生育状況

③ 生態系ネットワーク

森・里・川・海や、生きものの移動・繁殖を支える環境のつながり

ここでいう「二次的自然」は、自然として二流という意味ではありません。人が長い時間をかけて利用し、手を入れながら維持してきた自然です。

たとえば、草刈りによって明るさが保たれる草地、稲作によって維持される水田と畦、薪炭林として利用されてきた雑木林。こうした環境に適応して生きてきた動植物がいます。

つまり、人の営みが生物多様性を支えることもあれば、営みが途絶えることで生物多様性が損なわれることもある。ここが里地里山保全の難しさであり、面白さでもあります。

3. 上世屋地区は、なぜ選ばれたのか

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環境省の上世屋地区の解説は、かなり具体的です。

環境省の公式評価

該当

基準1:多様で優れた二次的自然環境

棚田、集落、広葉樹を主体とする薪炭林が組み合わさった里山景観。

該当

基準2:多様な野生動植物

里山ブナ林、湿地、棚田、畦畔などが維持され、ジョウビタキやハッチョウトンボの生息が確認されている。

非該当

基準3:生態系ネットワーク

この基準には該当していない。ただし、これは上世屋に生態系のつながりがないという意味ではなく、選定時の基準に該当しなかったということです。

出典:環境省「重要里地里山・上世屋地区」

環境省

さらに、環境省の資料には、上世屋で20年以上前から農薬を使わない米づくりが行われてきたこと、NPO法人里山ネットワーク世屋などが自然体験活動を通して里山の保全・継承に取り組んできたことも記載されています。笹葺き民家の修復や藤織、藁草履づくりなど、文化や生業の継承も紹介されています。

環境省

これは重要です。上世屋の価値は、珍しい生きものがいるという一点だけではない。生きものの生息環境、農業、森林、集落、伝統技術が組み合わさっていることが評価されているのです。

4. ただし、選定は「保護指定」でも「補助金の保証」でもない

ここは制度を活用するうえで押さえておきたいところです。

重要里地里山500は、環境省が重要な地域を選定し、その価値を広く知ってもらい、保全・活用を促進するための仕組みです。

選定されたことによって、新たな土地利用規制が自動的に課されるわけではなく、従来どおりの管理を義務づけるものでもありません。また、選定そのものが継続的な補助金の交付を保証するものでもありません。

環境省

したがって、選定後に問われるのは、地域がその評価をどのように生かすかです。

  • 地域の自然環境を継続的に調べる。

  • 地域内外の人々が保全活動に参加できる仕組みをつくる。

  • 農産物や地域文化の価値を発信する。

  • 観光や環境学習を、実際の保全活動につなげる。

そして、もう一つ大切な点があります。環境省自身、500か所以外にも重要な里地里山はあると認め、地域ごとの調査や選定、情報の更新を課題に挙げています。

環境省

5. 現在の課題――2015年の評価を、いまの現実につなげられているか

2024年版の環境白書でも、里地里山について、農林業の担い手の減少や高齢化、人の利用の縮小に伴って、生物の生息・生育環境が悪化・衰退していることが指摘されています。

環境省

制度の趣旨から考えると、課題は大きく4つに整理できます。

  1. 生きものの現状を把握できているか。 2015年の選定時に確認された生息環境や種が、現在も維持されているか。

  2. 自然を支える人の営みが続いているか。 農業、草刈り、水路管理、森林の手入れなどが、誰によって担われているか。

  3. 地域外の協力が実際の保全につながっているか。 交流や体験で終わらず、継続的な人手・資金・知識の支援になっているか。

  4. 評価を地域の将来に生かせているか。 選定された価値が、農業、教育、観光、地域振興の具体的な活動につながっているか。

なお、これらは制度を評価するための論点です。全国500か所について、現在の保全成果を一律に測った最新の評価結果がそろっている、と確認できたわけではありません。上世屋についても、環境省の公開ページだけでは、選定後の生物多様性の変化を定量的に判断することはできません。

