宮津エコツアー · 8月 2021

8月 2021

ある日のエコギャラリー「花美世屋」

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写真だけでなく、丹後を構成した石や木や民具も、、ありとあらゆるものが仲間として、集っていて、混然としながら一体感を醸し出していると感想をいただきました。

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その構成は、「一体感を醸しながら混然としている」というかたも実はあります。まあ、言い得て妙!なら、「一体感を醸しながら混然としている」でも、「混然としながら一体感を醸し出している」でもどちらでもありがたいです。

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さて、その中には関係書籍なども。特に丹後ゆかりの児童文学者「かわきたりょうじ」コーナーの充実は市立図書館以上。

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言葉の名人川北さんの本は、「puboo.jp/book/132791」(←ここをクリック)で、金山のようにきらきらした川北ワールドをごらん頂けますよ。コロナ禍で出歩くことでできないうっとうしさをはらしてくれる本、探してください。

 

日置の◎矢ファームさんの畦にナツスイセン。

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8月16日は宮津灯籠流しの打ち上げ花火が盛大に、、、というところなのです。しかし、あいにくの事情で今年も中止、、、いつまで続くのやら、という人のため息が聞こえたのか、そうなら私たちが、と咲いてくれたかのようです。

7月の出船祀りに続いて灯籠流しと続く海の京都の一大イベント、その様子をしっかりと映しておいてくださったのが、今井由一さん。

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里山エコギャラリー「花美世屋」で、厳選16点を展示しています。

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その他、太陽となり雲となり雪となり虹となって神様が現れたかのような天橋立を凝視した写真60点を含む約250点の今井ワールドもお楽しみください。

 

宮津湾を見晴らす京都府立丹後海と星の見える丘公園の、風の谷に現れた風車群。

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いくつもいくつも、風をとらえようとしている風車。

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テラスだけではありません。

20210802_151459「かわいらしいことしとんなりますわなぁ!」単純なだけに、この背景になにか、目的、意図、メッセージが隠されているのではないか、なにに繋がっていこうとしているのか、深読みしてしまいます。

さて、人は経験を踏まえたメッセージを「風」のイメージを借りてたくさん表してきました。

◇山雨来らんとして、風、楼に満つ(さんうきたらんとして、かぜ、ろうにみつ)
何事か変事が起こる前に、なんとなく不穏な気配がただよう様子。「楼」は、高殿。山の雨が降り出す前には、前ぶれとしての風が高殿へ吹きつけるということから。「山雨来らんと欲して風楼に満つ」ともいう。

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風は、姿は見えなくても、実に有言、奥の深いもの。いわゆることわざや格言、慣用句
秋風が立つ(あきかぜがたつ)
男女間の愛情がさめるたとえ。「秋」と「飽き」をかけたことば。

秋風と夫婦喧嘩は日が入りゃ止む(あきかぜとふうふげんかはひがいりゃやむ)
秋風が日暮れになると静まるように、夫婦喧嘩も夜になるとおさまるということ。

商人と屏風は直ぐには立たぬ(あきんどとびょうぶはすぐにはたたぬ)
屏風は折り曲げないと立たないように、商売も自分の感情や理屈を曲げて、客の機嫌を損ねないようにしなければ繁盛しないということ。

明日は明日の風が吹く(あしたはあしたのかぜがふく)
先のことをいくら心配してもはじまらないので、なるがままに任せて生きるのがよいということ。明日は明日で、今日の風と違う風が吹くという意から。

網の目に風たまらず(あみのめにかぜたまらず)
無駄なこと、何の効果もないことのたとえ。網で風を防ごうとしても、風は網の目を通り過ぎていくことから。

網の目に風たまる(あみのめにかぜたまる)
ありえないことのたとえ。風は網の目を通り抜けるはずなのに、網に風がたまっているという意から。

雨塊を破らず、風枝を鳴らさず(あめつちくれをやぶらず、かぜえだをならさず)
世の中が大平であることのたとえ。周公が中国を統治していた頃は天下泰平で、雨は静かに降って土のかたまりを壊さず、風は木の枝も動かないように静かに吹いたという故事から。

阿波に吹く風は讃岐にも吹く(あわにふくかぜはさぬきにもふく)
ある土地の風習は、他の土地にも移る。上の人の行いは、下の者も真似るようになるということ。また、どこの土地でも人情は変わらないということ。「阿波」は現在の徳島県、「讃岐」は香川県。

一に褒められ二に憎まれ三に惚れられ四に風邪ひく(いちにほめられにににくまれさんにほれられしにかぜひく)
くしゃみについてのことわざ。一回なら誰かに褒められているし、二回は憎まれていて、三回は惚れられているが、四回は風邪をひく前兆である。

