宮津エコツアー · ヒガンバナ方言

ヒガンバナ方言

◆「京の春」すこし召したかヒガンバナ   世屋野蕪村

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さて、ヒガンバナには1000以上の方言が、、と。

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その一つ、クチナワ花。これは絶妙のたとえだと思いました。
クチナワというのはヘビの古名。平安時代の辞書「和名抄」(源順、931-938)に、「虵  倍へ美み、一名 久知奈波くちなは 」と掲載されているということ。では、ヒガンバナとヘビどこがぁ?というと、葉のない茎の先に付く花冠、切り倒して横にすると何となくヘビに似ているというのです。なるほど。ヒガンバナの咲くころ、ヘビはまもなくくる冬に備えて体力をつけておくために盛んに動き回ります。よく出会います。口を開け、蘂が出た花の形も、ヘビが口を開けて舌を出している様子に似ています。

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さらに、「狐ノタイマツ、火焔ソウ、野ダイマツ」という方言も。

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これもいいですねぇ。
牧野富太郎先生も
「このヒガンバナの花咲く深秋の季節に、野辺、山辺、道の辺、河の畔の土堤、田の土堤、山畑の縁などを見渡すと、いたるところに群集し、高く茎を立てて並び、あの赫灼たる深紅の花を咲かせて、そこかしこを装飾している光景は、誰の目にも気がつかぬはずがない。そしてその群れをなして咲き誇っているところ、まるで火事でも起こったようだ。」おっしゃって、その名付け方に共感されています。  ※「牧野富太郎選集」2巻所載の「万葉集のイチシ」の稿

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かって棚田だった棚の畦に並べてみました。たしかに「野たいまつ」

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ヒガンバナの「和火」のようでした。

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、、、、、、、この稿植物語源研究家・和泉晃一氏の論考「ヒガンバナ―万葉植物「壱師いちし」考」を参考にさせていただきました。

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