京都府での自生地は、丹後のここだけ、という厳しい状況に至った世屋「サンショウモ」。その状況に宮津天橋高校フィールド探究部(2019全国ユース環境活動発表大会近畿地方大会特別賞受賞)の皆さんが関心を持って、昨年秋から、里山演習の課題の一つとして、保全にチャレンジしてくださっています。
その際、採取した個体が、生物教室で冬を越し、夏に入る頃から増えだし、いくつもの容器にあふれんばかりの勢いを見せていると言うことです。
この保全活動については、独立行政法人・地球環境基金様が2020年度のSDGs活動(持続可能な開発目標)の部門の「陸の豊かさを守る」活動として評価してくださり、その助成を得て、この春以来、協力頂いている地主様の田圃周辺棚田の草刈りや、水田への水の引き込み、テスト放流など準備してきたところです。
さらに、水の引き込みなど放流準備をしているときに、周辺の湿地に少なくない数のハッチョウトンボ(京都府登録天然記念物)の棲息、しかも雄雌が繁殖している様子が観察されたのはたいへん意義のあることだとよろこんでおります。
ニホンイシガメと思われる仲間も。
また、弥栄町赤米を保存する会様から、古代米の苗を、間人の「野木源」様からは、コシヒカリを凌ぐ品種として期待される苗、さらにミドリムシ農園様からもコシヒカリの苗の提供をうけ、試植させていただいたところです。
さて、このような経過をふまえて、増殖したサンショウモの自生地・棚田ビオトープへの「移植放流」を計画しております。
生物多様性の大切さが試される課題は足下にあります。の価値をみんなが理解してみんなの力を集めることができれば保全は可能だと、いう実感を共有できる機会になることを願っています。
しかしながら、コロナ禍でお誘いしにくい状況ではありますので残念ながら、関係者で行わざるをえません!
この谷津田を2013.10/11に観察された専門家は、「除草剤が全く使用されてこなかった棚田内の多くの湿田内に群生していた。」と驚き、この谷津内でその他に、マルバノサワトウガラシ、ヤナギスブタ、イボクサ、ヒロハイヌノヒゲ、ニッポンイヌノヒゲ、コナギ、ミズガヤツリ、マツバイ、クログワイ、チゴザサ、ヤノネグサ、トキワハゼ、ミゾカクシ、タウコギ、ウキゴケ、イチョウウキゴケなどの在来水田雑草の生育を確認したとされています。このうち、マルバノサワトウガラシは京都府絶滅寸前種、 ヤナギスブタは京都府選定絶滅危惧種、 ウキゴケは京都府準絶滅危惧種 、イチョウウキゴケは京都府要注目種です。
今後、里山エコツアーとしてご案内できたり、保全に一緒に活動出来る日が早くやって来ることを願っています。