宮津エコツアー · あんたは「銀竜草」。

あんたは「銀竜草」。

俺の背中に乗って♪って誰かが歌ってんだってねぇね 行先は「命のさばく」荷物は「雨雲の渦」とね。
それって何のこと?

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とギンリョウソウ。乗せた覚えもないんだけどなあと。けれどあんたは確かに「銀竜草」。
さて、このギンリョウソウについての新聞報道二つ。

一つ目、

とも144

カマドウマなどの糞を知らべるという発想かいいじゃないですか。

このネタいただきです。

もう一つ。/2010/9/6  陸奥新報に掲載されたというギンリョウソウ話。

「エコツアーガイドには、いろいろな知識が必要だ。知識の多くは文献や資料から得るので、熱心なガイドはそれぞれシコミのための使いやすいネタ本を持っている。
わたくしの場合、一般的な植物の利用に関しては「資源植物事典」(北隆館)、マタギさんの事例と比べるためのアイヌの人々の植物利用については更科源蔵・光著「コタン生物記」(法政大学出版局)、植物の地方名に関しては「日本植物方言集成」(八坂書房)、DNAの解析によって最近大幅に変わった植物分類体系に関しては大場秀章編・著「植物分類表」(アボック社)などのお世話になることが多い。
それらにもまして日常的にお世話になっているのが、京都大学名誉教授の河野昭一先生が監修された「ニュートン・スペシャル・イシュー 植物の世界1~4」(教育社)と、「植物生活史図鑑1~3」(北海道大学図書刊行会)である。「植物の世界」はすでに絶版で、同じ出版社から「植物の世界 草本編上・下および樹木編」として出されているようである。「植物生活史図鑑」は現在でも購入できる。
いずれも、生活史つまりいろいろな種類の植物の生活の仕方を詳しく研究した成果で、大変おもしろい。読むと目から鱗(うろこ)がぼろぼろぼろぼろ落ちていく感じがする。カラー写真とともにすばらしいイラストがたくさん添えられている。
「植物の世界」の第2号に、ギンリョウソウの記事が載っている。ギンリョウソウは、従来はイチヤクソウ科あるいはギンリョウソウ科とされていたが、新しい体系ではイチヤクソウ科もギンリョウソウ科もツツジ科に統合された。ちなみに、新しい体系では、カエデ科、トチノキ科がなくなり、ムクロジ科のカエデ属、トチノキ属になってしまった。油断もすきもないというか、茫(ぼう)然(ぜん)というか…。
日本には、ギンリョウソウの仲間は、ほかにシャクジョウソウとギンリョウソウモドキ(アキノギンリョウソウ)がある。3種類とも白神山地のブナ林でみられる。
白神山地ではギンリョウソウが最も多く、春の終わりから初夏にかけて林床に小さな群を作ってたくさん咲く。年によって、咲く数が違うようで、今年は少なかった。写真で真っ白に見えるのはまったく葉緑体を持っていないからである。漢字を当てるとすれば「銀竜草」らしい。美しい花であるが、不気味な感じもしないではなく、普通の植物離れしているので、ユウレイタケ(幽霊茸)(日本の野生植物・平凡社)とか、こけのゆーれい、ゆーれーそー、ゆーれーばな(日本植物方言集成)とか呼ばれることがある。
ギンリョウソウモドキは、ギンリョウソウによく似ているが、8月から9月にかけて咲くところが違う。シャクジョウソウも8月から9月にかけて咲き、色は純白ではなく麦藁(わら)色をしている。熟すると茎にいくつも付いた果実が上を向いてお坊さんや修験者が持つ錫(しゃく)杖(じょう)のように見える。今年もギンリョウソウモドキが咲き出し、シャクジョウソウはすでに一部は果実になっている。
これから先は、「植物の世界」の受け売り。ギンリョウソウの仲間は葉緑体を持たないから光合成ができない。そのかわり根には菌類が共生して「菌根」を作っている。植物は菌糸を細胞内に誘い込んで消化し、栄養を奪う。一方で、環境の厳しい夏には自分が菌根菌にむしばまれることを許して菌を養っていると考えられている。熾(し)烈(れつ)、絶妙な持ちつ持たれつの関係である。
このような知識を、ほとんど専門用語を使わずに、お客さまにわかりやすく説明するのが、すなわちガイドの腕というものである。そのためには仕込んだ知識をとことん咀(そ)嚼(しゃく)しておかねばならない。ガイドの中には生かじりの専門用語を振り回してえらそうな顔をする者もいるが、それは三流である。
(白神マタギ舎ガイド・牧田肇)(www.mutusinpou.co.jp/六感で味わう自然/2010/9/6 月曜日)」

「読むと目から鱗がぼろぼろぼろぼろ落ちていく感じがする。」その感動をお客さんと共有できればという思いは、共有できます。エコツアーガイドとしての心構えについて教わりました。

来年の初夏が楽しみになりました。

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