宮津エコツアー · 憶良様、麻襖(あさぶすま)は麻でつくった粗末な夜具と現代語訳していいのでしょうか

憶良様、麻襖(あさぶすま)は麻でつくった粗末な夜具と現代語訳していいのでしょうか

まるくまとまったものを団、蒲の穂を袋に入れた物を「蒲団」。これは、ガマの穂綿に触ってみれば即、納得です。

IMG_5021

ふわふわと柔らかくて、冬の寒さをしのぐ夜具にガマの穂綿は重宝されたのではないでしょうか!

上の写真はどこか毛むくじゃらの老猿の風情ですが、下のはまごうことなき蒲。

IMG_5023

さて、今日の世屋は氷点下の世界。

IMG_5492

そこで万葉集の、山上憶良さんとおしゃべりしてみたくなりました、、、。    「風雑(ま)じり 雨降る夜の雨雑じり 雪降る夜は術(すべ)もなく 寒くしあれば 堅塩(かたしお)取りつづしろひ 糟湯酒 うち啜(すす)ろひて 咳(しは)ぶかひ 鼻びしびしに しかとあらぬ 髭かきなでて 我除(われお)きて 人はあらじと ほころへど 寒くしあれば 麻襖(あさぶすま) 引きかがふり 布肩着ぬ 有りのことごと きそへども 寒き夜すらを 我よりも 貧しき人の 父母は 飢え寒(こご)ゆらむ 妻子(めこ)どもは 乞ふ乞ふ泣くらむ このときは 如何にしつつか ながよはわたる」( 貧窮問答歌) こう詠ってらっしゃいましたね。

この中で、麻襖(あさぶすま)とあるのが「蒲団」ですよね。  これを「麻でつくった粗末な夜具」 と現代語訳されていらっしゃるのですがいかがなんでしょうか、と。 私的には、[粗末]は余分かもとおもうんです。 ふすまは伏間、つまり寝どころのことで「ふとん、寝具」の意、衾とも表記、同衾とは一つの蒲団をともにすること、「襖」は衣服のあわせで綿がはいっているものというじゃないですか。

IMG_2880

(↑ 藤布)

木綿のない奈良時代、繊維は藤や麻から採った物が一般的で、中にガマの穂が入っている夜具なら上等だったのかもしれません。「麻でつくった」ものだから粗末、と言うのは当時的な感覚ではないでしょう、「我よりも貧しき人」とあるように山上憶良さんご自身かりそめにも公務員、貧窮のどん底にあるわけではないのです。「麻でつくった粗末な夜具」との現代語訳は「貧窮」のイメージに引きずられすぎじゃないでしょうか、と疑問を持ったのです。

IMG_5500

お暇でしたら、ご返事ください、ゆきんばの子どもたち、こんどはかなりたくましく成長して、力強くなってやってきました。お風邪めされませんように(^.^)

 

 

このページのトップへ