宮津エコツアー · 里山に春を広げる穴

里山に春を広げる穴

里山に春を広げる穴
2012,3,24

厚く積もった雪に覆われた棚田も、3月も半ばになると雪が割れ、穴が開きます。前の年の切り株も顔を覗かせます。
 雪がみぞれに変わり、純粋に水だけの雨が降るようになったら、傘をさして静かにその穴を見つめていてください。雨や風や自然の音を聞いているうちに、その音に混じる不思議な声に気づくはず。
きゅるるるるきゅるるるる。
声の聞こえる穴を見ると 水面が水紋を描きます。
何かが動いたのです。
カエル?
そう 蛙です。ヤマアカガエルの産卵。
せやの棚田は、三メートルもの雪に覆われても、水を貯めたまま冬を越す張り水田圃。その水は、至るところからでている湧水。10数度の水温を保っています。その湧きだし口付近から雪が解けるのです。
きゅるるるるきゅるるるる。きゅるるるるきゅるるるる。
声が声を呼びます。
きゅるるるるきゅるるるる。きゅるるるるきゅるるるる。
きゅるるるるきゅるるるる。きゅるるるるきゅるるるる。
オスたちがメスを奪い合う蛙合戦が始まったのです。
さながら子どもたちのプール解禁一日目状態。オスを背に載せたメスはやがて泥の中にじっと身を潜めます。
 この声を聞いたら 次の日も訪れるんですよ。その穴の中には、黒い塊が光っているはず。新しい年の命の塊です。棚田に開いた穴は、命のゆりかご。里山の春は、この穴から広がっていきます。

■ ヤマアカガエル
 丘陵地と山間森林内および、その外縁部にある池、小川、湿地、水田に生息します。
昆虫類や節足動物、貝類、ミミズ等。幼生は雑食で落ち葉や水草、水生昆虫、動物の死骸等を食べます。ニホンイノシシ、動物食の鳥類、ヤマカガシなどの食肉類が、天敵です。人間にも食べられました。
 ヤマアカガエル、ニホンアカガエルは水底の泥の中で冬眠しているそうです。早春に湿地や水田に粘着性がある寒天質に包まれた卵を産みます。その数は1,000個以上。大量に産んでおけば食べられても食べられても数匹は生き残り、種をつなぐことが出来るという戦略です。
 一晩のうちに複数個体が1つの水場に集まり集団産卵することもよくみられます。卵は14日程で孵化し、5-8月ころに変態し、幼体になりますが、成体になるには2-3年程かかります。
京都府要注目種です。水田周辺の環境変化が、生息数に影響しています。
 メスを巡って鳴くオスの声を「ハルウハルウルル」と表現した人もいます。最近はユーチューブで聞くことも出来ますよ。貴方はどう表現しますか。

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