一世を風靡する(いっせいをふうびする)
その時代の人々を、一つの傾向に従わせること。また、その時代に大きな影響を与えること。

入り船に良い風出船に悪い(いりふねによいかぜでふねにわるい)
一方によいことは他方には悪く、両方によいことはないというたとえ。入り船に都合のよい順風は、出船にとっては逆風になるという意から。

浮世の風(うきよのかぜ)
思うようにならない世間の風潮。

馬の耳に風(うまのみみにかぜ)
馬の耳に風が吹きつけても馬は何も感じないことから、人の意見を聞き入れない、または聞き流すことのたとえ。

越鳥南枝に巣くい、胡馬北風に嘶く(えっちょうなんしにすくい、こばほくふうにいななく)
故郷の忘れがたいことのたとえ。 中国南方の越の国から北国へ渡った鳥は樹木の南側の枝に巣をかけ、北方の胡の国から来た馬は北風が吹きよせると故郷を想って嘶(いなな)くという意から。 『文選』の古詩「胡馬は北風に依り、越鳥は南枝に巣くう」による。 単に「越鳥南枝に巣くう」や「胡馬北風に嘶く」ともいう。

追風に帆を揚げる(おいてにほをあげる)
勢いに乗って物事が順調に進むたとえ。追い風に帆を揚げれば船は早く進むことから。

大風が吹けば桶屋が儲かる(おおかぜがふけばおけやがもうかる)
思いもかけないところに影響が出るたとえ。また、あてにならない期待をするたとえ。 大風が吹けば土ぼこりが舞い上がって目に入り、目の不自由な人が増える。目の不自由な人は三味線で生計を立てようとするので、三味線に使う猫の皮がたくさん必要になる。猫が少なくなるとねずみが増え、ねずみが桶をかじるので桶屋が儲かって喜ぶ、という話から。 「風が吹けば桶屋が儲かる(喜ぶ)」ともいう。

大きな家には大きな風(おおきないえにはおおきなかぜ)
人にはそぜぞれの境遇に合った悩みがあるということ。金持ちは何の心配もないように見えるが、家が大きければ、それなりに風当たりが強く、金持ちなりの悩みがあるという意から。

風穴を開ける(かざあなをあける)
銃や刀などで胴体を貫くような穴を開けるという脅し文句のこと。 また、組織や状態が硬直しているところに、新しい風を吹きこむことのたとえ。

風上に置けない(かざかみにおけない)
性質や行動が下品で卑劣な人間をののしっていう言葉。悪臭のある物は臭くて困るので、風上に置くわけにはいかないという意から。「風上に置けない」ともいう。
風に櫛り雨に沐う(かぜにくしけずりあめにかみあらう)
風雨にさらされて苦労することのたとえ。風で髪をとかし、雨で体を洗うという意から。「櫛風沐雨」ともいう。

風の前の塵(かぜのまえのちり)
物事のはかないことのたとえ。また、危険が間近に迫っていることのたとえ。塵は風にひとたまりもなく吹き飛ばされてしまうことから。

風は吹けども山は動せず(かぜはふけどもやまはどうせず)

周囲の騒ぎの中で、少しも動じないで悠然としていることのたとえ。激しい風が吹き荒れても山はびくともしないという意から。

風を切る(かぜをきる)
勢いよく進むさま。また、風に逆らって進むさま。

肩で風を切る(かたでかぜをきる)
肩をそびやかして、得意げに颯爽と歩くさま。また、得意げに振る舞うさま。

喬木は風に折らる(きょうぼくはかぜにおらる)
優れた人や高い地位の人ほど、人からねたまれて失脚することが多いというたとえ。高い木ほど強い風を受けて折れやすいという意から。「高木は風に折らる」ともいう。

水母の風向かい(くらげのかぜむかい)
いくらあがいても無駄なことのたとえ。水母が風上に向かっても進めないことから。

高木は風に折らる(こうぼくはかぜにおらる)

地位や名声の高い人ほど、人からねたまれたり批判されたりして身を滅ぼしやすいことのたとえ。高い木ほど風当たりが強く折れやすいという意から。「大木は風に折らる」ともいう。