6. 「棚田271」と「重要里地里山500」を並べてみる

安田さんが先ほど尋ねられた棚田の制度と、今回の制度。ここに、それぞれの役割の違いがあります。

視点

つなぐ棚田遺産271

重要里地里山500

主な入口

棚田と農業、地域振興

生物多様性と里地里山の保全

注目するもの

棚田、農業の営み、地域の取り組み

森林、農地、湿地、生きもの、人の関与

目指す方向

棚田を守る人・支える人を増やす

重要な里地里山の保全・活用を促す

共通する課題

担い手、継続的な管理、地域外との連携

担い手、継続的な管理、地域外との連携

両制度は目的や選定基準が異なりますが、上世屋では、棚田という農業の場と、生物多様性を支える里山という場が重なっている。ここが大事です。

7. 安田さんの活動に引きつけて考えると

私は、この制度を「あいせよ天橋立丹後浦島ロード」の中に位置づけるなら、単に「国に認められた里山です」と紹介するだけでは、もったいないと思います。

むしろ、来訪者にこんな問いを投げかけたい。

なぜ、この山里には棚田があり、湿地があり、ブナ林があり、そこに暮らす人々がいるのだろう。

そして、もし人がこの土地を離れ、田んぼや水路や森林に手を入れなくなったら、何が変わるのだろう。

その問いから、上世屋の自然と暮らしを調べ、松尾の棚田、伊根の海、阿蘇海、天橋立へと関係をつないでいく。

ここで初めて、環境省の「重要里地里山500」が、行政上の選定リストから、地域の未来を考えるための教材へと変わります。

棚田271は「田んぼから地域を見る入口」、重要里地里山500は「生きものと人の関係から地域を見る入口」。

そして、その二つの入口を行き来しながら、山・田んぼ・川・海・人々の営みを一つの物語として読み解く。それが、安田さんのいう「掘る・繋ぐ・問い返す」に、よく合っていると思います。

基準3:生態系ネットワーク、、これの内容と対象を解説くださいな

ここは、上世屋を考えるうえで、なかなか大事なところです。(^.^)

環境省の「重要里地里山500」の基準3、**「生態系ネットワークの形成に寄与する」**とは、簡単に言えば、ある場所だけを守るのではなく、生きものが生き続けるために必要な場所どうしのつながりを守るという考え方です。

環境省
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1. 「生態系ネットワーク」とは何か

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オオタカ

たとえば、ある谷に生きものがたくさんいたとします。しかし、その谷の湿地が埋め立てられ、周囲の森が切り離され、別の水辺との行き来もできなくなったらどうでしょう。

一つの場所に生きものが残っていても、餌場が不足したり、繁殖場所へ移動できなくなったり、ほかの集団との交流が途絶えたりする可能性があります。

そこで、環境省がいう生態系ネットワークは、次のような関係を重視します。

  • 核となる場所:生きものが繁殖し、休息し、餌を得ることのできる重要な自然環境

  • 移動・交流の経路:森林、河川、水路、草地など、生きものが移動するのに役立つ環境

  • 中継地点:渡り鳥などが移動の途中で休息したり、餌を取ったりする場所

  • 環境どうしの連続性:森・里・川・海などが分断されず、機能的につながっていること

これは、緑色の線を地図に引けば完成するという話ではありません。実際にどの生きものが、どんな環境を使い、どこへ移動するのか。その生態に即して考える必要があります。

環境省
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2. 基準3が対象にしているものは、主に3つ

環境省の選定資料では、基準3の評価ポイントを具体的に示しています。

環境省
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東雲の風 サシバ

① サシバ・オオタカなどから見た、里山のつながり

サシバやオオタカは、里山の豊かな生態系を象徴する猛禽類です。餌となる小動物や鳥類がいること、採餌できる農地や草地、営巣・休息に適した林など、複数の環境が必要になります。

こうした鳥が生息できる里山を各地に残すことは、地域単位だけでなく、全国的な生態系ネットワークの維持にも関係します。

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② 渡り鳥から見た、国際的なつながり

渡り鳥にとって、日本の湿地や水辺は、繁殖地と越冬地を結ぶ長い旅の途中で、休息し、餌を取る場所になることがあります。

そのため、ある地域の湿地を守ることが、日本国内だけでなく、国境を越えた渡りのルートを支えることにもなります。

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③ 森・里・川・海から見た、地域のつながり

森林と水田、水田と水路、水路と川、川と海。こうした環境がつながっていることで、生きものの移動や水・物質の循環が支えられます。

ただし、水が流れているだけで生態系ネットワークが成立するわけではありません。水質、流れの速さ、魚道や段差、河岸の植生なども、生きものによって重要になります。

この3つは、スケールが違います。

  • サシバ・オオタカは、里山の生息環境を地域間のつながりから見る。

  • 渡り鳥は、日本と海外を結ぶ広域のつながりから見る。

  • 森・里・川・海は、地域の生態系どうしのつながりから見る。

環境省の資料は、このように局地的・全国的・国際的な複数のスケールでネットワークを捉えています。

環境省

3. では、なぜ上世屋は基準3に該当しなかったのか

ここが、安田さんにとって一番気になるところかもしれませんね。

環境省の公式ページでは、上世屋地区は基準1・2に該当し、基準3は非該当となっています。

環境省

ただし、この判定は「上世屋には生態系のつながりがない」という意味ではありません。

選定時に用いられた情報と基準に照らし、基準3に該当すると評価されなかった、ということです。公開されている上世屋地区の説明だけでは、基準3の非該当理由を個別に詳しく特定することはできません。

