宮津エコツアー · 与謝野蕪村さんが詠ったタンポポ蒲公英は?

与謝野蕪村さんが詠ったタンポポ蒲公英は?

宮津高校のフィールド探求同好会の活動報告が、同高 Tweet ThisSend to Facebook に掲載されていました。

、、、、転載させていただきます。、、、、、、

080

「里地里山ツアーに参加してきました 」

4/23(土)、上世屋・波見谷が重要里地里山500選に選定された記念として組まれた「里地里山ツアー」にフィールド探求同好会の生徒が参加しました。
里山を管理されている方々と波見の山を散策しました。

088

道ばたで見つけた食用の「のびる」や「わらび」をみんなでかじったり、今ではなかなか見つけることができない在来のたんぽぽを見つけたり、キツツキが木を穿つ音に耳を傾けたり、たくさんの植物や生き物と触れ合うことができました。
また、竹林ではタケノコ掘りをしました。管理者の方の話によると、竹は管理をしなければ、どんどん生息域を広げていき、また、根が浅いために地滑りの原因になるということでした。
今回、このツアーに参加して人と自然とが「共生」していくことの大切さに気づくことができました。日本の原風景である里地里山。そこに暮らす多くの生物。そんな「生物多様性」あふれる場所を残していくためには、やはり、人が自然と寄り添って行かなければならないということを知りました。フィールド探求同好会として、これからも丹後の自然と寄り添いつつ学びを深めていきたいと思います」
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、

325ヤマザトが
(↑ヤマザトタンポポの特徴がみとめられる ※以下の同定は前同志社大学・光田重幸先生にいただいた見解です。)

素晴らしいとおもったことは、「丹後の自然と寄り添いつつ学びを深めていきたい」というこのスタンス。
自然と寄り添いつつ学ぶというのは、感動や疑問などを持つということです。それを科学の目で謎を解き、解決のための道を探るということです。
例えば今回、町と里のタンポポを比較する事ができました。町のタンポポは、群生しています。そんなに昆虫がいるとは思えないのにです、でも、すぐれた里山の草地に咲くタンポポをみなければ、そこに疑問を感じることはありません。その状態を当たり前に思いつづけています。二つの種類は、形態だけでなく能力も違います。
新しい事態に触れて、この時生まれた「あれ、おかしい、なんで?どうしたらいい!」、、そんな課題意識は、一生を左右する力をもっているといってもいいのではないでしょうか。

 

096やまざと?

(↑ヤマザトタンポポの特徴を持つ)

さて、波見でも、在来タンポポを見つけたことが書いてありますか゛、偉大な先人与謝野蕪村さんにも、このタンポポ蒲公英が咲く野を行く素敵な詩があります。
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
『春風馬堤曲(しゅんぷうばていきょく)』
▲余一日問耆老於故園   私はある日、古い友人に逢うためふるさとを訪ねた。
▲渡澱水過馬堤      淀川を渡り、馬堤という所で
▲偶逢女帰省郷者     たまたま帰郷する娘さんと一緒に同じ道を歩いた。
▲先後行数里             後になったり先になったりするうちに
▲相顧語               自然と親しくなり話をするようになった。
▲容姿嬋娟              とても美しい女性であったが、
▲癡情可憐              どこかあどけなさも残している人であった。
▲因製歌曲十八首           よって、私は十八首の歌を作り
▲代女述意              彼女の心情を代わりに述べてみようと思う。

「題曰春風馬堤曲」           題して「春風馬堤曲」という。
■やぶ入りや浪花を出て長柄川     (やぶいりや なにわをいでて ながらがわ)
※薮入・・・奉公人が里帰りする一月のお休みの日

■春風や堤長うして家遠し       (はるかぜや つつみ なごうして いえとおし)
▲堤ヨリ下テ摘芳草 荊与蕀塞路    土堤を下りて春草を摘みました。行く手を塞ぐようなイバラの棘がありました。
▲荊蕀何妬情 裂裙且傷股       イバラはどうしていじわるするのでしょう。着物の裾が痛み、腿にも傷がついてしまいました。
▲渓流石転ゝ 踏石撮香芹      渓流に石があり、その石を踏んで芹も摘みました。