子供は風の子、大人は火の子(こどもはかぜのこ、おとなはひのこ)
子どもは寒い風が吹く中でも元気に外で遊びまわり、大人は寒がって火のそばを離れないということ。
山雨来らんとして、風、楼に満つ(さんうきたらんとして、かぜ、ろうにみつ)
何事か変事が起こる前に、なんとなく不穏な気配がただよう様子。「楼」は、高殿。山の雨が降り出す前には、前ぶれとしての風が高殿へ吹きつけるということから。「山雨来らんと欲して風楼に満つ」ともいう。
疾風に勁草を知る(しっぷうにけいそうをしる)
困難にあった時、はじめてその人の真価がわかるというたとえ。「疾風」は速く吹く風、「勁草」は強い草の意。速く激しい風が吹いて、はじめて強い草が見分けられるという意から。

透き間風は冷たい(すきまかぜはつめたい)
義理の仲が、なんとなくしっくりいかないことのたとえ。また、友人や男女の間で感情の隔たりができると、まったくの他人どうしでないだけに、よけいに冷たさが身にしみるというたとえ。
たまに出る子は風に遭う(たまにでるこはかぜにあう)
ふだんしないようなことをすると、失敗したり不運に出遭ったりするというたとえ。めったに外に出ない子がたまに外出すると、その日に限って大風が吹くという意から。

月に叢雲、花に風(つきにむらくも、はなにかぜ)
良いこと、楽しいことにはとかく邪魔が入りやすく長続きしないというたとえ。名月には雲がかかって見えず、春の花は風が吹いて花びらを散らすということから。

出船によい風は入り船に悪い(でふねによいかぜはいりふねにわるい)

一方によければ他方に不利で、両方によいことはないというたとえ。出船に都合のよい順風は、入り船にとっては逆風になるという意から。

風流は寒いもの(ふうりゅうはさむいもの)
雪見や梅見などは、風流を解さない者にとっては寒いだけでつまらないということ。

吹く風枝を鳴らさず(ふくかぜえだをならさず)
世の中がよく治まり平和なようすのたとえ。吹く風が静かで枝は音も立てないという意から。

舟は帆任せ、帆は風任せ(ふねはほまかせ、ほはかぜまかせ)
すべてを成り行きにまかせることのたとえ。帆掛け船は帆任せ、帆は風任せで進むので、自力ではどうしようもないという意から。

分相応に風が吹く(ぶんそうおうにかぜがふく)
人にはそれぞれの身分や地位に応じた生き方があるということ。

昔は肩で風を切り、今は歩くに息を切る(むかしはかたでかぜをきり、いまはあるくにいきをきる)

昔は威勢のよかった者が、今は衰えてしまったことのたとえ。若いころは肩で風を切ってさっそうと歩いていた者も、年をとって歩くだけで息切れするということから。

無常の風は時を選ばず(むじょうのかぜはときをえらばず)
風が咲いている花を散らすのに時を選ばないように、人の命もいつ果てるのか、まったく予測はつかないということ。

目病み女に風邪引き男(めやみおんなにかぜひきおとこ)

眼病で目がうるんだ女と、風邪をひいている男は色っぽく見えるということ。

物言えば唇寒し秋の風(ものいえばくちびるさむしあきのかぜ)
余計なことを言うと、思いがけない災難を招くということ。松尾芭蕉の句。

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こういうのを風車とあわせて掲出しておけば、目に見えない風が、可視化されて、雰囲気が締まるかもしれないなと思いました。

晩夏の空に吹き流しが泳ぐのは、日置金剛心院の盆の施餓鬼。

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鯉のぼりは5月限定のものですが、吹き流しを踊らせるのは通年可能ですね。

さて、風と遊ぶおもちゃがかざぐるま。海星公園の背後の山の尾根に、この風を利用しようと、風力発電所をたてる目論見が動いています。いわゆる丹後半島風力発電所プロジェクトです。これは、高さ百数十㍍といいますから、単なるデコレーションではありません。こうなると、かざぐるまではなく、つばすがブリに名前を変えるようにふうしゃ・風車。

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風は、光にあふれ雲が湧く大地と海洋の生み出すエネルギーに満ちた大気現象です。それの利用は人類の未来が架かった大きな課題です。

しかし、景観に悪影響は出たり、大型工事で地質が耐えられず崩れたり、生態系が壊れたり、風きり音や低周波が住民に健康被害を及ぼしたりするようなら、迷惑施設です。

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エコロジーとエコノミーの両立の確認が大原則。そういう目でみると、伊根の重伝建や天橋立の借景になっていたり、一帯の山は地滑りしやすい堆積岩地層であったりのですから、現状は無理筋な計画と思わざるを得ないと感じています。

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これは大宮町 平井電気さんの風力発電機です。大宮平原に吹き抜ける北風と南風をとらえて回っています。京都府も助成しているそうです。

