宮津エコツアー · 天橋立エコツーリズムガイドの会 代表  小谷正さん

天橋立エコツーリズムガイドの会 代表  小谷正さん


天橋立ガイド部会 部会長  小谷正さん 「1本の松を見ていても、愛着を感じます」

小谷さんがガイドを務めるのは、日本三景 天橋立。左右に海を感じながら松のトンネルをくぐり抜けるこの場所は、かつて小谷さんの通学路でもありました。60年前、高校生だったころ目にした松が、自分と同じように長い歳月をかけて成長してきた姿を目の当たりにし「やっぱり、自然は変わっていくものだ」と感じたそうです。
これまでの仕事が地元の交通や観光関連だったこともあり、天橋立とのつきあいはとても深いのです。そして今、エコツアーガイドという役割の中で、小谷さんから天橋立への新しい恩返しが始まっています。

取材/宮津市

ガイドになったきっかけは何ですか?

2008年にエコツーリズム推進協議会で行われたガイド養成講座に参加したのが最初です。これまで地域の交通会社やホテルの仕事など、数十年間地元の観光に携わってきたので天橋立に対する愛着があり、何か恩返ししたいという気持ちでした。現在天橋立ガイド部会として、天橋立に来られる方をガイドしています。

お客様とのエピソードで嬉しかったことはありますか?

ホームページを見て、北海道の室蘭からお客様が一人旅で来られたことがありました。その方は「本物のこだわり旅を、コーディネートして欲しい」と。部会として、2日間時間にとらわれないガイドツアーを検討しました。その方は、宮津の夕日を見てとても感動されました。室蘭の方だから、きっと地元でも夕日はとても綺麗なはずです。ですが、こちらはこちらで、良かったと。
1年前に天橋立に訪れ、その時は上から眺めるだけだっそうです。なので今回は橋立を歩いてみたいと。そして橋立神社、籠神社、真名井神社、磯清水など、全部見たいとおっしゃられました。一部雷雨でご案内できない場所もありましたが、とても満足していただけたようです。とても旅慣れた方だったので、そんな方に満足していただけたのはとても嬉しいです。

お客様を迎える時、大切だと思われることは?

自分の本当に行きたいところ、というのは、皆さんこだわりを持っておられるはずですし、ニーズは高度になっています。宿泊の従事者が知ったかぶりをしても、お客様のほうがちゃんと勉強されていることもあります。お客様から教えてもらう、という姿勢でないといけない、と思います。

ガイドを通じて、伝えたいと思われることは?

これまでガイドと言えば、観光案内をしながらまわってもらうのが普通でした。エコツーリズム的な、一つ一つの植生やその地の歴史などを深く伝えるガイドは、ここ最近のものです。それも、お客さんのニーズが変わっているからだと思います。私たちもまだまだ地域の良さを発見できるはずですし、その良さが分かれば、地域を活かそうという気持ちになります。だから、深く知ることで良さを分かって欲しいと思います。
そして、地元に住んでいる人たちが、自分の地域をもっと誇りの思っていただけたらと思います。天橋立だけじゃなく、意外とどこにでも、良い所はあります。古い昔の事を知って行く事によって、地元に対する郷土愛ができていくのではないでしょうか。自分たちが国を愛していないと、その国は良くはならないのでは、と思います。

宮津エコツアーを、これからどうしていきたいですか?

エコツアーは、費用対効果は全くありません。ですが、それ以上に気持ちの問題が大きいと思っています。私もこれまでかなりしんどい目にあったけど、下積みがあってこそ、咲いた花はとても綺麗に見えます。地元の人、特に観光に関連する方がこのエコツアーの取り組みにもっと参加して、地域の魅力に気づいて欲しいと思います。

このページをご覧になった方へのメッセージをお願いします。

天橋立の中にも、松だけじゃなくいろんな植生があり、花も咲いています。安全な場所だし、子どもたちへの教育にもいいのではないでしょうか。実際に、歩いてみていただけたら、非常に癒されると思います。旅の方はもちろん、市民の皆様にも、ぜひ歩いてみて欲しいと思います。

小谷正(おだにまさし:1938年生)

NACS-J自然観察指導員、丹後観光口コミ大使。旧世屋村出身。高校時代の通学路は、「天橋立」、片道16キロ、天橋立の変遷もみてきました。美しい自然と歴史、人々との関わりをエコツーリズムの面から少しでもお伝えできればと思っています。(天橋立エコツーリズムガイドの会代表、宮津世屋エコツーリズムガイドの会)

このページのトップへ