この木の周りでは鳴き声のピーも聞こえません。
鳥たちは、この柿は赤くてもしぶくて食べられないことを知っています。これだけ赤いのだから食べてみようとつついた鳥もおそらくはいたのでしょう。しかし、舌が曲がるほどの渋みに閉口したはず。その学習体験が遺伝子レベルにまで刻み込まれているのででしょう。冬の太陽に透けて赤い飴色に輝くのがゴーサイン。雪が積もって食べ物が雪にうもれるころ、お腹をすかした鳥たちの貴重な食糧になります。
それにしても、この個体は、熟するのが特別に遅いのです。それこそ、そういう遺伝子をもっているのかもしれません、あるいは世屋の里の柿の木たちが寄り合い、一斉に熟すより、時期をずらせよう、何が環境の中ではおきるかしれない、時期が早いの遅いのと様々にある方がいいから、と申し合わせたのかもしれません。
一方、人は待ちません、待てません(^.^)
「渋柿や、甘くしてみようぞ あわし柿」世屋野蕪村
湯をはった大釜に渋柿をいれ、ご飯を炊いたあとの竃の残り火を利用して一晩おいておくのです。お年寄りが孫のためにやってくれるところが多かったのではないでしょうか、少し渋みがのこるものの柔らかい甘みは懐かしいです。
この干し柿は?
ええ神戸に出荷するんです、,お酒を飲んだあとに食べたら悪酔いしないから、とかチョコレート感覚で若い人にも人気があるそうです。ヒラタ柿という種類で、種がありません。1つ1つが手剥き。機械剥きは穴が開くのでそこからいたみやすいということ。