アマゾンではさらに小型の事業機もあるようです。

「800Wの恒久的なMARLEV風力タービン発電機、コントローラの風が付いている24V 48V屋根と街路照明のための乱用,1000w,48v
800Wの恒久的なMARLEV風力タービン発電機、コントローラの風が付いている24V 48V屋根と街路照明のための乱用,1000w,48v
¥145,184¥145,184 」

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化石燃料は温暖化加速エネルギー、原子力は危険暴走エネルギー、何から取り出すエネルギーで地球を動かすのか、地球デザインスクールの運営する風の谷には、そういう問題を解決するモデルとなるような「風力」を、設置して、アピールしてもらいたいものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある国会議員さんが当ギャラリーに立ち寄ってくださって、様子をご自身のブログにアップしてくださいました。

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「2021/8/2
宮津市の山間部にある上世屋地区を訪問しました。上世屋地区は10軒、約20人の小さな集落ですが、若い移住者の方が増えており、ベルギー出身男性と日本人女性の家族によってビール工房の準備も進められています。
日本の原風景を残す上世屋地区。安田潤さんのギャラリー「花美世屋」は上世屋の歴史や魅力が一目で分かりますので、機会があれば是非ご覧になってみて下さい。」

『宮津 花美世屋 ギャラリー』で検索してみてください。

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過分のコメントに恐縮するとともに、自分で動いて自分の目で見て聞いて考え、知らせて、つなぐ、そんなこまめで丁寧な活動ぶりに、党派を超えて感心したことです。

さて、そのギャラリーの運営についての最新バージョンです。

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運営協力費、500円を300円に改訂しています。学生さんは無料は変わりません。

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また、花美世屋と名乗っているのは、季節季節に花が美しく彩る里にという願いから、なので、スイセンやヒガンバナの球根、あるいはムクゲやサルスベリの苗木など持ってきていただければ即無料にさせていただきますよ。

細川藩が、河口にお城を造った時に、川筋を変えて大手門を隔てる堀代わりにしたので、それ以後大手川、かっては「宮津川」と呼ばれていたその川で、宮津高校フィールド探究部の皆さん。

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与謝野町の川の学校が縁で滋賀県立大学の先生たちの指導のもと、流水工学を活かした河川環境の回復実験というのがテーマとのこと。

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猛暑とコロナ禍の緊張の中、幸せな夏休みを過ごさせてもらっていることに感心しながら、

なにか面白い発見はありましたかと尋ねると、

「上宮津まで川の中を時々泳ぎながら登ってみました。かなりの数のアユに驚きました。」

おお、アユが!

「持っていった刺し網でも捕れましたし、タモでガサガサをしても捕れました。かなりハードルが低かったですね。」

なんとぉ、とびっくりしました。

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大水害普及の河川改修は三面張り工法で、河川環境を損なうてしまった事例が多く、ご多分に漏れずこの大手川も、と思っておりましたけど、なんとぉなぁ すこし様相が違うようです

敏捷さを誇る天然遡上アユがタモ網ですくえた!

山と川と海の間の関係が寸断されて、、という話ばかり聞く中で、すごい朗報だと思いました。

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大手川河川工事が、どんな工事思想をもってすすめられたかを知りたくて、検索している内に当の京都府土木事務所さんが、大手川激特事業の出前語らいという形で公開されている資料に出会いました。

読んでみると、環境を大事にするという考えで行われていたということが伺えて、参考になればと思いましたので、長いですが、引用します。

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大手川激特事業の出前語らい 丹後広域振興局サイト

大手川激甚災害対策特別緊急事業について

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宮津市の中心部を流れる大手川については、平成16年10月20日の台風23号により2,400戸を越える浸水被害など、大変大きな被害を受けました。

そのため、抜本的な治水対策を早期に実現することが必要であり、「河川激甚災害対策特別事業」により本格的な改修工事を行うこととなりました。

ここでは、大手川激甚災害対策特別事業の概要などについて、宮津市の市民団体(宮津美しさ探検隊)の皆さんに説明しました内容を掲載しています。

京都府丹後土木事務所災害対策室です。

本日は、京都府で現在事業を進めています、大手川の河川激甚災害対策特別緊急事業の概要について説明します。

普段の大手川は皆さん、ご存じのように非常に緩やかな流れをもつ川です。

しかし、大雨が降るとその景色は一変します。この写真は、昨年10月20日の台風23号の翌日にヘリコプターで撮影した航空写真です。 青い線が浸水の範囲です。宮津の市街地の大部分が浸水しているのがわかると思います。 この台風により、2名の尊い人命が奪われ、家屋の浸水被害も約2,500戸となりました。

