◆賤の男が刈りつかねたる夏ぐさの中にまじれる月草の花
(木下幸文)
つかねるは「束ねる」、一つに まとめてくくる。たばねる。
また 「賤」には 意味二つ、
①拙者。わたしめ へりくだった一人称。
②身分・ 社会的地位が低いもの 「貴人 (あてびと) 、 賤が身何の変わりたる所あるべき」〈島崎藤村・春〉
そこで、刈りつかねるのが、わたしめですよ、と思いましたが、そう理解するのはやはり難しい。
彼は 江戸時代後期の歌人
ほう月草も刈るかね、
「へえ牛が喜ぶもんで」、、、、
、朝のお百姓の野良仕事を歌った詩とすべきでしょう。
彼が活躍したのは幕藩体制の矛盾が激しくなり、農民蜂起ののろしが上がった安永から文政のころ。美は身分や身なりではないんですよ、という主張があるよう。
ほほう、白花もあるのかね、、
「わしらもこの草、食べとりますで‥」
ちなみに、食用以外にも薬草として、解熱、利尿、解毒、虫刺されなどに。だいじな野の薬局、お医者さんです。