上世屋の地形を考えると、調べる価値のある問いはむしろいくつもあります。

  • 棚田・湿地・水路の間を、カエルやトンボなどがどのように移動しているか。

  • 森林と農地の間で、鳥類や哺乳類がどのように環境を使い分けているか。

  • 上世屋川の上流から下流にかけて、生きものの生息環境がどう変化するか。

  • 上世屋の山地の水系と、下流域や海岸の生態系には、どのような関係があるか。

これらは、上世屋に実際にネットワークがあると先に決めつけるのではなく、調査して確かめるための問いです。

4. 安田さんの「山・田んぼ・海」の視点で考える

ここで、「あいせよ天橋立丹後浦島ロード」との接点が見えてきます。

山・森林

水源、生息地、落ち葉や土砂の供給

上世屋・松尾の棚田、湿地、水路

農業と生きものの生息環境

河川・下流域・海

水や物質の移動、水域の生態系

概念図です。実際の生物の移動・水系の接続は、地図や現地調査で確かめる必要があります。

この図で大切なのは、山から海までを一本の矢印で描いたからといって、それだけで生態系ネットワークを証明したことにはならない、という点です。

たとえば、森林から流れ出る水が海まで届くことと、特定のトンボが森林から海まで移動することは別の話です。水のつながり、生きものの移動、栄養物質の流れ、それぞれを分けて調べる必要があります。

しかし、地域を理解する入口としては、この流域の視点が非常に有効です。

「上世屋の棚田を守る」とは、田んぼだけを守ることなのか。それとも、田んぼを成立させる森林、水、水路、集落の営みまで考えることなのか。

この問いは、重要里地里山の基準3を考えることから生まれてきます。

そして、安田さんが大切にしている「掘る・繋ぐ・問い返す」にもつながります。基準3を単なる認定項目で終わらせず、上世屋の自然を調べ直すための仮説として使う。そこに、五つの腕章を生かす余地があると思います。

【③ クマタカ、あさぎまだら、ツバメ、アカショウビン、八種類のカエルなどの存在、渡りが豊かにあります、これはどう評価されたのでしょうか】

おお、クマタカ、アサギマダラ、ツバメ、アカショウビン、そして8種類のカエルですか! 安田さんが現場で見てこられた上世屋の生きものの顔ぶれを聞くと、基準3をもう一度、丁寧に読み直す必要がありますね。

まず、前の説明を一つ訂正させてください。

環境省の「重要里地里山500」の基準3は、一般的な意味で生きものの移動や自然環境の連続性を評価する基準と、完全に同じではありません。 選定時の公式な評価ポイントとして明記されているのは、里山生態系のシンボルであるオオタカ・サシバの確認です。上世屋地区は、公式一覧で基準1・2が該当、基準3は非該当とされています。

環境省
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つまり、安田さんが挙げられた生きものが豊かに存在することと、2015年の選定で基準3に該当しなかったことは、矛盾しません。その生きものの豊かさが、選定時にどのような情報として把握され、どの基準で評価されたかを分けて考える必要があります。

1. 安田さんが挙げられた生きものを、制度の基準に照らすと

生きもの

生態から見えてくること

選定基準との関係

クマタカ

森林を基盤に、広い行動圏を使う猛禽類

森林生態系の質や広域的な生息環境を考える手がかり

アサギマダラ

季節的に長距離を移動するチョウ

移動経路、吸蜜植物、繁殖環境などのつながりを考える手がかり

ツバメ

渡りを行い、集落や農地周辺で採餌・繁殖する

農地・集落の環境と渡りのつながり

アカショウビン

夏鳥として渡来し、森林や水辺に近い環境を利用する

森林環境や繁殖環境の質を考える手がかり

8種類のカエル

種ごとに水田、湿地、水路、森林などを利用する

水辺環境の多様性と、繁殖地・越冬場所などの連続性を考える手がかり

ただし、ここで区別したいのは、生態学的にネットワークを考えるうえで重要な生きものと、2015年の制度で基準3の該当を判断するために使われた情報は同じではない、という点です。

環境省は基準3の評価ポイントとして、オオタカ・サシバのほか、渡り鳥にとって国際的に重要な生息地・中継地点であること、さらに生きものの視点や森・里・川・海の視点から見たつながりを挙げています。

環境省

したがって、アサギマダラやツバメが渡るという事実だけで、直ちに基準3に該当するとは限りません。たとえば、渡りの時期や個体数、上世屋が移動経路や中継地点として果たす役割などの情報があれば、評価の根拠をより具体的にできます。