この写真は、大手川で一番早く水がつく京口橋付近の状況です。

ここは地盤が低いうえに、橋の真ん中の橋脚が流れを邪魔し、今回のような出水の際には、この写真のように大量の流木やゴミなどが引っかかり、浸水の大きな原因となっています。

また、滝馬地区では土石流が発生し、二人がお亡くなりになり、家屋被害も全壊10戸・半壊2戸・一部損壊3戸という大きな被害を受けました。

この写真は翌日の10月21日に撮影した航空写真です。テレビのニュースでもこのような映像が何度も放映されていましたので、ご存じの方も多いと思います。 この土石流に対しては、自衛隊の出動要請が出され救助にあたっていただいたところです。

これが滝馬地区の対策工の全体計画です。この赤い部分が砂防堰堤というものです。現在6箇所が予定されています。 土石流をコンクリート製のダムで受け止め、下流への被害を防ぐものです。

数カ所で堰堤を計画していますが、現在具体的に着工しているものとしては2箇所あり、ともにその高さは8.5メートルです。 現在の工事状況です。この写真は滝馬2の現在の状況です。現在この2基についてはほぼ本体ができあがっています。

さて、これだけの被害をもたらした台風23号の雨は実際、どのように降ったのでしょうか?

この表は、当日の雨量と水位の経過を表したものです。棒グラフが各時間の岩戸地区雨量を表しています。折れ線グラフは京口での水位の変動を表しています。午後2時から5時の3時間で143ミリの雨が降っています。京口での水位は午後6時に最高水位3.87メートルを記録しています。 大手川の場合、岩戸で大雨が降ると、1時間後にはこの付近の水位が上がると考えてください。

また、この雨量・水位は、現在インターネットでも見られますので、是非チェックしてもらい、災害に備えてもらいたいと思います。 これは、周辺の地盤の高さから1.26メートル上まで水が上がってきたことになります。

このあたりでは、ほとんどの家屋が1メートル程度浸水しています。この写真は実際の水位が私の胸まであったことを示しています。

今回の大手川での被害はこのようになりました。死者が2名、浸水による家屋被害が2,485戸となりました。激特事業の採択基準は浸水家屋戸数が2,000戸以上であるので今回の被害は採択基準を満たしております。 この激特事業が京都府で採択を受けたのは昭和61年の城陽市の古川以来、2件目です。

大手川の出水被害の原因について説明します。

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大手川に限らず、近年局所的な集中豪雨が多く発生しており、各所で過去最大の被害が起こっています。これには、複数の要因が絡み合っています。一つは地球温暖化の問題です。地球温暖化の影響で、今後の台風は数は少なくなるが規模が大きくなるといわれています。昨年の台風23号もそういったことが言えるのかもしれません。

次に山林の荒廃について述べます。かつての日本の森林、特に西日本ではクヌギやシイなどの広葉樹を中心とした森林が広がっていました。しかし、戦後の造林政策などで、スギ・ヒノキを中心とした針葉樹林が大部分を占めるようになりました。針葉樹は広葉樹に比べ根の張り方が弱く、常緑のスギ・ヒノキの場合、落葉がほとんど無いことから、落ち葉の分解による表土の形成がされず、広葉樹に比べ、保水力が弱く降雨時の土砂流出も多い傾向にあります。特に近年、外国の安価な木材に押され、働き手の高齢化や人材不足も手伝って、森は荒れ放題になっています。これが、降雨時に一気に川の水を増水させ、度重なる土砂流出を引き起こしていると考えられています。

また、米の減反政策により、休耕田が増加していますが、休耕田が増加することで、水田の持つ保水機能が大幅に低下し、降雨時に一気に水が川に流れ込む傾向が強くなっています。たんぼは自然のダム機能をもっており、降雨を一時的に溜めることで川の水位を少しだけ働きもあります。

これらを解消するにはどうしたらいいでしょうか。キーワードは、「もったいない」という言葉です。ノーベル平和賞受賞者でケニアの環境副大臣でもあるワンガリ・マータイさんが「もったいない」という言葉を環境保護の合い言葉にされています。さらに2005年2月に発効した「京都議定書」では、温室効果ガスの排出量の削減が義務づけられています。私たちひとりひとりが限りある資源を有効に使うことで地球温暖化は防げると考えられます。

