「真の言葉」。最近、触れた二つの言葉
2012,3,26
見るともなく見ていたテレビが、こんな言葉をいいました。
「もうちょっとな女の子」
おもしろいこというなあと思いました。
おもしろいと思わせる言葉は、詩的な表現です。
さて、そんな詩的な表現でも、二通りあるようです。
人を哲学させ行動させる力を持った説得力のあるものとそうでないもの。そこを分けるのは、 たくさんの躓きと知見と感動が凝縮したものかどうかかなと思います。躓き、立ち上がり、知見と感動が凝縮した、そんな言葉を、宮沢賢治は、こう表現しました。「真の言葉」。最近、触れた二つの言葉、それはまぎれもなく、(少なくとも私にとっては) 「真の言葉」です。
一つは、
「里山は命の鼓動にふれその尊さを知ることのできる場所」、
「里山は人々の温かな心が命を育む空間」
「自然と生きる知恵が溶けこんでいる里山の風景」
語ったのは、氏家さん(NHKテレコムスタッフディレクター)。
これを読むと、
・命の鼓動に触れられるんやて! はよはよ 触れさせてー
・命の尊さを知ることが出来るんやて! うっそー どうやったら知ることができるのー
・命を育む温かな心! ええねえ 素晴らしい 私ももちたい!で、具体的な例ではなに?聞きたいわー
・里山の風景には自然と生きる知恵が溶けこんでいるんやて!
すごいすごーい で、それってねえねえどういうことー?
そんなふうに心をかきまぜます。あげく、まずはいってみよう、里山に!
・・・・私の期待かも知れませんけど!!。
もう一つは、里山を訪れたお客さんにはぜひとも紹介したいと思っている詩です。
『百姓ってしってるかい』
春
耕耘機が ガアガア 田をすく
親子ガエルが ギャロギャロ
カニさん ニョキニョキ
タニシさん スースー
ちょっと そこ どいてくれ
夏
田の草取り ザアザア 音がする
セミさん ミンミン
トンボさん スーイスイ
血を吸うアブは小憎たらしい
トンボさん とんできて
パクッとアブを食う
秋
鎌でバシバシ 稲を刈る
黄金の稲穂 ブラーブラ
ススキさん フラーフラ
餅稲さん ブラブラ
あの雲美味そう 食っちゃうぞ
冬
ヨイサホイサ 雪すかし
ヒヨドリ ピーヨピヨ
吐く息 白い
お袋が言った
百姓の仕事は百色
春夏秋冬百色の仕事
そんな仕事が嫌いでなくなった
・・・・・・・・
描かれている世界は、里山そのものです。
親子ガエル カニ タニシ 草取りの音 セミ 血を吸うアブ
アブを食うトンボ 稲刈る音 揺れる稲穂 ススキ 餅稲 雲 雪すかし ヒヨドリ 吐く息、、、 ここで取り上げられているものは、里山の命の鼓動そのものではないですか、その命といっしょに暮らす仕事として百姓を自覚したことで、締めくくられています。
作者は?
宮沢賢治!ノー 金子美鈴! ノー
私たちにとって身近な人です。
世屋の里の今日をつくってきたたくさんの里山の人々の中でも、もっとも「若い」A君がその人。彼も「里山の人々」の仲間入りをするかどうか迷い悩んでいた時期がありました。もっとも強くなったのは20歳ごろ、その迷いを吹っ切ったのは、24歳になったころといいます。そのころにこの詩はかかれました。いわば、この詩は、里山の人になる百姓宣言!
先日再放映された新日本紀行『小さな花の歌~丹後・上世屋』は春の田で、耕運機で田を起こす青年の姿をエンディングとしていますが、額に汗するその表情には農業への何の迷いもありません、内面を活写したカメラマンの目のすごさを感じます。
ちなみにそのころこんな詩もしたためています。
「ある秋の日」
最後の稲刈りをしていた田に
「お前を刈り取ったら、僕は来年の四月までやすまれるんだで」
といったら、田んぼが答えました。
「僕だってこの稲、刈り取ってもらったら、来年兄ちゃんが声をかけるまで、寝ていたらいいんだでー」
山の木まで、
「兄ちゃん 僕も木の葉が落ちたら、来年、兄ちゃんが山へ仕事に来るまで休まれるんだで」と。
いる いる。
畔なみ君も、畑も、あぜも、道も、あぜ草までが!
なんだ、
ぼく一人かと思ったら、おおぜい友がいるではないか。
「お前たちー 白い雲 - 雲なんかに負けるなよー!」
「来年も がんばって豊年にしようよー」
※「お前たちー 白い雲 - 雲なんかに負けるなよー!」
この言葉が、黒坂正文さんの、「おーい雲よ どこへ行くんだい 太郎山の向こうまで おーい 雲よ どこへ 行くんだい 私は ここにいる」と歌う『おーい雲よ』制作のきっかけになりました。
「親子アマガエル」
畔付けしていると
背中に子供がのったアマガエル
ほらほら 危ない あっちいけ
耕運機で田をすいてると
アマガエルが真剣になって逃げている
耕運機を止める
四、五日 天気にしてくれと
※産卵のためオスがメスの上にのっている状態かもしれません。
オスメスの大きさはかなり違います。ひょっとしてモリアオガエルかも。
同じ緑色なので、よく間違われます。
「カニ」
カニがあぜ道を歩いている
百姓の敵だ
畔に穴を開ける
ナンマイダ ナンマイダ
グチャ!