ピーーーーィッ!
声の主は鹿、四つ股の角をもった黒々してたくましい体の雄です。
翻訳すると
「やあやあ、遠からん者は音にも聞けぇ、近くば寄って目にも見よぉ」
他のオスに勝負を挑み、メスへのアピールです。
「我こそはぁ せやのやまの鹿たろうなりぃー」
「さを鹿の、朝立つ野辺の、秋萩に、玉と見るまで、置ける白露」と大伴家持さんが感動したのも頷けます。
さて、今の時期、鹿が食べたいのは山の幸、例えばトチ。
人は食べられるように灰汁抜きしますけれど、四つの胃を持つ鹿はポテトチップスなみにぼりぼり食べるんだそうです。
里におりたり、林の下草を食べ尽くしてしまうといういわゆる食害の問題が深刻だと憤りをもってかたられています。
畑にはいってくれにゃあええがぁ、、」とため息をつつ鹿の鳴き声を「聞くのが今の里山人の気持ちですけれど、里に下りる背景にはこういう豊かなトチの森が切られてしまったこともあることを思うとなかなか事態は複雑です。