スギやヒノキの人工林は、間伐の促進や広葉樹の植林をすることで、森林の健全化を進める必要がありますが、現状では遅々として進みません。

休耕田の増加を防ぐには、国の減反政策を変えることや、農業政策を変換し、国内自給率の向上を図っていくなどが必要ですが、なかなか難しい問題があります。当面の措置としては、休耕田を利用したビオトープ池の整備もわずかではありますが、効果があるかもしれません。ビオトープとは、生き物の生息の場というドイツ語の造語ですが、今の日本はどこを向いても同じような景色が広がっています。これは、生き物についても言えることで、単調な環境は単調な生態系に結びつきます。かつての日本では、山にはいろいろな種類の木々が生い茂り、家の裏山では雑木林の木を定期的に刈り取って燃料に使用していました。川はくねくねと蛇行し、たんぼも同じ形のものはありません。川とたんぼは水路で結ばれており、その水路にはメダカやドジョウなど多様な生き物がいました。こうした環境を取り戻していくことが重要です。

大手川の改修では、かつての環境を取り戻すためのいろいろな工夫をします。いずれの対策も長い将来を見据えて行っていきます。当面京都府や宮津市としましては、治水といったハード面の対策を進める一方で、浸水区域の公表やその対応などの情報を発信するなどといったソフト面の対策を行い、住民のみなさんの防災に対する意識を高めてもらうことが重要だと考えています。ひとまかせにせず、自分たちで助け合ってことにあたる心構えを持っていただきたいと思います。

私たちの仕事は、河川法という法律に基づいて実施しています。平成9年に河川法が改正され、河川法の目的として三つの大きな柱が据えられています。今回、河川整備における基本的な考え方は以下のとおりです。

まずは「治水」ですが、これはいわゆる洪水対策のことです。 具体的には、昨年の台風23号の雨に対して、溢水被害が生じないような川づくりを行います。

次に「利水」、これは流水の正常な機能を維持するため、適正な水利用が成されるように努めます。 具体的には農業用の取水の確保や普段の水量の確保です。

最後に「環境」、これは平成9年の改正時に新たに加わった項目です。洪水を速やかに流すだけならまっすぐな川を作ればいいかも知れません。しかし、普段の水量に対する配慮が無ければ、そこに棲むいろいろな生き物の棲み場所は無くなり、水の流れは平坦なものになり、川中に草が生い茂り、その結果として砂のたまりやすい川になってしまうでしょう。これからの川づくりでは、洪水対策はもちろんですが、様々な環境にも配慮した川づくりを実施します。

ここからは大手川の激特事業について説明します。

青色の線は大手川とその支川を表しており、赤色の線は激特事業が採択された区域を示しております。 大手川本川の全長は約4.5キロメートルで河口からKTRまでを1工区、北近畿タンゴ鉄道から今福川合流地点までを2工区、今福川合流地点から2級起点までを3工区としております。

各工区の改修について説明します。

これは宮津市役所にある大手橋から上流を見た写真です。 第1工区全体はこのようなイメージを持ってこれから検討していきたいと考えています。 例えば、川沿いには可能な区間については遊歩道整備や桜・柳などの植樹を市や地域の皆様と連携しながら進めていきたいと思います。 具体的な内容については、これから検討していきます。 ワークショップというような手法も取り入れたいと思っています。

これは下流部第1工区の整備のイメージ図です。

これは大手橋から中橋のイメージです。

特にここには宮津城があった場所なので実際に城壁に使われていた石を用いたりして城下町の風情を残す川辺とするため、護岸は城壁をしのばせるような石積みとします。

来年早々に実施予定の河口部の工事内容について簡単に説明します。

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川幅は十分に広いので、基本的には川底を掘り下げます。 現在の川底から2から3メートル掘り下げるため、かなり海側まで掘削していく必要があります。

現在川の両側にありますヨシ帯を保全しかつ水の流れを確保するために、現在ある矢板護岸というものの前面にさらに深い矢板を打ち込みます。 矢板の頭は水面より上に出てきますので、景観に配慮した構造とします。 ヨシ帯は水質改善機能もあり、環境配慮という視点からも残します。 ヨシ帯については、賛成・反対ともに意見があるため、維持管理のあり方については今後検討していきたいと考えています。

今回の改修計画は過去の潮の高さを調べ、過去の最も高い潮位でも川があふれない計画としておりますので、堤防の高さが足りない区間については、パラペット護岸というものを設置します。

これは大手橋~中橋の横断図です。ここも河口部同様パラペットを設置し、川底を2メートルから3メートル掘り下げます。 この区間は先ほどのイメージパースに代表されるような、宮津城を忍ばす石積みや桜や柳のある遊歩道といった景観を意識した整備を目指します。次に2工区である中流部の説明をさせていただきます。

