宮津エコツアー · 11月 今日の世屋路丹後路・26日~記者の眼・「観光と観光創造に関する一考察」~

11月 今日の世屋路丹後路・26日~記者の眼・「観光と観光創造に関する一考察」~

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さらっとして5W1ℍが整った記事です。しかも、言葉がすごく美しく的確です。

そういう意味では、新聞記事のお手本のような記事です。

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この柿は渋柿、多少赤くても、まだまだ渋いのです。熊やサルを利用して種を広げるのでなく、渡ってくる鳥たちや、雪に埋もれてひもじくなった生き物たを当て込んでいるのです。

ベンチを一つ、置きました。

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さて、どこにでもある柿、どこからでも見える月、普通のことです。それを「ニュース」としてくださった衣川記者、どこに価値を感じ、何を伝えようとしてくださったのか、、

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ひょっとして、いえ、おそらく、「観光と観光創造に関する一考察」【北海道大学・大学院国際広報メディア・観光学院院生論集, 4, 84-91 観光創造専攻・研究ノート】 「近年の旅行者にとっての「資源」の「価値」 とは、旅行業者によって一方的にデザインされたものではなく、旅行者の価値観に 依拠した「気づき」から始まり、それが何らかの形で他者に「伝達」され、さらに他者 と「共有」されることで創造される。この気づきから伝達・共有までの一連のプロセ スが、「資源」の価値創造である。」と 森重 昌之・清水 洋介両氏の共同研究。この論考を読んでらっしゃるのでしょうと思いました。

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地域住 民にとっての「価値」とは、その「資源」への愛着や誇りである。こうした地域住民に とっての「価値」もまた、地域住民個人の価値観に依拠する気づきから始まり、伝達・ 共有のプロセスを経て創造される。ここでは、旅行者にとっての「価値」である経験 価値と区別するために、「共有価値」という言葉で表わすことにする。 (3)価値共有を基盤とした観光創造のプロセス このように、経験価値も共有価値も価値創造のプロセスは同様であり、気づきか ら伝達・共有へのプロセスを経て、両方が統合される可能性がある。 その 1 つは、観光以外の場面で、地域住民や地域産業、行政などの関係者によっ て「資源」の共有価値が創造されており、旅行者がその共有価値に引きつけられるよ うにその「資源」を経験・体験することによって、経験価値を得る場合である。もう 1 つは、旅行者が観光を通じて経験価値を創造し、その経験価値が旅行者以外の関 係者に伝達・共有されることによって、共有価値が創造される場合である。 前者の場合は、「資源」の共有価値が地域住民や地域産業、行政などの関係者の間 で暗黙知として存在しており、それが関係者の「しくみ」を通じて旅行商品などの形 にデザインされ、形式知化される。そして、旅行者は形式知化された共有価値を経 験・体験することによって経験価値を得る。他方で後者の場合は、「資源」の共有価 値という暗黙知の創造に、すでに経験価値を得ている旅行者も関係者の 1 人として 参加することになる。そして、共有価値が創造された「資源」が新たな旅行商品など 88 の形に形式知化される。いずれにしても、暗黙知を獲得するには「共体験」が重要で あるが(野中・竹内 1996)、前述したインターネットのブログなどを通じた経験・体 験の伝達・共有が共有価値の創造を促進している。 このプロセスは、図 2 のように表されるが、前者は関係者の「しくみ」を通じた共 有価値の創造から、後者は旅行者が得た経験価値から始まるという点で、始点が異 なっている。しかし、2 周目以降は同様のプロセスを辿ることになり、結果的には 仮に定義した観光(旅行者が地域の「資源」の「価値」を求め、日常生活圏を離れた移動 や滞在を伴った活動)と同様の形に収斂する。しかし観光創造のプロセスは、これま で述べてきたような経験価値と共有価値の共有プロセスという点で、従来型観光と は大きく異なっている。図 2 のようなプロセスを繰り返すごとに、共有価値はさら に高まり、経験価値もそれに応じて高まるようなプロセス、これが観光創造の 1 つ の形である。 図 2 観光創造のプロセス さらに、共有価値から生み出されるのは、何も旅行商品ばかりではない。旅行商 品などを通じて旅行者が共有価値を評価することで、地域住民が地域の愛着や誇り を深めたり、地域内の関係者間のつながりを強めたりすることが考えられる。また 地域産業が新たな事業やサービスを創出する可能性もある。このように、共有価値 を通じて旅行商品をデザインしたり、新たな事業や活動を生み出したりする価値創 造のプロセスもまた、観光創造の重要な特徴といえよう。

