『福井県から京都府京丹後市の海岸に流れ着いた1個のサッカーボールをきっかけに、同市久美浜町のかぶと山小と同県越前町の城崎小の5年生同士が交流の縁を結ぶことになった。かぶと山小の児童は縁の不思議さに驚きつつ、学校や地域を紹介するビデオレターを城崎小に贈り、今後の交流に期待を寄せている』と京都新聞が載せたと漂着物学会 Japan Driftological Society。
(↑ 大島沖)
実はこの話、久美浜の海岸で拾って、持ち主をさがしあてて届けて、この交流が生まれるきっかけを作られた方が知人なもので、聞いていたのです。福井県ではすでに記事にされ、話題になっていたということです。
(↑ 左沓島右冠島 水平線に越前海岸、白いのが白山)
この話で興味深いのは、「福井県から京都府京丹後市の海岸に流れ着いた」と言うこと。対馬海流は南から北へ、丹後半島からは左から右へながれていきます。ですから、このボールは、能登半島をまわって富山、新潟へと流れていくはずなのです。丹後半島の西側、久美浜に漂着するはずはないのです、ありえないことがしかし、現実に起きた、それはなぜかということです。
おりから南下するブリによってはこばれた !まさか(^.^)
そこで、海流調査を検索してみましたら、八管区海洋速報に紹介されている若狭湾海流観測図を見つけました。
若狭湾には北へのおおきなながれだけでなくふくざつなながれか゛あることがわかります。
しかし、どの流れにのせても、ボールが経ヶ岬をまわるとはかんがえにい。
そこでさらに九州大学の調査資料。
日本海には大きく渦を巻くようなながれがあることをしめしています。
また、海水温度分布図もそれをうらづけています。
この三つの図にボールをのせてみたら、越前から久美浜へのボールの旅路か゛よみとれるのではないでしょうか。
わたし的には、ボールはいったん沖へ、そして北へながれ、さらに日本海の真ん中で渦を巻くながれのって兵庫県沖へ南下し、久美浜へ漂着、
そんなコースか゛推定て゛きるのではないかとおもいました。
はたして、「縁の不思議」の正体とは?
(↑海星公園記憶の丘から)
ちなみにこのボール、お婆ちゃんからのもらいたてのプレゼント、兄弟て゛あそんでいるうちに海に落としてしまったのだということです。それが今年の4月、そしてひろわれたのが10月。ボールは六ヶ月間漂流していたわけです。また、久美浜の海岸に漂着するもののなかには、ウオッカの瓶が流れ着いているとのこと、ウオッカは北のロシアの酒。中国、台湾、朝鮮半島からとはかんがえにくい。これらの事情を総合してかんがえれば、やはり、ボールは日本海大回遊の旅をしたのではないでしょうか!
さて、このエピソード、世屋の山からのぞむ海話のネタにさせていただきますね。