風も柔らかく、どこか品の淑さをただよわせながら、年が明けました。
今年の季節感は、11月のまま、12月をとばすように1月になったのですが、このままいくと、この1月もすっ飛ばし、あっという間に二月のウメ、3月の福寿草に、、となりそうです。
(↑ 3/17 伊根 寺領)
さて、令和二年、その元号の出典となった万葉集の編者とされる大伴家持さん 。
「磯の上の つままを見れば 根を延へて 年深からし 神さびにけり」
(巻19-4159)
ある巨樹の神々しさをたたえてこんな歌を詠んでおられます。
富山、越の国に赴任ししていたとき、天平20年の頃の作と言います。
その巨樹とは、「都万麻」。この万葉仮名、「つまま」とよむそうです。この「都万麻・つまま」、昔から、なんだろうと関心を持たれたそうです。
江戸時代のこと、飛騨の熱心な国学者、わからない、それで、越中にいけばわかるだろうと訪れ、村人に「つままの木はどれか」と尋ねた。
しかし、問われた村人は顔を見合わたというエピソードがあるくらいです。
『磯の上に根を延へて 年深からし』
(↑ 丹後半島 カマヤ海岸)
磯の上に根を張る、これは容易なことではないです。、塩分耐性 紫外線耐性 風耐性
そんなところで、年深からし 、巨樹になる、そして神さびにけり、つまり圧倒するほどに見栄えがする、、、それを言えば、三つ、①クロマツ②シイ③タブ じゃろうがなあ、、!
そのうちどれかをむかしは「つまま」とよんだんかもしれませんなあ。
「家にあれば笥に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る」シイはいまでもシイ。
富山にあって飛騨に無い木と言えば、そうですなあ、たぶ、たもの木。「たも」と「とまま」
はよくにておるといえばにております。そんなやり取りが浮かんできます。
(↑ 伊根 新井のえべっさんのタブ)
チェックしてみると、 おきなわではタブノキ. 科名, クスノキ科. 学名, Persea thunbergii (S. et Z.) Kostermans.これを
「トゥムギー、 トゥムン、トンムル、トウムン、アラブトゥムヌ、ヒーキトモン 」.
と呼ぶ方言があったと言うことです。
かって水上勉さんが、こう語ってらっしゃいます。
「与謝といえば、暗い人影の見えない原始林がずり落ちたようにあり、それが波にぬれていた恐ろしい光景しかなかった」
(↑ 大宮町奥大野 やくっさんのタブ)
かって丹後にも、「トンムル、トウムン、つまま」と呼んだ人たちが住んでいたのでしょう。