上宮津杉山エコツーリズムうガイドの会　代表　久古直子さん

上宮津・杉山ガイド部会　久古直子さん　「私たち、ここが好きや！」

長く長く続く林道と巨大な天然杉を持つ蛇紋岩の山「杉山」。久古さんは自分たちのガイドについて語る時、笑顔で、時に大笑いしながら楽しそうに語ります。それはなぜでしょうか？「私たち、ここが好きや！ということを伝えたい」という素直な思いからも分かるように、地元の宝を愛しているからです。もともと京都市街で育った久古さんが、京都北部の宮津で結婚された時には「こんな夜が暗いところって…」と嫌な気持ちだったとか。ところが今では、心から宮津の自然を誇りに思っているそうです。地元の人が、足下にある宝に気づくことの大切さを考える久古さんは、エコツアーガイドという道を選ぶ中でどのようなことを感じたのでしょうか。

取材／宮津市

杉山はどんな山でしょうか？

ニョキニョキと天然杉が並んでいるので、他の山とはちょっと変わった印象があります。中には幹周り５m以上もある天然杉もあるので、それを間近で見て頂いています。
あと杉山は4億5千万年ほども前の蛇紋岩でできた山です。蛇紋岩というのは、風化すると緑色の中にきらきらっと光る、蛇の鱗のように見えることからそう言われています。どこにでもある地質ではなくて、日本列島の中で活断層に近い場所で部分的に見られるものです。
あと最近は歴史ブームということもあって、宮津街道の古道歩きが好評です。宮津には、いい石畳が沢山残っていて、歴史の道100選にも指定されているので、今徐々に新しいルートや見所を開拓しているところです。

ガイドを通じて、伝えたいと思われることは？

「私たちは、ここ好きや！」というのを伝えたいと思っています。ガイドはつたない説明であまり上手ではありませんが（笑）でもよく聞いてくださったり。むしろ、お客さんが教えてくれたりすることもあります。それは恥ずかしいけど、でも最終的にはとても喜んでくれます。アンケートにも、「ガイドさんが何より楽しそうで、だから楽しかったんです」という声をいただきます。上手にガイドはできなくても、この場所が好き、というのはガイド仲間の間で共通です。例えば「杉」が大好きな人が杉を説明すると、とてもよく伝わるようです。

ガイドをしていて、改めて感じたことは？

ひとつひとつ、人間が違うように、この木とこの木は違うんだ、ということが分かってきました。そして、その自分の経験をちょっとでも伝えたいと思いながらやっていると、木の名前一つにしても、今度はお客さんが「地元ではこう呼ぶで」と。そしたらまた別の人は「いやうちはこう呼ぶ」と返します。一つの同じ木を見ながら、そんな風に広がって、深まっていく。理解をすると、人はそれを好きになっていくと思います。それがエコツアーのいいところだなあ、と思います。

エコツアーのエピソードで、思い出深いものは？

雪山でチーズフォンデュを（笑）　コンロやら何やら、いろんなものを山の上に運びました。その時スノーモービルで道具を運ぶ予定だったのが、大雪で動かせない。仕方が無いのでソリにつんで運びました。それはそれは大変でしたが、お客さんには「ようここまで持ってきてくれた」と。喜んで食べてくれたので、苦労はふっとびましたけど。喜んでもらえたら・・・それだけしかありませんでした。
ただあまりにも大変だったので、周囲の人からは「もうあんな事はせんでいい」と言われましたが（笑）

宮津エコツアーの面白さは何ですか？

どこの町にでも、昔の街道や風景はあると思います。ですが、宮津の良さというのは、海も近い、町からちょっと行ったら深い山に入っていけます。てっとり早くそういう体験をしてもらえたらと思います。
あと、頼んで作ってもらっているお弁当がどれだけおいしいか！ぜひ食べて欲しいです。古道弁当とか石畳弁当とか、いろんな名前をつけて、昔の旅人が使ったであろう竹の皮で包んで、お渡ししています。旬の魚などはもちろん、蛇紋岩米のおにぎりもおすすめです。蛇紋岩を通った水はミネラルをたくさん含んでいるので、それでできた米はすごくおいしいんです。

このページをご覧になった方へのメッセージをお願いします。

杉山だけじゃなく、妙見山ひとつ、題目山ひとつ…どれをとってもすごくいい自然であって、誇りを持てる場所です。市民の人にも、誇りに思ってもらいたいと思います。私はよそから（他地域から）来た者ですから、余計にそう思うのかもしれませんが、肴も美味しいし、歴史も深い、天橋立の絶景を見る事ができる、こんなに素晴らしいところなんだから、もっともっと知って欲しいという気持ちです。