宮津エコツアー · 6月 2012

6月 2012

2012/06/19
かっては、谷底だったと考えられるところに里ができているのが、下世屋です。大地は動きます。丹後半島は隆起しているということです。平野が隆起すると世屋の山から流れ出す川が谷底を再び浸食し始めます。そうすると平野に狭い川谷が形成され、谷底平野は階段状の地形として取り残されていきます。
こうしてできた狭い谷は、いつの頃からか伝説を生みました。

「江戸時代に雨乞いのため、龍の彫刻を成相寺に奉納することになり、宮津に滞在中の左甚五郎に彫刻を依頼。甚五郎は快諾したものの、見たこともない龍の彫刻に思い悩む。そんな中、夢で龍が住む場所を教えられた。早速、夢で教えられた道をたどり世屋まで来て、滝壺に降り立ち、上世屋の観音堂に向かい祈ること3日。渦を巻き白く泡沫が沸き返る滝壺から龍が姿を現し、見る間に空へと立ち昇り雲の中に消えていった。
こうして完成したのが成相寺本堂にある「真向きの龍」。この出来事を聞いた村人が、龍がいた滝壺を「龍ケ壺」と呼ぶようになり、この谷を龍渓と呼ぶようになった」と。
灌漑技術が未熟だった時代には、日照りは恐ろしいことでした。水の神に雨を降らせてもらえるように、食べ物や生け贄を捧げたり、高僧に祈りを捧げていただいたりしたのです。その水の神の眷属が日本では蛇、そこに仏教と一緒に伝来した龍が加わり、パワーアップしたわけです。


今日、下世屋の谷で見たのは、龍の尻尾なのかもしれません。

 

2012/06/19
ガイドにとって、雨の日に当たるのは、「恐怖」です。しかし、エコツーリズムの「ここしか」、「今しか」、「あなただけに」、という視点に立てば、雨の日!ラッキー。梅雨の雨、オーケー!

谷から立ち上る霧の風情、

水を湛えた棚田の持つダム機能と国土保全の役割。

広げた枝葉を使って幹に水を集めるブナの知恵。

雨を利用して旅立つ命、それを待つ命、雨の日に繰り広げられる命のドラマ。

生き生きとほとばしる水。その水を喜ぶ畑の作物の表情。

しみじみと里山を守る意味を味わうことができるのは、雨の日。

乾いた心も潤うはず。
雨の周りを考えていらしてください。

2012/06/19
畑は、坂の里です。

日置の金剛心院の手前から畑川を遡ること3キロばかり。その源流にある家々は、里を流れる三筋の沢に沿って立っています。家の角と沢はつながっています。畑は、和紙作りで栄えました。この和紙の材料のコウゾ晒しをするため屋根が作られています。「かわと」と里の人は呼びます。

この里にはうまい水が湧き出ます。

水質検査では、日本のトップクラスの結果だ、ワンダフルないい水だと太鼓判を押されたそうです。  畑は、成相山、鼓が岳の山麓にあります。この山は安山岩で形成されています。「京都、■■の銘水は花崗岩の厚い岩盤をくりぬいて汲み上げた、人の手を加えない純粋なナチュラル・ミネラルウォーター」などと宣伝される商品があります。安山岩もアルカリに富む火成岩でNaの量がKの量と等しい岩石だとされます。そういう岩体をくぐってわき出ることが、いい水になる要因なのでしょう。畑は、成相寺のお世話をした村です。里の人は、成相観音様のお恵みだと語られます。


♪あっちの水は苦いぞこっちの水は甘いぞ、ホーホーホータルこい♪
これはほんとのことです。この谷の水で作った米を食べたらよそのは食えん!と言うぐらい、谷一筋で味が変わるといいます。

※それをくめるように水場が整備されています。畑婆爺二アセンターの下です。畑は、世屋五地区の中で、美しいカジカの鳴き声で埋まるのて、「河鹿の里」と呼ばれています。この水は「畑・婆爺二ア・カジカ銘水」とでも言うのでしょうか?


