「暖色のなかで一番明るい黄色は、もっとも目を引く色として救助用具にも採用される。」と土肥あき子さん。
「蜜や花粉を採取する昆虫の色覚が、黄色を捉えやすいからということらしい」とも。
ホントにそうよと世屋の菜の花。
この土肥さんの一文は
「橋の裏まで 菜の花の 水明り」鳥井保和さんの句を取り上げての鑑賞文の一節。
その全文!
「暖色のなかで一番明るい黄色は、もっとも目を引く色として救助用具にも採用される。堤一面の菜の花が川面を染め、橋の裏にまで映えているという掲句に、春の持つ圧倒的な迫力を感じる。これからの季節、菜の花を始め、山吹、れんぎょう、たんぽぽと黄色の花が咲き続く。蜜や花粉を採取する昆虫の色覚が、黄色を捉えやすいからということらしいが、長い冬から解放された大地が、まず一斉に黄色の花を咲かせることが、生への渇望のようにも見え、頼もしくも身じろぐような凄みもある。「橋の裏」という普段ひんやりと薄暗いところまで光りを届けるような菜の花を、作者は牧歌的に美しいというより、積極的に攻める色として見ているのではないだろうか。山村暮鳥の「いちめんのなのはな」にも文字を連ねることで鬼気迫る感覚を引き出しているが、掲句にも大地が明るすぎる黄色に染まるこの季節の、おだやかな狂気が詠まれているように思うのだった。〈樹齢等しく満開の花並木〉〈水を飲む頸まで浸けて羽抜鶏〉『吃水』(2010)所収。」April 13 2010 付けのweb『増殖する俳句歳時記。
「長い冬から解放された大地が、まず一斉に黄色の花を咲かせることが、生への渇望のようにも見え、頼もしくも身じろぐような凄みもある。」
、、、、なるほど、「生への渇望」!ですか、、
さて、季節は、移ろい、大地は、春の黄色から緑滴る夏色へ。
虫の目を引くためという花の色も、緑との対応で目立つ色へと変わります。
フジや朴木、ガマズミなどその開花が、ことしは十日早い感じがします。
また、夏は仕事の季節。
大地の春の色はそのために元気をたっぷり吸っておけ、という贈り物なのかもしれません。