宮津エコツアー · 丹後半島は菱形ブロック

丹後半島は菱形ブロック

丹後半島は菱形ブロック
2012,3.24
 大宮町三重から見る内山景観は、文句なく素晴らしい。府道を森本、明田、五十河へと動けば、印象が少しずつ変化するのもおもしろい。 啄木が「山に向かいていうことなし」と謳う私の山をあげるなら間違いなくこの山になる。一番雪の雪化粧、夕陽を浴びた山塊、雪解け模様など、魅力は尽きない。そんな光景を撮った写真を見た人が、「立山連峰へいかはったのか」と聞く。雪をかむって正面に立ちはだかる壁は連峰の趣を備えている。
 さて、視点を変えて上から見ると、丹後半島は菱形をしたブロックなのだそうだ。地震学者で元京都大学総長の尾池和夫さんが「丹後半島の旅」で記しておられる。そういわれて、「にしがき」の地図を見ると、確かにそうだ。網野町浅茂川から野田川四辻、野田川から伊根、伊根から経ヶ岬、経ヶ岬から網野町をそれぞれ辺にしている。
 そのブロックがちょうどKTRの路線を境にするように西側の陸地に接してしている。東北大震災でみんな地質学者になったが、そのプレートテクニクスの理論では、そのブロックが、変形圧力を受けている。圧力が同じ方向に働いていれば問題はない。ところが丹後半島ブロックは舞鶴側から丹後町方面にかけての方向に、西側ブロックは久美浜町から内陸方向に向けての圧力を受けている。専門家は、これを「第四紀になって、丹後半島にはほぼ東西方向(舞鶴側から丹後町方面にかけての方向)の圧縮力と、ほぼ南北方向(久美浜町から内陸方向)の引張力が働き、地殻には北東から南西方向に走る水平右ずれの活断層と、北西から南東方向に走る水平左ずれの活断層が発達した。」と説明する。そして、このような地形を水平上下に変動させる運動が数十万年続いており、1927年(昭和2年)の北丹後地震を起こすなど現在に至っていると言う。一見静まりかえっているような山塊も、内部に目に見えない緊張を秘めている。
その内山を見る場所を最近新たに「発見」した。
 まず、三重のお寺万歳寺。境内に地蔵が立つ。 裾にまつわりつく子ども、抱く子どもに注ぐ眼差しは実に優しい。建立は平成20年、石工さんは地元の方。腕は確かだ。その後ろにサクラの木、そのサクラ越しに内山を望むことができる。 
 もう一カ所は、万歳寺の右手上にある三重の愛宕山。急な石段はスキーのジャンプ台を思わせる。尾根道を少し辿れば神社がある。眼下には圃場整備された森本田圃が美しく、視線をあげれば正面に内山。おおぶなはあの尾根のあのあたりだ、あの尾根からここが見えるのだと楽しむことができる。 知る人ぞ知る一押しのビューポイント。

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