2013/02/27
コロコロビッシャン、伊根の民話に用いられている言葉です。
堅くて丸いものが、高い所から水面におちるような様子を想像させます。
なにかというと、「おおけなゆど※井戸の上に、栃の木があって。ほて、その栃の木に、栃の実がようけなってな。」、、、「栃」です。
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昔ある所に、話し好きの話し好きの子がおって。ほて、お婆さんに、毎日「話してくれ、話してくれ」言うて、するもんだて、「もう、お前に話しを堪能たんの聞かせる言うたってしゃにゃあ。ほったら、ーおおけなゆど※井戸の上に、栃の木があって。ほて、その栃の木に、栃の実がようけなってな。ほいてもう、コロコロビッシャン、コロコロビッシャン、コロコロビッシャン、コロコロビッシャン」言うて、夜中よじゅう、コロコロビッシャン、コロコロビッシャン、コロコロビッシャン、いうて言うとったら、ほたら、「もうもう、お婆さんの話もたーんのたんのした」言うて。ほてまあそれが、昔のたねくさりですわ。
(野室・井上つねさん)」 「丹後伊根の昔話」府立総合資料館昭和47年発行
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コロコロビッシャン、コロコロビッシャン、の語り口も一回一回を違えてお婆ちゃんははなしているのでしょう。夜中よじゅう、コロコロビッシャンといくつの実が井戸におちるのでしょうか。
この「栃」、5月6月に穂の高く立ち上がった花を付けます。
(↑ 5/18)
蜂蜜の蜜源植物としても重要な木です。
しかし、里山が針葉樹の人工林と化し、しかも、「水気を好み、適度に湿気のある肥沃な土壌」という環境を選ぶため、姿を消していきました。そんななかで、巨樹が濃い密度で自生している丹後縦貫林道、成相線は貴重な観察ポイント。
秋にはほんとに「ようけなる」様子も見られます。連絡ください。案内します(^.^)
また、この果てない話、同じ設定で栃が、シイの木や榎の木に代わります。椎の場合は、「ぽとーんと落ちてきて、ころころころころ、ポチョン」、榎木の場合は「カラカラ、ポッショーン、カラカラ、ポション」