2/9(木)、上世屋の里は積雪量約280cm、総勢7名はかんじきやスノーシューを履いて雪の降るなか新雪60cmをラッセルしながら田んぼや林の中を歩き回りました。木子などで伝わる「バイ投げ」と呼ばれるうさぎ猟を体験するためです。木子出身のYさんが若いときからされていた方法を直接に教わりました。以下、その要点を紹介します。
①早朝で、ある程度しまった雪面に10cmほど新雪が積もった状態の時が良い。 ② 地形的には北向き斜面の林内が良い。雪が解けずによくしまっていて、木々の元にできる雪穴がさほど深くないからと思われる。 そして、ウサギの居そうな雪穴を谷を挟んで反対側の南向きの斜面から観察する。 ③ウサギは夜行性なので活動を終える日の出前には②の木々の元にできる雪穴に入り休む。そのとき頭を外側に向けて隠れるようにして休む。 ④ウサギを見つけたら静かに大回りしてその雪穴の上部に出る。そして穴の上方の空中を飛ぶように ある秘密兵器(※)を投げる。 ⑤Yさんの説明では投げる(※)は、いろいろと試してみたが「クツゴミ」が一番効果があるとのこと。クツゴミとは今は使われていないが、ワラを編んで作った浅い靴のようなもの。現地のヒノキの枝を切り輪っかにして投げたり、数十cmの棒状の木の枝を投げたりすることもあるとのこと。 ⑥(※)を投げるとかすかに風を切る音がする。その音がタカなどの猛禽類の羽音に似ているので、襲われると錯覚してウサギは頭を穴の奥に向けて隠れる。ウサギの習性を巧みに利用していると言える。 ⑦そして素早く近づいて「後ろ足」を捕まえて獲物とする。その後、皮を剥ぎ肉は野菜と一緒にすき焼き風に煮て食べる。山里の冬の貴重なタンパク源となる。毛皮はあまり利用価値がないとのこと。
当日は雪が深く十分な時間もなかったが、参加者の一人が偶然に雪穴に潜んでいるウサギを見つけました。残念ながら逃げて捕まえることはできまさせんでしたが、実際に雪穴にいることが確認できたことはよかった。その後は、「合力の家」の囲炉裏で暖を取らせていただきましたが、次は是非とも捕まえてその囲炉裏でウサギ鍋を食べてみたいと息巻く参加者もいました。
(※)について、東北地方など雪国のマタギは、ワラをドーナツ状に編んだものに木の取手をつけて投げるそうです。それを、「なげわ」、「わらだ」、「わだら」などとよぶそうですが、全国的には他の呼び名や他のいろいろな方法があるのではないかと思うと、とても興味深いですね。