2012/05/25
世屋高原で群舞しているウスバシロチョウが、朝日新聞によって紹介されました。一方、大分あたりの海岸では、すなびきそうの蜜を吸うアサギマダラの群舞が見られるとのこと、南西諸島からの北上が始まっています。どこからどこへ、何日でどれくらいなどアサギマダラの渡りについての実態は、マーキングという方法で情報交換(アサギマダラネット)が進み、ずいぶんと明らかになっているようです。
よくしらべられるなと不思議だったのですが、おもしろいのは、その捕獲手段。聞いてみると、「白いタオルの一方をつかんでぐるぐる回すとアサギマダラが寄ってくる」というのです。そんなこともあって、夏に日本本土で発生したアサギマダラは秋になると南西諸島や台湾まで南下、繁殖した子孫が春に北上し、日本本土に再び現れるという行動形態、また直線距離で1,500 km以上移動した個体や、1日あたり200 km以上の速さで移動した個体も確認されたといいます。
それにしても、渡りには危険が伴います。しかも、これ見てくれ、といわんばかりの色。国蝶の有力候補にも推薦されたそうですよ。ここに逆手の発想があると言います、間違ってもあいつを食うな、心臓麻痺を起こしたくなければ、渡りを可能にしているのは、目立つ色と体に秘めた武器、つまり毒。その成分は、アルカロイド。彼岸花にも含まれているものです。それを含む草を、幼生は食べ、それを含む花の蜜を成虫は吸うのです。それが、ガガイモ科の植物だったり、サワヒヨドリやフジバカマだったりするというわけです。間違ってもあいつを食うな、心臓麻痺を起こしたくなければ!これは、ウスバ白蝶が氷河期から生き抜いた知恵と共通します。
また、白いまわるものに寄る、どんな体験がすり込まれているのでしょう。何が渡りに駆り立てるのでしょう、不思議です。ちょう語がわかる方、教えてください。
さて、それはともかく、世屋高原を訪れるあさぎまだらを迎えるために、フジバカマやサワヒヨドリたちが世屋高原休憩所で成長を始めています。この子たちと一緒に白いタオルをぐるぐる回して迎えてやりたいと今から楽しみにしています。ちなみに、アサギマダラの、アサギとは、「浅葱」。青緑色の古称なんだそうですね。