2012/11/22
山川に風のかけたるしがらみは
流れもあへぬ紅葉なりけり
これはいい歌です、百人一首 32 番歌 春道列樹 作。
彼は、マクロレンズのような細やかなものを見つめる眼と音も聞き分ける繊細さををもっているひとだなと思います。
「風のかけたるしがらみ」とは風に散ったモミジが沢に落ちて石岩や木にかかって流れがせき止められているという状況でしょう。一枚のモミジの葉にせき止められる小川って箱庭のような情景じゃないですか。
詞書には、「志賀の山ごえにてよめる」とあるそうです。晩秋の山越えの道は落ち葉に埋もれています。落ち葉を踏んで歩く音、!小さな流れは沢に続いて沢音も聞こえてきます。
現代に蘇るなら、NHKBSの自然番組のディレクターになるような人なんでしょう。
(↑ 写真は世屋観音渓流)
そしてもしそんなことがかなうなら、そのディレクターさんにはぜひ世屋の里を案内したいものです。