宮津エコツアー · 森の仕掛けた出会い ~泣いた赤鬼の森 賛歌~

森の仕掛けた出会い ~泣いた赤鬼の森 賛歌~

森の仕掛けた出会い
~泣いた赤鬼の森 賛歌~

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森の奥の、二本の木。
太い幹と、
無数の葉と、
広く深く
土をまさぐる根で
風を聴き 光を浴び
大地を抱いて
森を生きている。

それは、
光と、風と、水と、森の
見えない絆のかたち。

20201109_124113秋上世屋

小さな苗だったころも、
木に育ち、風に揉まれるころも、
意識することはなかった。
ただ、それぞれが、
人間の森を生きていた。

けれど、 根が広がり、水を分かち、
ふと気づいた隣の存在。
それは、偶然のようでいて、
森が仕掛けた出会いだった。_

かつては遠く離れた根が、
必要に導かれて近づき、
打算のように絡み合った。

7-20

一本の木は思った
山が荒れている
こうてくれるもんはおらんか
脳裏には
高原に、工場の煙突のように
炭焼きの煙が幾筋も立ち上っていた
往時が浮かんでいた
山の田んぼが荒れている
こうてくれるものはおらんか
森の痛みが辛かったのだ

もう一本の木には、夢があった
山持ちの大工になりたい
新しく広がる町に呼ばれて
家を建てていたのだ
森の恵みを人の暮らしに変える
そんな仕事が、楽しかった。
山を持てば
様々な木が思うままに使える。
炭の用途は多様だ
椎茸を焼く香りが誘った
木は親指を立てた
「よっしゃ!」

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二本の木は
季節を重ね、風の向きに頷きながら、
やがてその関係は発酵した、
土の湿りに気づき、
互いの沈黙が、森の呼吸になっていた。

4-28
今では、 互いの葉が影をつくり、
互いの幹が風を受け止め、
森の命を支える柱となっている。

二本の木の楽しみは、
梢で鳥たちが歌い、
虫たちが集い蜜を吸うこと

6-29

鳥たちは愛の大切さを、
虫たちは蜜の甘さを
語り、伝えるだろう。

その楽しみのために
森の命の約束を守って
静かに立っている。

森は、また
新たな出会いを仕掛けるだろう。

上流部の痛み
・・・・・・・
人は、二本の木を
赤鬼と青鬼に見立て、
この森を、泣いた赤鬼の森と呼んでいる。

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