「いらんちゃあ あんたにあげたんだで。」
てるみさんにふきのとうの売り上げ代金を届けに行ったときのことです。固辞されます。合計400円。受け取ってもらえないのです。
写真クラブの撮影ツアーが見えます、28人です。幹事さんとの事前のやりとりのなかで、世屋マーケット地元産品販売を依頼されていました。女性の方は買われますよ、と。では、何がと考えても、今の時期、野菜ものはありません。どうしても、加工品になります。しようがない、、、と考えていました。
そんなとき、足下から声が聞こえたのです、
「私を売ってください!」
いっているのは、ふきのとうでした。
「テンプラにしてもらったらおいしいで!」
「ふきみそにしてもらったら絶品!」
「わたしも売って」という声もしました。おとぎ・しろうまあさつきです。「京都の料亭でも通用する美味!って褒められたのよ。たしかなんちゃらげん先生、植物学会のえらいかたっておっしゃってたわ。」
ふきのとうやおとぎがそういってると、Yさん、Tさん、Sさんたちに声をかけてみたのです。反応はありました。ですが、当日、ふきのとうの姿はありませんでした。かたってもらいにくい時期、しかも雨、しょうがないとあきらめていたのです。
ところが、降りしきる雨の土手に彼女の姿。ひょっとして!と思ったら、ことづけてくださったのです。ただし、こんないなげもんども売れ れへん、ひらいとる、蕾でないとおいしない、 あんたらにあげる、すきにしにゃあと。
ご意向に背いて売りました!すみません、売れました!
こづかいだあな
「ええし、小遣いどもあるし」
おとっつぁんの飲み代に、
「作ったもん呑みなるで」
固い、ガードが!しかし、受け取ってもらわなくてはなりません。
孫さんも来なろうぎゃあ!
ゆらぎました、ここや ここでせめよう
な おばあちゃんのくれる400円は、お父ちゃんがくれる4,000円より値打ちあるで!
照美さんの表情がくずれました。
「孫がこどもつれてきましてなあ、会ってきたですだで!」
ひまごだにゃあの
「そうだあな、ひいおばあちゃん」
そらめでたい
前掛けのポケットに袋を滑り込ませました。楽しい押し問答でした。
※後日談
道の駅「和」で、ふきのとうバックを買いました。小パック詰め100円。これがおばなめばなと分かるぐらいに、みんなひらいていました。てるみさんに見せてあげます。
「ラベルやパックや輪ゴムなどのセットがあれば準備しやすいですね、」とKさん。
※ おとぎ
世屋でも上世屋中心に一部に限って生育。村田源先生によると白馬浅葱(しろうまあさつき)であろうとされる。本州中部から北海道に分布。特に白馬岳に多く見られる。アサツキの高山種で、アサツキより花弁が長い。上世屋では、弘法様の置きみやげと伝えられています。以前はユリ科やネギ科に分類されていましたが、現在はヒガンバナ科ネギ属の多年草とされます。開花は上世屋では、6/15日の撮影記録があります。高山では、7月から8月頃。