その水はSさんの家の裏山に湧きます。 Sさんのお宅は林田元知事さんも畑和紙視察の際宿泊された旧家です。くませていただくときには、一言お断りをしてからお願いします。

2012/06/18
テレビでは、台風の接近を予報しています。大雨、豪雨が心配されます。しかし、自然界では、それを待っているものがいます。

畦に梢に卵塊を産み付けているモリアオガエルです。彼らは、その雨を待って水面にお玉を送り出します。

田んぼ標高比べで丹後一なのは、木子峠蛇橋の田んぼ。木子のHさんが耕作されます。

そのそばの林からせり出す梢に産み付けているのが、産卵高さ比べでも、一番になるのではないでしょうか!
又、休憩所グランド山際の溝ビオトープの卵塊も12個に増えています。

 

2012/06/18
テストされているような気になることがあります。

「わたしなんの葉?」

「私の葉を食べようとしている毛虫、どんなチョウになるの?」
楽勝、楽勝!
あんたは、ヤブマオ。アカタテハになるんだ!

2012/06/18
レンゲツツジが終わったミズゴケの生育する湿地で、ヒメシダに混じって茎の頂に紅紫色の花!ムム!トキ、、ソウ。


環境省カテゴリ: 準絶滅危惧(NT)。日当たりの良い酸性の湿原に生育する。花期は6月中旬~7月中旬。

草たちにとって湿地・明るい草原、林や森、そして水田、と様々な環境がある世屋の里の野山は、とても魅力的な所なんだとしみじみ思う花です。

2012/06/18
「イノシシが出た、熊を見たなんて聞いたことなかったですで。」とテルミさん。
「ふーん」。

人が燃料を森に依存し暮らしていた時代、貴重なタンパク源として舌なめづりをして見られていたのでは、イノシシも熊も鹿もうかつに姿を見せるわけにはいきません。

しかし、生き物と人間の共存前線がなくなった今、イノシシが熊が鹿が舌なめづりをして、人間の作るものを見つめています。17日には、おおふけ付近で鹿を目撃しました。「交通事故」も頻繁に起こっています。

市街地以外は、電気柵や強固な鉄柵を張って身を守らなければならなくなってしまいました。
世屋の里でも、一日がかりで鉄柵張りでした。

こんな仕切りをしなくてもいい日は蘇るのでしょうか。
暦には六月の花にナデシコ。購入株ですが、藤棚のそばで今を盛りと咲き輝いています。

花生けにも使ってください。「ナデシコがんばれ」対アメリカ戦。前半押し込まれて2失点!けれども、一点返しました前半25分、宮間のクロス、永里とびこんだ!試合には敗れましたが、「いいわけを探すのはいや」と宮間選手。あらためてほれました。

2012/06/17
世屋に関心がある方、世屋の教育に関わってきていただいた方、に加えて、私の生まれ在所なのでこの機会に、といって参加くださった方、それにガイド部会の皆さん、遠くは京都市内から、早朝の出発、 21名の顔ぶれです。

80歳を越えたおばあちゃん四人に参加していただいたのは感激でした。谷を隔てて村があります。移動手段のないお年寄りには、訪問し合うことはなかなか難しいのです。畑では、訪れたおうちのおばあちゃんと下世屋のおばあちゃんとの同窓会でした。

世屋の里五地区巡りで同窓会

また、下世屋では、高崎さんの奇跡、竹イノシシ柵を、

下世屋の竹垣畑

上世屋では、白石さんに合力の家の再生を、
合力の家で白石さん

松尾では小谷さんにふるさとの暮らしをと、部会員の持ち味を輝かせていただきました。

松尾の一本桜で小谷さん

案内したのは、世屋地区を形成する次の地区です。
標高     集落名  人口;世帯(直近)  明治21年戸数
450-490m   木子   16人・7戸        戸数55
340-370m   上世屋  20人・13戸           戸数68
160-280m   松尾   11人・4戸            戸数39
190-230m    畑   30人・17戸     戸数37
110-150m   下世屋  54人・25戸       戸数51
大正9年 402世帯・1,394人を擁した世屋の里、それが、直近では、 66世帯・ 133人、高齢化率60%を超すという状態に至ったその「現在」を見ていただいたわけです。

