「ニワトコ」。
対生する葉が、実に神妙。両手を広げて春の神を迎えていると古代の人は考えたのだそうです。春の活け花には欠かせない素材です。
ところで、八丈島、三宅島で「ミヤトコ」、伊豆大島で「ニヤット-」というそうです。それって方言だね!といいたいところですが、和名抄には、「ミヤッコギ・造木」という言葉が「ニワトコ」の古語、とあります。つまり「ミヤッコギ」が「ミヤッコ」→「ミヤトコ」→「ニヤトコ」→「ニワトコ」に転訛したものと考えられると。
方言は言葉の化石といわれることがあります。中央から地方へ広がった言葉が、中央では新しい言葉に変わったのに地方ではそのまま使われているというのがあるのです。東北と九州で同じ方言が使われている例もあるということです。
君が行き 日(け)長くなりぬ 山たづの
迎へを行かむ 待つには待たじ
巻2-90 衣通王
( あなたをお送りしてから随分日にちが経ちました。
今すぐお迎えに上がります もうこれ以上待てません)