2012,5,7
「母さんが好きだった山ざくらの花は、今年も里より少し遅れてきれいに咲きました。」さだまさしさんの「山ざくらの歌」の一節です。普通の散文が、彼のメロディに乗ると美しい詩に変わるのです。歌は、こう続きます。「新しいランドセル、小川に写ります。ネコヤナギの芽がふくらんで、春は静かに咲きました。タラの芽を摘みながら、あなたに手を引かれ、歩いた山の深みどりは今も変わらない 草笛は懐かしいふるさとのうた」。
さて、「山桜の花は、里の桜より、少し遅れて咲く」。これは本当です。上世屋の里の合力の家の桜は山桜です。この桜は、ソメイヨシノの千代子桜や藤吉桜が4月19日に開花したのにたいして、27日に満開になりました。確かに、「少し遅れて咲きました」。
この歌は、日本の里のイメージソングかもしれません。ついでに紹介します。二番は夏景色です。「夏休み 水遊び ウシガエルの声は 泥まみれで帰った時 母さんの困った顔 盆踊り 新しい絣の浴衣着て 転んだ膝小僧にあなたの赤チンキのにおいがした 麦わら帽 カブトムシ 夕立 拾った子犬 しかられて鳴きながら見つめた赤い夕焼け 遠花火消ゆるあたりは母の里」。三番は秋から冬。「稲刈り 栗 柿にカラスウリ やきいも りんどう そして紅葉 あの子の吐く息 白い霜 やがて雪 あたたかな あたたかなあなたのような 膝のぬくもりが私にも 持てるでしょうか ささやかな幸せ くるでしょうか」。
エンディングは、また春。「母さんが好きだった山ざくらの花は、今年も里より少し遅れてきれいに咲きました。」
合力の家の山桜は、「好美桜」と言います。