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3.観光創造のプロセス

(1)従来型観光のプロセス 旅行者は何を求めて観光するのであろうか。おそらく、移動あるいは滞在した場 所での「何らかの快楽や感動」を伴って初めて、「観光」といえるのではないかと考え られる。そこで以下では、「何らかの快楽や感動」を旅行者にとっての「価値」と捉え、 その価値をもたらす人びとや風景、モノ、サービスといったさまざまな要素を「資源」 と位置づけた上で考察を進めることとする。 これを、前述した観光の一般的定義に照らし合わせて考えると、観光とは「旅行者 が地域の「資源」の「価値」を求め、日常生活圏を離れた移動や滞在を伴った活動」と仮 に定義できる。 1960 年代からの大量生産・大量消費時代の従来型観光において、旅行者にとって の「価値」とは、名所旧跡としての「資源」の物見遊山であった。その「価値」は、前述 したように旅行業者によって一方的にデザインされたものであっても、旅行者はあ る程度満足し、いわゆる「満足価値」を得ることができた。 つまり従来型観光では、旅行業者が「資源」としての旅行商品をデザインし、旅行 者がそれを経験・体験することで満足価値を得るというプロセスであった(図 1)。そ して、従来型観光における「資源」はモノとしての名所旧跡に限定され、また旅行者 が得る「価値」も満足価値が中心であった。この満足価値は他の旅行者や関係者と共 有しにくいので、新たな旅行商品のデザインにフィードバックされない。そのため 旅行業者は常に新たな「資源」を探し出して旅行商品をデザインし、旅行者を引きつ けなければならなかった。 図 1 従来型観光のプロセス

(2)共有価値・経験価値への着目

しかし、近年の旅行者にとっての「価値」の評価基準は、「何を見たか」ということ だけではなく、「資源」を経験・体験したときに「何を感じたか」という旅行者自身の 経験・体験を通じての快楽や感動に力点が置かれるようになりつつある。 このような価値を、Schmitt(2000)は「経験価値」という言葉で表わしている。Schmitt (2000)は、「近年の消費者は製品やサービスの機能的特性や便益といった満足価値を 当然のこととして受け止めており、本当に求めているのは経験価値である」と指摘し ている。 経験価値は、旅行者の経験・体験を通じて個々人の価値観に依拠して評価される 旅行商品 動機づけ 観光旅行 満足価値 経験価値 旅行者 旅行業者 87 「価値」であるから、従来型観光のように旅行業者による一方的な価値創造は不可能 である。しかし、経験・体験のプロセスにおいて得た「価値」を、何らかの形で他者 と「共有」することは可能である。つまり、近年の旅行者にとっての「資源」の「価値」 とは、旅行業者によって一方的にデザインされたものではなく、旅行者の価値観に 依拠した「気づき」から始まり、それが何らかの形で他者に「伝達」され、さらに他者 と「共有」されることで創造される。この気づきから伝達・共有までの一連のプロセ スが、「資源」の価値創造である。このように、旅行者にとっての「資源」の「価値」が、 満足価値から経験価値に変容した背景には、インターネットのブログなどを通じて 「価値」の伝達や共有が容易に行えるようになったことが考えられる。岡本(2007)も、 ユビキタス社会の到来によって、旅行者の観光地での経験・体験が、旅行者が自宅 へ戻ってからも他の旅行者との間で共有され、ライフスタイルを見直す知識基盤に なることを指摘している。 ところで、伝達・共有という言葉が示すように、「資源」の価値創造はただ 1 人の 旅行者だけで行うことはできない。つまり、複数の主体(他者)の関わりが必要であ るが、この主体は何も旅行者だけに限らない。例えば地域住民や地域産業、旅行業 者、行政などが考えられる。しかし同じ「資源」であっても、旅行者にとっての「価値」 と、地域住民や地域産業、旅行業者、行政などの関係者にとっての「価値」とは意味 合いが異なるので、ここで整理しておきたい。 例えば地域住民について考えてみよう。従来型観光における「資源」の「価値」は、 旅行業者によって一方的にデザインされ、旅行者の満足価値によって評価されてき た。このような「資源」は、主にマスツーリズムによって旅行者に利用されてきた。 その結果、地域にさまざまな悪影響をもたらしてきたことは先に述べた通りである。 このような地域にデメリットをもたらす「資源」は、旅行者にただ利用されるだけで あり、地域住民にとっては必ずしも愛着や誇りの対象ではなくなっている。地域住 民にとっての「価値」とは、その「資源」への愛着や誇りである。こうした地域住民に とっての「価値」もまた、地域住民個人の価値観に依拠する気づきから始まり、伝達・ 共有のプロセスを経て創造される。ここでは、旅行者にとっての「価値」である経験 価値と区別するために、「共有価値」という言葉で表わすことにする。