2. では、上世屋の豊かな生物相は、なぜ基準3に反映されなかったのか

確認できた公式資料から言えるのは、次の3点です。

  • 上世屋は、棚田・湿地・ブナ林などの環境と、ジョウビタキ・ハッチョウトンボの生息情報を根拠として、基準1・2に該当しています。

    環境省
  • 選定は、全国規模の既存調査データや自治体等から得た地域情報を基に候補地を抽出し、専門家が評価する方式でした。

    環境省
  • 公開されている上世屋地区の説明には、安田さんが挙げられたクマタカ、アサギマダラ、ツバメ、アカショウビン、8種類のカエルが、どのように評価されたかの記載はありません。

ですから、これらが「調査されなかった」「評価されなかった」とまでは断定できません。一方、それらの存在が基準3の該当を裏づける根拠として、公開資料に示されていないことは確かです。

3. ここから先は、現地の情報を生かせます

安田さんが把握しておられる生きものの記録は、2015年の選定資料を読み直すうえでも、上世屋の生物多様性を現在の視点で評価するうえでも、貴重な出発点です。

もし記録を整理するなら、次の4項目が役立ちます。

  • 種名と確認年月:いつ、どこで確認されたか。

  • 生息・繁殖状況:通過しただけなのか、採餌・繁殖・越冬などに利用しているのか。

  • 移動の情報:季節的な渡り、個体数の変化、利用する環境のつながり。

  • 環境との関係:森林、棚田、湿地、水路、集落など、どの環境が生きものを支えているのか。

とくに8種類のカエルについては、種ごとの繁殖場所と、森林などへ移動する経路を把握すると、棚田や水路がどのような役割を果たしているかを具体的に考えられます。

そして、クマタカや渡りをする生きものについては、上世屋だけでなく周辺地域の記録も重ねることで、より広い範囲でのつながりを検討できます。

安田さん、ここで一つ、確かめたいことがあります。

クマタカ、アサギマダラ、ツバメ、アカショウビン、8種類のカエルという記録は、上世屋でのご自身の観察や調査記録でしょうか。それとも、地域の調査報告書などにまとめられた記録でしょうか。

記録の出どころが分かれば、環境省の2015年の評価資料と照らし合わせながら、上世屋の生物多様性がどこまで評価に反映されていたのか、さらに掘り下げられます。

【④ 『わたくし』が確認しました(^.^)】

ははははは!!!(^.^)

そうでしたか! 八種類のカエルも、クマタカも、アサギマダラも、ツバメも、アカショウビンも、安田さんご自身が確認された。 これは話の見え方が変わってきますね。

しかも、五つの腕章を持つ方の現地観察ですから、単に「珍しい生き物がいました」という話ではありません。上世屋の自然を、実際に歩き、見つめ、確かめてきた記録です。

ここで、私は一つ大事な問いを置きたいのです。

「確認されている自然」と「評価された自然」は、同じでしょうか?

環境省の「生物多様性保全上重要な里地里山500」で、上世屋地区は選定基準の①と②に該当し、③には該当しないと整理されています。

しかし、これは 上世屋に生態系のつながりがない、という意味ではありません。

安田さんの観察記録が選定時にどのように扱われたかは、公開資料だけでは断定できません。ここは慎重に分ける必要があります。

安田さんの観察

そこから考えられること

クマタカ

森林環境と、広い範囲にまたがる生息環境

アサギマダラ

季節移動と、移動を支える植生・吸蜜環境

ツバメ、アカショウビン

渡りと、繁殖・採餌に利用する環境

8種類のカエル

水田・湿地・水路・森林などを結ぶ生活環境

もちろん、これらの存在だけで選定基準③に該当すると決まるわけではありません。いつ、どこで、何をしていたのか。繁殖しているのか、通過しているのか。周囲の環境とどうつながるのか。そこまで整理すると、観察記録は地域の生態系を説明する証拠になっていきます。

ここからが、面白いところです。

安田さんが確認してきた生き物たちは、2015年の選定時に十分に評価されなかった可能性があるのか。それとも、選定の基準そのものが、上世屋の自然の豊かさを十分に拾いきれないのか。

この二つは、似ているようで違います。

そして、これは上世屋だけの話ではありません。棚田を農業生産の場としてだけ見るのか、生き物の繁殖地、森と水辺の接点、人の営みが維持してきた環境として見るのか。見方によって、評価される価値が変わります。

安田さんの「数珠紐と数珠珠理論」でいえば、生き物はそれぞれの珠。けれども、珠の種類を数えるだけでは、珠をつないでいる紐の存在までは見えてこないのですね。

一つ、ぜひ教えてください。

八種類のカエルは、上世屋の棚田や水路、湿地などで繁殖を確認した種類ですか? それとも、成体や幼生を含め、地域内で確認した種類の合計でしょうか?

ここが分かると、上世屋の生態系のつながりを、もう一段具体的に考えられます。

 

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