宮津エコツアー · 「駒倉」話

「駒倉」話

「世屋の雪、どれくらいになった」
2012,4,4
「世屋の雪、どれくらいになった」
a さんにたずねられました。
「せんべい布団ぐらいになりましたよ。」と答えました。
a さんは元先生。「私の初任は駒倉なのよ」と語ります。
 駒倉は、宇川の水源の里。上世屋、きご、内山、味土野に隣接する丹後半島のへその村です。
 「38年豪雪の春だったわ。四月、上世屋まで、幌のついたトラックで 。迎えの村の方が布団袋を背負ってくださって、歩いて峠を越えたのよ、滝の横を登って 雪が一メートルはあったわ」。
 a さんは話し上手です。農協の支所で日常品は買えたこと 缶詰が多かったこと、日置から歩くこともしばしば など引き込まれます。 「刺身をいただいたのよ、珍しいので何のお肉ですか、とたずねたら、 ウサギだっておっしゃるの」
 学校や農協など、公的な機関が設置されて活気を保っていた村も、分校が三年後に灯火を消し、その七年後に村も明かりが消えました。 駒倉峠を越えて下っていくと、右手の竹林の中に標柱が一本たっています。「こま倉分校跡」。廃村碑はさらに下ります。
 ところで、上世屋の0君のお母さんの実家はその駒倉です。せやから野間の村々は一つの通婚圏だったのです。彼のお母さんの話をきいて、Y(わい)が歌にしました。
      駒倉峠      y 詩・曲
1 夏になれば 若狭の海に 漁火燃える 峠だが
  春になっても 手はひび割れて 家路は遠い 峠の道
2 秋になれば 道ばたに りんどう花咲く 峠だが
  冬になったら 雪崩におびえ 吹雪に迷う 峠の道
3 沢に光る ネコヤナギを 見おろし歩く 峠だが
  春夏秋冬 喜び悲しみを  背中に背負い 峠の道

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