暖簾になったおためさん ~顔は人が咲かせる花なんだ~ 2012.3.28
合力の家に、坂野英俊さんの撮られた写真が掲出されています。おためさん、大松さん。上世屋や木子の大地に生きた人たちです。おためさんは、会のシンボルとして藤織りの暖簾に染め上げられ、私たちを迎えてくれます。
写真は写真。おためさんが語りかけてくるわけでも、大松さんが動き出すわけでもありません。でも、語りかけてこない、というのは固定概念。語りかけるときがあるのですよ。それは見ている人が、「こういっているのかも知れない、こうなんだろう これは何だろう それはなぜだろう。」と思ったとき。まるで、人の心を見ているかのように。
日本人によって初めて日本人の彫刻が作られたと評された彫刻家、佐藤忠良さん、
NHK日曜美術館は、3月18日、その作品を展示している仙台の佐藤忠良記念館を訪れ作品を紹介してくれました。その中で、わが意を得たり!といったらいいのでしょうか、そんな気持ちにさせられた言葉がありました。
佐藤さんは、全国の山村漁村を訪ね、土地に根ざし働く人特にその顔に注目し、優れた作品を残しましたが、 佐藤さんは、こういいながら彫刻を続けたといいます。
「顔は、国土と社会と思想の絶え間ない命の歴史だ、顔は人が咲かせる花なんだ」
ナレーターの口調がやさしくてすばらしいのです。繰り返し聞きました。
「顔は、国土と 社会と 思想の 絶え間ない命の歴史だ、 顔は 人が咲かせる 花なんだ」
ゲストは柳田邦夫さん。好きな顔の作品に感想を求められて彼はこう語りました。
「豊かになればなるほど自然が語りかけてくるものに耳を傾ける姿勢を失ってしまう、それを見る目を失ってしまう われわれはどこを見ているんだろう、ちゃんと足元をみているんだろうか、自然を見ているんだろうか、そういう問いかけをしなさいといわんばかりのメッセージを語っているのではないか、われわれはもっと想像力やあるいは対象の中から何をまなぶのかということについてしっかりと精神性を育てなければならない・・・・。」
聞きながら思い出していた、暖簾になったおためさんの口が、動いたように思いました。
♪いとし殿御の田の草取りにゃ 間(あい)の野風が 吹きゃよいに♪