現在の状況はこんな感じです。

そしてこれが整備後の中流部のイメージです。

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堤防のブロックシートという護岸に土をかぶせ、コンクリートが見えないような川づくりを進めます。 水の流れは緩やかに蛇行させ、魚たちの住みやすい川づくりを進めます。 この区間は川がくねくねと蛇行して流れています。これまでは川をまっすぐにして、「早く水を海に流してしまえ」という発想がありましたが、川というものは元に戻ろうという性質があります。たとえ川をまっすぐにしても、いったん洪水被害が起きると以前の川の姿に戻っていることも良くあるそうです。大手川では、もともとの川の形を大事にしたいと考えています。

中流部(2工区)の整備イメージです。

堤防の護岸に土をかぶせ、コンクリートが見えないような川づくりを進めます。 水の流れは緩やかに蛇行させ、魚たちの住みやすい川づくりを進めます。 堤防の勾配は緩やかにすることにより、誰もが川に近づき、親しめるようになります。 これにより、川に住む生き物たちの環境の連続性を保つことができます。現在の上流部の状況はこのような感じで、これが改修後はこのようなイメージを考えています。

現地で発生する石を極力利用した石積みなど、護岸をすき間のある構造とし、魚類や小動物の隠れ場を造ります。川の中には石を残し、渓流的な景観を残します。このあたりは、川の中を掘ると大きな石がザクザクと出てきます。 この石を護岸に利用することで、河川環境にやさしいだけでなく、山を削って石を持ってくるといった山の環境破壊をも防ぐことができるのです。

また、まっすぐで隠れ場所の無い川では、いったん洪水が発生すると、魚などは隠れ場所が無いため、一気に海まで流れてしまいます。一般的に淡水魚は、海に流れてしまうと死んでしまったり、もとの場所に帰ろうにも困難が伴い、川の環境を取り戻すには何年もかかります。このように石を使うことで、魚の隠れ場所が出来、生態系の保全につながります。

上流部第3工区の整備イメージです。

これは上流部の横断図です。

現地で発生する石を極力利用した石積みなど、すき間のある構造とし、魚類や小動物の隠れ場を造ります。 川の中には石を残し、渓流的な景観を残します。特に上宮津保育所付近には残すべき景観として多くの樹木があります。 これらにより日陰ができ、水温が維持され、魚類の環境としては大いに効果があります。 そういった環境を子供たちの総合学習の場としても利用できます。 みお筋をつくり、川本来の流れをもたせます。

災害に強いまちづくりに向けて、私なりに思うことを述べさせていただきます。

今回、京都府では、河川改修や砂防堰堤の建設を行い、再度の災害を防止するための努力は進めていきます。 しかし、災害はいつやってくるかわかりません。また、昨年以上の雨が降ったら河川改修を行っても、やっぱりあふれるかもしれません。 佛教大学の植村教授という方が、昨年の大手川と野田川の被害状況をまとめられた「台風23号災害と水害環境」という本がありますが、この本の最後に地域住民への提言として次のようなことが書かれています。

・自分の命や財産は自己の責任で災害から守らねばならない。自己の責任と判断で適切な避難行動をとらなければならない。 ・現在の居住地がどのような災害環境にあるか理解すること。それにはどんな種類の災害がどこで、どの程度の強さで発生する可能性があるか知ることが必要である。 ・避難所と避難経路は実際に歩いて見て確かめることが必要だ。 ・地域の防災組織や伝達経路を知り、この取り組みに積極的に参加しよう。地域内のつきあいを通じて各世帯の家族構成、高齢者や乳幼児の有無などを把握しておくこと。

災害は忘れた頃にやって来ます。自分の身を守るのは自分自身なので、災害に対する情報は集めて、十分理解しておく必要があります。情報を有効利用するためにも日頃からその内容を確認をしておき、情報が錯綜する恐れもあるのでどの情報が自分に必要なのか選ぶ力も養っておきたいものです。

次は住民参加について説明します。

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大手川の河川改修工事は以上の内容で進めますが、地域の方々のご意見・ご助言を伺いながら取り組んでいきたいと思っています。 住民の皆様と行政により、豊かな川辺の空間が形成され、そのことによって川と街に人のにぎわいが生みだされると思います。

その住民参加ではいったい何ができるのか考えたいと思います。これは計画段階、工事段階、維持管理・利用段階といった各段階ごとで考えてみます。

まず、計画段階ではこれらのことが挙げられます。

景観検討委員会とは宮津の自然的、社会的、歴史的環境等との関連から周辺の景観との調和を図るための住民の皆さまから意見・案を出し検討していくものです。次にわんど整備計画は本川に何カ所かわんどを設ける計画で、わんどが整備されることにより、良好な水辺空間が形成されます。これは子供達の環境教育の場となり、イベントなどを通して自然の中で遊び、多くの生き物とふれあい、いろいろな体験をすることによって人間としての豊かな感性をつくりあげていけると思っています。