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(3)価値共有を基盤とした観光創造のプロセス

このように、経験価値も共有価値も価値創造のプロセスは同様であり、気づきか ら伝達・共有へのプロセスを経て、両方が統合される可能性がある。 その 1 つは、観光以外の場面で、地域住民や地域産業、行政などの関係者によっ て「資源」の共有価値が創造されており、旅行者がその共有価値に引きつけられるよ うにその「資源」を経験・体験することによって、経験価値を得る場合である。もう 1 つは、旅行者が観光を通じて経験価値を創造し、その経験価値が旅行者以外の関 係者に伝達・共有されることによって、共有価値が創造される場合である。 前者の場合は、「資源」の共有価値が地域住民や地域産業、行政などの関係者の間 で暗黙知として存在しており、それが関係者の「しくみ」を通じて旅行商品などの形 にデザインされ、形式知化される。そして、旅行者は形式知化された共有価値を経 験・体験することによって経験価値を得る。他方で後者の場合は、「資源」の共有価 値という暗黙知の創造に、すでに経験価値を得ている旅行者も関係者の 1 人として 参加することになる。そして、共有価値が創造された「資源」が新たな旅行商品など 88 の形に形式知化される。いずれにしても、暗黙知を獲得するには「共体験」が重要で あるが(野中・竹内 1996)、前述したインターネットのブログなどを通じた経験・体 験の伝達・共有が共有価値の創造を促進している。 このプロセスは、図 2 のように表されるが、前者は関係者の「しくみ」を通じた共 有価値の創造から、後者は旅行者が得た経験価値から始まるという点で、始点が異 なっている。しかし、2 周目以降は同様のプロセスを辿ることになり、結果的には 仮に定義した観光(旅行者が地域の「資源」の「価値」を求め、日常生活圏を離れた移動 や滞在を伴った活動)と同様の形に収斂する。しかし観光創造のプロセスは、これま で述べてきたような経験価値と共有価値の共有プロセスという点で、従来型観光と は大きく異なっている。図 2 のようなプロセスを繰り返すごとに、共有価値はさら に高まり、経験価値もそれに応じて高まるようなプロセス、これが観光創造の 1 つ の形である。 図 2 観光創造のプロセス さらに、共有価値から生み出されるのは、何も旅行商品ばかりではない。旅行商 品などを通じて旅行者が共有価値を評価することで、地域住民が地域の愛着や誇り を深めたり、地域内の関係者間のつながりを強めたりすることが考えられる。また 地域産業が新たな事業やサービスを創出する可能性もある。このように、共有価値 を通じて旅行商品をデザインしたり、新たな事業や活動を生み出したりする価値創 造のプロセスもまた、観光創造の重要な特徴といえよう。

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次も、衣川記者の手による記事です。

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