「木は
愛そのものだ」
とは、田村隆一さんの詩『木』の一節。
(上 長江のアカガシ 発見・撮影 多々納智氏)
さらに「正義そのものだ」とも。
「愛」とか「正義」という超抽象的な概念を描き、その本質を語るのは容易なことではないじゃないですか!田村氏は「木」という超具体的な言葉と組み合わせれば、それが出来るのではないかと考えられたのかもしれません。
次のような詩です。
木 田村 隆一
木は黙っているから好きだ
木は歩いたり走ったりしないから好きだ
ほんとうにそうか
ほんとうにそうなのか
見る人が見たら
木は囁いているのだ ゆったりと静かな声で
木は歩いているのだ 空に向かって
木は稲妻のごとく走っているのだ 地の下へ
木はたしかにわめかないが
木は
愛そのものだ それでなかったら小鳥が飛んできて
枝にとまるはずがない
正義そのものだ それでなかったら地下水を根から吸いあげて
空にかえすはずがない
若木
老樹
ひとつとして同じ木がない
ひとつとして同じ星の光のなかで
目ざめている木はない
木
ぼくはきみのことが大好きだ
、、、、、、、、、、、、、、、
この詩は、東京書籍版「新しい国語2」に掲載されています。愛とは何か、正義とはなにか、生き方と絡めて考え始める時期の子どもにぜひ読ませたいと選りすぐられた作品です。
それでなかったら地下水を根から吸いあげて
空にかえすはずがない
、、、、、そうかぁ、それが正義というものかぁ
それでなかったら小鳥が飛んできて
枝にとまるはずがない
、、、、、、、、そうかあ、それが愛というものかぁ!
、、、、、、、、、
木がしていること、もっともっとあげてみよう、、、それが愛なんだよ、それが正義なんだよ、、、、
「それでなかったら・・・・はずがない」
ここに田村さんの仕掛けがあるようです。
その仕掛けを生かして、先生と生徒たちはこの詩をどう学ばれるのでしょうか、教室を覗いて見たくなりました。
さて、二日は、「木に託す もり・まち・人の あす・未来」というテーマで
催された第七十回全国植樹祭(会場・「愛知県森林公園」)。そこで新令和天皇が述べられたお言葉。
、、、、、
我が国は、国土面積の三分の二を森林が占める世界有数の森林国です。健全な森林は、木材を始めとする林産物の供給のみならず、清らかな水、豊かな実りをもたらす大地や海を育み、さらには地球温暖化防止や生物多様性保全にも大切な役割を果たすなど、私たちに様々な恩恵をもたらしてくれる国民共通の財産といえます。
こうした、森林のかけがえのなさを思うとき、その保全はもちろんのこと、森林を伐採して利用することに伴い、再び苗木を植えて育てることを通じ、健全な森を次世代のために造っていくことは、私たちに課せられた大切な使命であると考えます。
全国から参加された皆さんと御一緒に植樹を行うことを喜ばしく思います。
今、こうして、初めて全国植樹祭に臨み、国土緑化の中心的行事として、七十年にわたり開催されてきた歴史の重みと、国土緑化に長い年月を掛けてこられた先人の努力に思いを馳(は)せ、感慨を覚えます。
ここ愛知県においては、林業の活性化や都市部における木材の利用、さらには、山から街まで緑豊かな愛知の実現に向けた、森と緑づくりを進める取組がなされていると聞き、うれしく思います。
そして、本日表彰を受けられる方々を始め、日頃から各地域において森林や緑づくりに尽力されている全国の皆さんに敬意を表し、そうした活動が、多くの人々によって支えられ、更に発展していくことを期待します。
この度の大会テーマである「木に託す もり・まち・人の あす・未来」にふさわしく、木材の利用や健全な森林づくりの輪が、ここ愛知の地から全国へ、そして未来に向けて大きく広がっていくことを願い、私の挨拶といたします。
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天皇制と木は似ているのかもしれません。
木は
愛そのものだ
正義そのものだ
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