白雲や 林檎の花に 日のぬくみ 大野林火
♪君なき里にも春は忍びよりぬ♪、リンゴは早春の花、というのは春の遅い北国のはなしで、花美世屋では、桜、やまなし、そしてリンゴの順です。
山里暮らしの楽しみにうえられたものでしょう、花美世屋にいまでも残っているのを数えると6本。
さて、林檎といえば、島崎藤村の新しい時代の到来を告げた「初恋」
まだあげ初めし前髪の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君と思ひけり
やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅の秋の実に
人こひ初めしはじめなり
わがこゝろなきためいきの
その髪の毛にかゝるとき
たのしき恋の盃を
君が情に酌みしかな
林檎畑の樹の下に
おのづからなる細道は
誰が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそこひしけれ
遠い信州に行かずとも初恋を偲べるのですからありがたいことです。
牛鳴いてのどかなるかな花林檎 星野立子
苗代や 林檎の花は 散りつくす 正岡子規
高原とはいえ暖地でリンゴをならすのは大変手のかかることなんだそうです。世話をする人がいらっしゃった頃は実もなったそうですから、、草刈りくらいはして、何とか一つくらい、小さくても実をみてみたいものです。