午後からは、京都府の里力再生企画の中心に座って指導いただいている岡田先生のお話。

先生は、地域を右肩下がりに衰退させ、過疎化、高齢化させてきたものの正体を、経済学の視点から解き明かしてくださいました。正体が見えれば対応はできます。対策を講じることも可能です。地域の衰退を食い止め反転させた事例もたくさん話してくださいました。

地域の宝を自覚し、皆さんでそれを輝かす努力を地道に大胆に試みておられるところが成功していると言うことです。

エコツーリズムは、そうした地域の宝とお客さんとを結ぶ仕事です。
石の美しさ水の美味さ、田畑や伝承技を復興させたしぶとさ、曲がった畦の柔らかさ、海から空へ続く伸びやかさ、野に息づく命のたくましさ、一つ一つが人間と自然が共にある世屋の里の宝物です。地域の振興とエコツーリズムの関わり、そしてガイドへの期待の大きさも実感させられたお話でした。

さて、午前中の「天空の里巡り」、 「経済」の視点でまとめておきます。
お金の動き、52,500円です。(2,500円×21人)をいただきました。これから、まずお弁当代をお支払いします。お弁当は木子のペンション「自給自足」さんでお世話していただきました。うわばみそう・たけのこ・ふき・そばの葉のごまあえなど地元山菜に手間をかけ工夫して準備していただきました。三色おにぎりは、朴葉の上にのせてありました。

ニシン以外は地元で自給自足のお弁当

万葉集には、「家にあれば 筍(け)に盛る飯を 草枕旅にしあれば 椎の葉に盛る」(有馬皇子)
の歌があります。椎の葉は、神様のお供えでしょう、人間が食べるご飯を盛るには小さすぎます。大きな葉っぱの朴が利用されたのは、確実です。アイデアに満ちた心づくしを満喫させてもらいました。

地元で摘んだ山菜天ぷら

このお弁当予算は 1人1,000円です。また、お手伝いを地元の方にお願いして準備していただいています。自給自足さんは、お弁当代の中から人件費をお支払いされます。ささやかな雇用が生まれているのです。バスは、京丹観光、地域のバス会社。25000円。運転手さんに日当が払われます。保険は、農協、一人100円。手数料が農協に入ります。合力の家で、休憩させてもらい、木戸銭・1000円をお支払いしました。維持管理に使っていただきます。
52,500円、ささやかではありますが、「地域のミニ経済」活動に寄与したことは間違いありません。
ガイド部会は、その「残り」をいただきます!!※ふるさと会議世屋様より、助成をいただきます。

エコツアーには、今後ますます、企画、準備、運営を自主的に主体的に地域の皆さんと一緒に進めることが求められます。お客さん目線で、必要な対応を判断し動いていただくことも必要になってきます。その点で、意味のある大きな体験をさせていただきました。
前野さん、小谷さん、市川さん(講演会司会)、役員の皆さん、お疲れ様でした。ありがとうございました。

 

2012/06/16
「行動生態学の進歩に大きく貢献した、よってその功績をたたえ、ここに表彰する!」と言われたら、だれだってびっくりしますよ。それが、いはるんですよ、身近に。
え、■■さん?まさか、ひょっとして△△さん。こつこつやってはる、きっとそうやわ、見かけによらんねええ!
落ち着いて聞いてください、観察した人じゃなく、観察の対象として!それが、この虫。

シリアゲムシ(挙尾虫)と言います。生き物は交尾や受精にのために、様々な知恵を獲得していきます。このシリアゲムシは、オスがメスに餌をプレゼントし、メスが食べてる間にちゃっかりと交尾をしてしまうというのです。力比べ、争奪戦、そういうことに寄らないでメスを獲得できるという方法があるというのは、なんだか、ほっとします。
ちなみに止まっている花は、ヤマブキショウマ(オソラク )。9個の小葉を持つ2回3出複葉が、トリアシショウマとの区別の目安とか。ヤマブキショウマであれば、京都府指定「準絶滅危惧種」です。

