何かしら聞こえるのです
実を目当てに集まった鳥たちと柿の木が、世間話。
輝美さんが、悲しいことだったねえ などと
汐ぎり荘の跡のこと、どんな話になっとるとか、
人のことも見て、心配したり喜んだりしているのかァ と驚きながら、聴いておりました。
元気になってじいさん、またはしっとんなるで、、良かった良かった
海の見える山の村、、、ここだけになってしもうたなあ
柿の姉さん、あんたが、ここでは一番古いだが、どお思っとんなる?
「うちか、、、、」
一呼吸おいて、柿のばあさん。
去年からいっきに、地の人が倒れたり山を下りなった、
和子さん、けんさん、達夫さん、薫さん、、みな昭和の匂いのする人らだわな、
うちも昭和だ、でも 山を下りられん、どうやって山をおりるでゃあな これからもここにおる。
ヒヨドリたちが口々に言いました、
おっとくれよ
うちら冬の食べ物がのうなるで
上世屋の村は、昭和の丹後そのものだ、 いうとんなるで、心ある見る目のある人らは
それを聴きながら柿のばあさんは、
そうかえ、そんにいうとくれとんなるだか、
また、一呼吸を置いて、ゆっくり言いました。
ならそこで、だ、頼んでみるだけど、和子さん、けんさん、達夫さん、薫さん、、昭和の人らだわな、この人らの世代までだ、昭和の匂いのは、
村に伝わる昭和の匂いを伝えるように、消さんように、、丹後の山の村々の生き残ったもんの仕事だろうと思うで、そういうところを創っときたい、どうおもいなるえ
わかったー
ヒヨドリたちは、一斉に蒼い広い空に飛び立ちました、、、
その群れを見送りながら、柿のばあさんは
「終わりは始まり、、、いうんだよ ねえ
昭和の匂いは消させないわよ」
と、呟きました。
さて、柿のばあさんの心のなかの昭和の匂いとは、、、
「蓄音機」が奏でてくれるかもしれません。
、、、、いちがぶらり、、、