宮津エコツアー · 「カエデプロジェクト」

「カエデプロジェクト」

「カエデプロジェクト」
2012,3,25

 大江山のぶろぐを拝見。 春を待つ命を守って冬をしのぐうりはだかえでの芽。一カ所から対にでている枝、その小枝の中程のくびれ、さらに枝先の二つのふくらみの大きさの違いなど、いろんな情報をとらえられていて、さすがに心得のある人の撮影だと感心しました。なかなかそういうことをきちんと押さえられません。
 「秋に綺麗に紅葉する。杉山の山肌を彩ってくれます。」と芽が花になり葉になり色づくという変化をまとめようというシリーズです。さらにこれから充実していくのでしょう、楽しみです。
さて、そのカエデ類、世屋高原を構成する定番の植物です。否応なくガイドの対象!さてどうするか!人にとってどういう意味があるのか、といえば、薪、さらにかっては炭にして、今はチップ材として山ごと売るという形で現金収入にあててきたということです。つまり、雑木という位置づけ。それを「新しい資源」にしようとする取り組みがあるそうです。
 こんな話です。・・・・・・
取り組んでいるのは、埼玉県秩父市内の製菓業者(おかしな会)の皆さん。動機は、秩父の特色を打ち出した菓子をつくりたい!イチゴ、シイタケ、キュウリ、ブドウなどの地域の特産品がまず検討されたが、すでに余所がやっている、窮してしまったところで、カエデが囁いたというのです。
『私を使って下さい。』
え?
『シロップをとってください』
シロップって、メープルシロップ?
『そう、メープルシロップ』
だって、あれはカナダの!
『いいえ、私からも出せるのよ』
えーーーー!!
カナダは寒さが厳しいので、メープルの木は、冬に備えて夏の間にでんぷんを生成して蓄え、そのでんぷんが糖分に変わるのだそうです。雪にあたったダイコンやほうれん草が甘くなるのと理屈は同じで、細胞を守るためのアイデア。考えてみたら、樹液は、いたやカエデからもでるが、うりはだかえでからでる、おおいたやめいげつからもでる、やまもみじからもでるわけで、冬の寒さに備える仕組みも共通に備えているはずです。採取時期は2月から3月。日本でも2月の「なきいたや」という言葉があるそうです。厳寒の時期です。理屈に合っています。
昔、インディアンの糖分として貴重なエネルギーとして使われていたメープルシロップを、カナダに入植してきたフランス人が教わり、カナダで広がといいます。秩父は寒さの厳しい山の国、樹液が活用出来るなら資源の山にかえられる!自分たちもそのフランス人になれるか、おそるおそる試みが始まったというわけです。
樹液の採集方法はこうです、、、
・ 木に1cm弱の深さの穴をドリルで開ける。
・ これに管を差し込み、石油用のポリタンクに入れる。
こうして、 1本のカエデから、10日で1kgの樹液が採取でき、煮詰めて50gのメイプルシロップがつくれたそうです。
「いけるなあ!やれるぞ!」
 ここからから立ち上がったのが、「秩父・カエデプロジェクト」
NPO法人や大学で素材研究が行われたり、さらには、カエデの植林にも取り組んでいる。秩父は花粉が発生しやすいスギなどが多かったが、カエデを植え、スギを伐採し、バランスの取れた植林を行うことで、環境整備にも役立っているというのです。さらにカエデを通じて、カナダの都市と提携し、中学生、高校生の留学交流をしたり、カナダで林業を体験できるツアーなども検討されているとのこと。
肝心のお菓子への活用、これはばっちり。カナダでは、お菓子はシロップ、クッキー、チョコなど限られているが、秩父では名産の養蚕をイメージしたマシュマロ「ちちぶまゆ」をつくった。これを05年に研修目的でカナダに渡航したときに持ち込んだところたいへん喜ばれた。
・・・・・・
「お菓子な会」の中村雅夫専務理事から部会の皆さんに【コメント】が届いていますので、紹介します、(これは架空!)。
『一寸の光を見つけようとすることが大切。ただ素材を生かしたものを売り込むだけでは弱い。お菓子にいろいろな「ものがたり」を織り込むことで、それが土産話になり地域のファンを増やすことにつながる。また手探りの中で、一寸の光を見つけることも大切。』
いや、味のあることを語っておられるなァと思いませんか。
一本のカエデからでもお客さんと夢を語り合うことができるんですね。そう出来たら、楽しい一日になること間違いなし。

このページのトップへ