丹後のツバキを見るなら、野間、青龍山洞養寺。
整った樹形に一杯に付けるのは大ぶりの八重の花。
「野間川の つらつら椿 つらつらに 見つつ偲はな 巨勢の春野を」といった風情でしょうか!
※本歌「河の辺(へ)のつらつら椿つらつらに見れども飽かず巨勢の春野は
春日蔵首老(かすがのくらのおびとおゆ)巻一(五十六)」
「つらつら椿」たくさんの花または葉の連なった椿。「つらつらに」念入りに。
「偲はな」〈しのふ〉はここにないものを思い浮かべる。〈な〉は希望または勧誘。
土地誉めは、土地土地の地霊や道の神々のご加護を得て旅の無事を祈るためには欠かせません。ツバキの背後には丹後の山。二つの三角形、ツバキが真似たのか山が真似たのか、見事です。山から里に下りてこられる春の神様の依り代として、咲き誇る洞養寺ツバキ、見逃せませんよ。
その山の中の味土野の里も、春。
城跡に咲くマメサクラやダンコウバイ、
お玉さんも手にとったのでしょうか。