宮津エコツアー · 宮津・長江の磯野ワカメのうまいわけ!

宮津・長江の磯野ワカメのうまいわけ!

宮津・長江の磯野ワカメのうまいわけ!
~ワカメで三度ビックリ~
「早春の宮津・長江の磯野ワカメは絶品です。」
そんな話をAさんに話したところ、彼曰く「そういうのは、日本人と朝鮮半島の人達だけだよ。」と。世界共通に食されているわけではないのだというので、まずビックリ。生育するのは、日本でいえば日本海側では北海道以南、太平洋岸では北海道南西部から九州にかけての海岸なんだそうです。イギリスでも、中国でも、フランスでもロシアでもこれを食べる習慣はない。ないものは食べない、それはそうです!
食べるどころか、世界的には、歓迎されていない。本来なかったものが新天地を得て爆発的に生育環境を広げ、生態系を脅かすものを侵略的外来種といいます。ワカメは、くるなよるなとブラックバス並の扱いを受けているというから、二度めのビックリ。しかも、「世界の侵略的外来種ワースト100 (IUCN, 2000)」に 選定されているほどのレベル。事情を聞くと、船が運んだ、いわゆるバラスト水というやつ、日本や韓国沿岸の港の海水を積み込んだ船が世界各国の港でそれを海に捨てるのです。その水の中に、胞子が混じり込んでいるのが繁殖している。命は命を提供しあっています。ワカメを食べるものがいない環境に運ばれた胞子もかわいそうです。「ダメだよ、広がり過ぎちゃ!私が食べてあげる」という方がいらっしゃらないでは、増え放題、嫌われ者になるしかないではありませんか。
さて、ワカメを共通に食する日本と韓国とでも食され方に違いがあるます。国民一人あたりの年間ワカメ平均消費量、それを比較した統計があるそうです。では、・・・(ガイドはここで答を言いません。)多食するのは、韓国。実に日本の三倍。女性が妊娠したり出産すると、ワカメスープを毎日たくさん食べるということ。 魚でも何でも、天然物とか養殖物とではかブランドに差がありますが、韓国のワカメは特に天然ものが貴重視され高値で取引されるそうで、天然ワカメが取れる磯や海域は畑や田と同じ不動産扱いというから、三度ビックリ。

山から海への恵み

同じ天然といっても、いいものが育つには、自ずからいい環境が必要です。 長江の磯は、豊かな森を背後に背負い、波見川や世屋川でつながっています。ワカメは秋に発芽し、2月ころから胞子葉を形成し、雌雄の配偶体を成長させ、走遊子を放出後、夏には枯れます。窒素やリンなど栄養を必要としているのがちょうど今、雪解けの水が、森の恵みとして運んでくれているのです。つまり、宮津・長江の磯のワカメと世屋の森のミズナラやシデやブナとは恋人同士!

韓国の森は、戦争で痛めつけられていたり、木を多用する生活様式もあって、日本ほど深くないということを聞きます。韓国だったら、長江の磯のような環境はさぞかし大事にされ、高値で取引されることだろうとか、わかめの栄養成分に関して、高血圧、抗ガン成分など優れた食品であるという研究が進んでいるということですから、それを積極的に紹介して、世界の侵略的外来種ワースト100 の汚名をすすいでやってほしいものだとか、ポケットにたまたまあったなけなしの500円玉が巡り合わせてくれた極上の味をもう一度蘇らせている次第です。

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