斜めに走る雨と顔打つ風、悩みました。岡の前で、、、!今、世屋に向かって来られているお客さんに、どういうか、せっかくの撮影旅行です。なのにこの天候。気の毒です。けれど、「あいにくな天気になりまして」などと、気分をいっしょにになって落としているわけにはいかないじゃないですか。「昨日だったらよかったんですけど、」などは、禁句中の禁句。テンションをあげなければなりません。
「ガイドの精進が悪くて」、、、心にもないことを、、月並みすぎ、、、、
「水中カメラを持ってきてもらってますか。」、、、、ごまかしのジョーク、、、
「必ずしも、撮影日和とは言えませんね。」、、、、そのとおりすぎ、、、、
「春の天気は4日周期、あしたは晴れますよ」、、、、なにいってんだか、、、
ギブアップ、思案投げ首で向かいの山に目をやりました。 向かいの谷をガスが登ってきます。ふと、思いました。「晴れていなくてはいけないという理由はあるのか!霧が、写真を撮ってくれと、絵を描いてくれているじゃないか!」根が単純です。「そうなんだ、上世屋には霧が似合う! これでいこう。」
「雨が似合う 風が似合う、それが上世屋、自然とマッチするのが世屋の里、雨も風も霧も大地に息づいている命の波動。成熟したカメラマンには、それが見える。」
春の命の波動を撮ってもらうぞ、心にそう念じて、お客さん一行を迎えに世屋街道を下りました。
その雨の中、照美さんは世屋マーケットに出すふきのとうを摘んでてくださいました。フキみそには開きすぎてるのでと言われましたが、テンプラには充分です。11個入り、百円、四袋完売です。坂田さんは、そばがきのお汁を準備してくださいました。これも好評。白石さんが火をおこし茶釜をかけ待ち受けて頂いていた囲炉裏にはカメラの放列。山県君も手伝いに来てくれました。しずかさんは、福寿草の咲く背戸の通行をこころよく承知して、雪掻きで痛む腰をさすりながら、こぎれいにと片づけてくださいました。そんな様子を井野本さんが見守っていてくださいました。
桜など撮りに来たときは、個人でも里の中にはいっていいか、とたずねられるお客さんがありました。世屋を美しいと思って頂く気持ちが入場券ですよ、とお答えしました。