▲多謝水上石 教儂不沾裙       ありがとう、水の上の石たち。おかげで着物を裾を濡らさずにすみました。
■一軒の茶見世の柳老にけり     (いっけんの ちゃみせのやなぎ おいにけり)
▲茶店の老婆子儂を見て慇懃に  子供の頃から知っている茶店のお婆さんが私に、
▲無恙を賀し且儂が春衣を美む   変わりないことを喜び、着物を誉めてくれました。
▲店中有二客 能解江南語    お店には二人の客、江南言葉で話していましたが、
▲酒銭擲三緡 迎我譲榻去   私の姿を見つけるとお金を払い席を譲ってくれました。
▲古駅三両家猫児妻を呼妻来らず  古びた街道に三軒の家、恋猫がメスを呼んでいます。どこにいるのでしょうか、メスは来ません。
▲呼雛籬外鶏 籬外草満地      生垣の外では親鶏が雛たちを呼んでいます。

▲雛飛欲越籬 籬高堕三四     垣の外は草が満ち、雛は垣を羽ばたいて越えようとするのですが越えられず三羽四羽と落ちています。
○春艸路三叉中に捷径あり我を迎ふ   春、原っぱの三叉路、その狭い道が故郷への道、私を待ってくれていたかのようです。
○たんぽゝ花咲けり三ゝ五ゝ         タンポポの花が三々つ五々つと咲いています。
○五ゝは黄に 三ゝは白し      五々つは黄色です、三々つは白花です。
○記得す去年此の路よりす         去年もこの道を通って故郷へ帰ったのでした。なつかしさがこみ上げてきます。
○憐みとる蒲公茎短して乳を浥   タンポポを摘むと、短く折れた茎から乳色の汁がにじみました。
○昔昔しきりにおもふ慈母の恩    昔昔しきりに思う やさしかったお母さんの恩。
○慈母の懐袍別に春あり       母の懐はあたたかく もう一つの春のようでした
▲春あり成長して浪花にあり      春あり私は今、大人になって大阪にいます。
▲梅は白し浪花橋辺財主の家    白い梅の咲く浪花橋の商家で奉公しているのです。
▲春情まなび得たり浪花風流    人並みに都会のお洒落も身につけたつもりです。
▲郷を辞し弟に負く身三春     故郷を出て、幼い弟たちを残し三年が経ちました。
▲本をわすれ末を取接木の梅    私は根本を忘れ、末をとった接木の梅の様です。
▲故郷春深し行ゝて又行ゝ     故郷の春は深く、ひたすらその道を歩いてゆくと、
▲楊柳長堤道漸くくだれり        柳の続く長い堤があり、道が下ってゆきます。
▲矯首はじめて見る故園の家黄昏    ふと目を上げると、黄昏に染まった懐かしい家が見えてきました。
▲戸に倚る白髪の人弟を抱き我を待    そこには一人の白髪の人、母が弟を抱いて私を待っていてくれました。
▲春又春                 春…、また春…。
▲君不見古人太祇が句        あなたは知っているでしょうか。この太祗の句を
■薮入の寝るやひとりの親の側    (やぶいりの ねるや ひとりの おやのそば)

 林誠司 俳句 blogs.yahoo.co.jp > 芸術と人文 > 文学 > 俳句、川柳
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、

066くしば

(↑クシバタンポポ)
蕪村さんは画家でもあるだけに、観察も細かいです。
▲たんぽゝ花咲けり三ゝ五ゝ         タンポポの花が三々つ五々つと咲いています。
▲五ゝは黄に 三ゝは白し      五々つは黄色です、三々つは白花です。

235ヤマザト?

情感豊かに情景が目に浮かふ詩ですが、その時に「セイヨウタンポポ」を想い描いていたとしたら、蕪村さん、ずっこけてしまいます、ちがうちがうちがうーと(^.^)
日本文化を正しく理解し豊かに鑑賞する上でも、自然と寄り添いつつ学ぶことは大事です。
里山の維持保全は、現在進行形で、若い力を求めています。

061けんさきセイヨウ

(↑ 交雑種 ケンサキ×セイヨウ)

世屋の在来タンポポに訪れている危機も待ったなし、こちらこそ、これからもおつきあいを願いつつ、そのHPを拝見しました。

060けんさき

(↑ケンサキタンポポ )

ところで、これらの世屋タンポポ、種や根っこだけでも増やせます、いっしょに増やしませんか(^.^)

このページのトップへ