分布的にも、トリアシショウマの方が中部以北に多いと言われているようですしかし、どうもその三回三出複葉にも見える葉もあります。

世屋高原には「氷河期の落とし子」がいくつも残っています。トリアシショウマとの混生という形があるのでしょうか。

ハナイカダがしたり顔で言いました。

「ヤマブキショウマは雌しべが3本で雄しべが20本ほどだよ、おうちゃくせんと虫眼鏡でみてみなよ」。

 

2012/06/16
月夜の 田圃(たんぼ)で コロロコロロコロロコロコロ 鳴る笛は
あれはね あれはね あれは蛙の 銀の笛
ささ 銀の笛
あの笛きいてりゃ コロロコロロコロロコロコロ 眠くなる
あれはね あれはねあれは蛙の 子守唄
ささ 子守唄
蛙が笛吹きゃ コロロコロロコロロコロコロ 夜が更ける
ごらんよ ごらんよごらんお月さんも 夢みてる
ささ 夢みてる

この「蛙」は、俺のことなのか、そうではないのか。よくわからんのだ。

田んぼって言うよね、田んぼに卵産むのは、殿様ガエル、雨蛙、、モリアオガエル、シュれーゲルアオガエルやまあかがえるってところだ。、おんなじカエルでもよくあんなところに住んでるなあ。あんな生ぬるいところ、気持ち悪いんだよ。俺は、沢のきれいな冷たい水が好きなんだ。

ちなみに親戚なんだよ、雨蛙とモリアオガエル、シュレーゲルとは。指見てくれたらわかるよ。

うでよ、田んぼって言われりゃあ俺のことじゃないなと思うんだ。ちなみによ、殿様ガエル、グカカッ、グカカカカッ  ありゃあ品がないよ、雨蛙、「ゲッゲッゲッゲッ…」「クワックワックワッ…」。
コロロコロロコロロコロコロというだろ、これに近いのは、モリアオガエルかな。あいつは、コロコロッと聞こえる確かに。けども、吹く、って感じじゃない、叩くだよ、カスタネットだ。吹くって感じでいやあ、やまあかだよ。あいつはいい声してるぜ、でもよ、ありゃ鳴くのは三月頃だ。月夜を楽しむ時じゃないだろ。
初夏の月夜には、 殿様ガエル、雨蛙、、モリアオガエル、シュレーゲルアオガエル、こいつらが一斉になくんだよ、100dbは超える。そりゃあ子供ねかしつけるどころじゃないよ!、工事現場。親が睡眠不足になってしまう。

(↑ 中央 右よりやや下の岩に張り付いているのが俺)
「中津川や 月に河鹿の啼く夜なり 涼風追ひぬ夢見る人と(石川啄木)」という歌があるらしい。この月夜に恋人との逢瀬の演出をしてやってるのが俺だ、
「フィフィフィフィフィフィ、フィーフィー」
カジカって呼んでくれてるが、何でも雄鹿の啼くのに似ているからっていうじゃないか。機会があったら、連れてきてくれ。兄弟になってもいい。
「暮れそむる湯原の渓を 幾すぢの白き瀬のこり河鹿また鳴く(与謝野鉄幹)」
「フィフィフィフィフィフィ、フィーフィー」
月光に光る笛、、一番近いのは俺の声だぜ。けども、俺の住み家は渓流、沢なんだよ。
まあいいけどね山の里では、沢と田んぼは隣同士だ、夜は川は見えない、田んぼから聞こえると言うように言われているのかもしれない。
蛍が、俺の笛に合わせて踊ってくれるぜ。

初夏の山里の月夜、笹百合が甘く香りを漂わせてくれる、来てみないか、歓迎するぜ。

« Older entries § Newer entries »