具体的にどのようなわんどにしたら良いのか、皆さんと一緒に考えていきたいと考えております。

次に工事段階です。

まず、工事見張り番とは、施工業者がどのような作業を行っているのか、日頃から注目し、住民の生活に極力支障のないように見張る。工事用ルートの策定や生活用通路・通学路の見直しを行い、住民で交通誘導し、子供たちを守るということが考えられます。 住民参加型工事とは子供を含む住民のみなさまに直接工事に携わってもらうというものです。その内容は植樹や木杭の打設といった簡単な工事を考えています。

最後に維持管理段階ですが、これが一番大事なことです。例えば、ボランティア活動として堤防の草刈りやゴミ拾い等を行う。普段から川の手入れをすれば川への愛着がもてると思います。それにより、皆さまに愛される大手川になると思います。

計画段階で話したように総合学習は豊かな感性を育むには必要で、河川は多種多様な動植物の存在する場なので、最も適していると思われます。この維持管理・利用の段階を特に住民の皆さまに協力を願いたいと思っております。

最後に市民グループによる水辺づくりの事例をいくつかあげます。

東京都日野市の向島地区の事例です。ここでは行政の呼びかけでビオトープが形成されました。協力してくださった方々は子供達の散歩コースとして利用している地域の保育園、子供達の魚取りの姿を目にしている小学校の先生、日頃水にかかわる活動をしている市民グループの皆さんであり、その皆さんによる清掃活動が開催されました。 その結果、自分たちの環境は自分たちで守ろうという意識が高まり、今でも市民グループを中心にした清掃活動が続いています。

次に栃木県栃木市の巴波川(うずまがわ)の例です。

この土地の優れた歴史と自然の風土を地元住民が再認識した結果、川沿いに立ち並ぶ蔵と巴波川が地元の財産であり、まちづくりのキーワードであることを官民あげて共有していきました。ハードとソフトの両面で整備が進められ、ソフト面では、まちづくりの啓発団体として「蔵の街援護会」か結成され、観光ボランティアなど、地域活性化への活動をしています。

その他、様々な団体ができ、多くの住民がまちづくりに関わり始めています。ハード面では、まちづくり事業の指定を受けたりと、蔵の保全・再生や舗装などの整備が行われています。 この事例は大手川の第1工区の宮津城の歴史的イメージを残すものと似ています。

鳥取県の八東川です。鳥取県は自然環境や地域づくりと一体となった川づくりに力を注いでおり、地域住民と一体となった活動も有名です。

この八東川は河川改修において畑地となっていた旧河道を派川として復元した事例です。復元された場所には多種多様な自然環境が形成され、みごとに緑溢れる川に戻りました。具体的には全く水の流れていない農地をもとの河川に復元するので特に、淵を再生するにあたり、古老の話を聞いたり、現地の状況を観察し、昔合った場所を明確にし、そこに再生しました。それにより自然の瀬と淵が形成され、豊かな自然が取り戻されました。大手川の中流、上流域でもこのとようなわんどをつくってはどうでしょうか?皆さまと一緒に検討したいと考えています。

“どこどこ”の大手川版のような流域マップの作成も良いのではないでしょうか?大手川のどこどこにアユがたくさん居ますとか、この先には今福の滝がありますとか、皆さんで実際に大手川を歩いてみて大手川のポイントごとの魅力を流域マップとして作成してはどうでしょうか?

自然環境の保全が叫ばれ、その重要性を認識していても、限られた財源の中で大手川の維持管理に乗り出すことは難しいのが現状ですので、環境保護団体を始めとし、広く市民(ボランティア)の積極的な支援・取り組みに頼るところが大きいです。

こういった成功した事例は少ないですが住み良い宮津市をつくるには皆さまのご協力が是非とも必要です。豊かな川辺の空間を創り出す主体は市民の方々であり、行政とのパートナーシップの関係が重要なカギになると思われます。 今後とも大手川激甚災害対策特別緊急事業にご理解・ご協力をお願いします。

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同じ宮津湾に注ぐもう一つの川、世屋川河口の日置では、昭和の初めころは農地用水にアユがあふれ、あたりはアユの香りに満ちていたという話が伝えられています。

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「総合学習は豊かな感性を育むには必要で、河川は多種多様な動植物の存在する場なので、最も適していると思われます。」と本講座。

こういうことが、異なる個性、成り立ちを持つ二つの川で、連携しながら、実情の調査と対策が進めばいいですね。