2013/05/17
あるテレビの世屋の里取材を想定したガイドシナリオです(^.^)
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丹後半島は、跳び箱のような形をした標高600m~700mの半島です。
世屋川は、その頂きのブナ林から水の旅を始め、里と人の体を巡り、谷を穿ち、日置で海に注ぎます。上世屋は、その水源に拓けた棚田の里です。
里にはフジ織りが伝えられます。林は、天然の藤棚になって、まもなく田植えの始まる里を見守っています。
里は緩やかな斜面と急な崖とが組み合わさっています。この不思議な地形は地滑りが作りました。森に蓄えられ至る所から湧き出す水、それが地滑りの要因になります。里の人は、その緩やかな斜面を棚田にしたのです。上世屋は、典型的な丹後半島山麓型の村なのです。
戦前まで、この里は戸数70戸を擁していました。耕して天に至る!谷という谷はその奥までが棚田として利用されていました。
過疎・高齢化とともにすすむ耕作放棄をくいとどめているのが、現在のすがたです。小字では、「のうだ」「馬場」「宮の前」といいいます。
涌きたての水は清冽です。ブナ水に肥料いらずというほどミネラルも含んでいます。けれども水温は12度程度、とても稲が耐えられる温度ではありません。そこで、里の人がつくったのは「コナワ」です。田に入れる前に水を滞留させて温める仕組みです。
コナワや水田は生き物も利用します。本来の姿です。現在棚田経営は除草剤や農薬に頼らないですすめられていますので、上世屋のたんぼにはカエルだけでも、アマガエル、トノサマガエルだけでなく、シュレーゲルアオガエル、モリアオガエルものびのびと生育しています。カエルが食べる生き物も、カエルを食べる生き物もたくさん暮らしています。また、稲とともに暮らしていた草、イチョウウキゴケなどは、今や京都府絶滅寸前種に指定される希少種に位置づけられていますが、上世屋では当たり前に生育しています。
初夏、畦の草むらに咲くたくさんの花を吸蜜にたくさんの昆虫が訪れます。その中に羽の透き通った白いチョウがいます。ウスバシロチョウ、
世屋の里の田植え時期に田植えを手伝うかのように現れるので、「サオトメチョウ」と私たちの間では呼んでいます。氷河期の残存種なのだそうです。