金さん、いわく。
「三八の冬は、頭ももっとふかくまで埋もれたもんじゃ!」
こなぎ?たべた、か!
ああ、たべるどころか、たんぼにそんなもんはやしとるのは恥ずかしいいうてみつけしだいぬいたな。
と、万葉うたの話題などとりつくしまもありません。
が、知っておくことためしてみることも大事。
チェックしてみましたら、食べたり、いけばな素材にしたり、試み様々。
夢はや春に、、、うけあいますよ。
※たべるなら無農薬栽培水田のものを分けてもらってくださいね。
万葉いけばな研究家庄司 信洲先生のインターネット公開文化講座万葉植物から伝統文化を学ぶ、もお奨め。
夏から秋へと向かう季、水田や池や沼などには、水面に浮かぶように青紫色の可愛らしい小水葱の花を観することができます。
小水葱は、水葵の葉と花の色が似ており、水葵よりは僅かに小振りであることから、その生えている姿を見逃してしまうことがあります。
そして、その葉姿が熊笹のようであることから別名を「笹水葱、細菜葱」と名付けられ、さらに「水菜葱、事無草」とも名付けられており、万葉名は『子水葱、古奈宜、水葱』と称されております。その「菜」の字が当てられているのは野菜として往昔より愛されておりました。
その菜の情景を『万葉集』で「大伴宿禰駿河麻呂が、同じ大伴の坂上家の二嬢を娉ふ歌一首」
(春霞だった春の日の里に植えた小水葱は、まだ苗だといっていたが、もう茎も高く伸びたでしょうか)と、春の温もりが高くなるのにつれて初々しく生長している小水葱の姿を観して、二人の嬢たちも大人となり、求婚する年頃であることに比喩させて詠ぜられております。
そして、その小水葱の夏の終へる頃の生長した姿を観し、
(上野の伊香保の沼に植えた小水葱のような女の娘よ、こんなに恋に苦しきものとして種を求めたのであろうか)と、恋しき相手の女性の姿を、小水葱の清らに咲薫う花の姿などから、心が動かされていることに比喩させて切々と詠じているのです。そして、万葉人たちは植物の花や葉を衣に摺り染めにすることで、身にすっかり馴染み、願い事が叶うとされております。
図版[I]
図版[II]
さらに次の歌では、
(苗代に咲く小水葱の花を衣に摺り染めにして、衣がなじむにつれて、馴れつつある娘は、どうしてこんなに愛しいのか)と、親しみを得られた娘に対して、その愛しさが増していくことと、小水葱の清々しき姿に比喩させて詠ぜられ、この歌には『譬喩歌』即ち、物に譬えて詠まれた歌として所集されております。
その可愛らしき小水葱の図を江戸時代の『本草図譜』の図を、図版[I]で参照して見て下さい。
そして、江戸時代後期頃の美濃焼による型紙染付の小鉢に、小水葱を挿けた作品を、図版[II]で観してみて下さい。
どうぞ、この季には、お近くの水田や池などに出掛けては、瑞々しく愛くるしき小水葱の花を観しては、清らかな心を得て過ごして見て下さい
■さらに雑学
コナギは背丈の低い雑草ですが、一年生雑草のなかでは稲に最も害を及ぼす雑草のひとつです。稲への雑草害は、主に養分の奪い合いによるものと考えられています。コナギの地上部の窒素含有率は稲に比べ2倍ほどあるため、見かけの草の量に比べ稲の生育に及ぼす影響は大きくなります。地上部乾燥重量が同じであればノビエよりも稲の収量の低下程度が大きくなるという試験結果もあります。また、ある研究者は、コナギがはびこった場合に稲の分げつ芽に対する遮光の影響を指摘しています。
コナギは種子で繁殖する一年生雑草です。種子には休眠性があり、夏から秋に植物体から落ちた種子は、すぐには発芽しません。冬の間の低温に遭遇すると目が覚め(休眠覚醒)、次の年の春にはほとんどのものが発芽できる状態になります。
コナギは、発芽に際して酸素を好まない植物です。実験的に酸素濃度を変化させて発芽率をみてみると、全く酸素のない 条件で最も発芽率が高く、酸素が多くなると発芽しにくくなります。従って、水を張った水田ではよく発芽しますが、畑ではほとんど発芽がみられません。また 最近、一部で米ぬかを利用した除草が行われていますが、米ぬか除草でよく問題になるのがこのコナギです。これは、米ぬかを施用してしばらくすると米ぬか自体が腐敗し、水田水や表層の土壌に酸素が少なくなり、コナギが発芽しやすい状態になるためと考えられています。
コナギの防除には除草剤が有効
コナギは、このような特徴を持った強害草ですが、除草剤には比較的反応しやすく、一般的な除草剤で容易に防除できます。除草剤を散布する時期を逸したり、散布したあと水管理を怠ると残草しますので、除草剤はラベルの使用基準や注意事項をよく守って使用しましょう。
なお、最近コナギやミズアオイにも「除草剤抵抗性雑草」が出てきており一部の地域で問題になっています。同じ除草剤を長年使い続けてきた水田で、除草剤が効くはずの条件でも、雑草が異常に多く残ってしまったときには疑ってみる必要があります。疑わしいと思ったら抵抗性かどうかの判断とその対策について都道府県の指導機関(農業試験場など)に相談しましょう。