宮津エコツアー · 『アスペン、泣いた赤鬼の森』のモリアオガエルとヤマカガシ~生態系「藤棚」モデル~

『アスペン、泣いた赤鬼の森』のモリアオガエルとヤマカガシ~生態系「藤棚」モデル~

 

池を掘りました

DSCN0587もりあおいけ

ヤマカガシが来ました

DSCN0588ヤマカガシ

狙いはカエルです。

DSCN0591個が目カエル

さて、カエルとヘビのような食べる食べられるという自然界の食物連鎖の関係を表す生態系図、

様々にありますが、基本はこれ。

ダウンロードnoda

 

さて、この上位下位の関係を、ひっくり返して説明した図を見つけました。

20110723_2083751_tseitaikei

 

作られたのは、『サンゴ礁年漂流記』さん。

曰く

私に言わせると、この「生態系ピラミッド」というモデルは全くお粗末なもので、私はあのモデルが実は、自然の生態系の仕組みを誤解させ、ひいては、人間と自然の生態系と間の関係に関する正しい理解を妨げているのではないかと思っているのです。あるいは、生態系と人類の社会との関係に関する感覚を誤らせている。

※http://www.hokkaido-ies.go.jp/seisakuka/gyosei_shiryo/html/07hairyo.htm

具体的にどこが良くないかと言うと、

× 視覚的に極めて安定的な構図で、結果的に生態系が堅牢で壊れにくく、静的なものというイメージを与えがちである。
× 例えば「3次消費者が直接1次消費者を捕食する」などの関係を表現できず、複雑な「食物網」のイメージを伝えられない。
× 猛禽類などの高次消費者(当然「人類」も含む)が生態系ピラミッドの「頂点」で、生態系全体の支配者であるかのような誤解を与える。
× 「分解者」の位置づけと役割が表現できていない。生態系の中で、 「分解者」が中心となる「腐食連鎖(デトライタス・サイクル)」の重要性を過小評価させる。
× 生物群集間の栄養・エネルギー循環を表現できていない。「ピラミッド」上部の太陽の役割なども、正直、意味不明(苦笑)。
× 生物の「多様性」の重要性を表現しきれない。「ピラミッド」の構成種数の増減と、生態系の強靭さの変化が結びつかない。
× 生態系を構成する個々の生物群集のウェイトを表現できない。生態系内の特定の生物群集のみが異常に繁殖した場合の問題点などは、この「ピラミッド」モデルでは表現できない。

等々と、すぐにいくつもの欠点を思い浮かべることが出来ます。

つまり、私に言わせれば、こんな「生態系ピラミッド」なんて不完全なモデルに基づいて、生態系やそれを構成している生物の多様性に対して「上から目線」で見ているからこそ、ちっとも、実は私たち人類の現在の暮らしを維持してくれているのが、生物多様性に富んだ自然の生態系であることに気づかない。そしてその生物多様性と、その結果として維持されている生態系全体が、崩壊の危機に陥っていることに気づかないのではないか。ということです。

そこでこの際、生まれてこの方、半世紀近く、その人生の中で一度も、高校生物の授業さえ受けたことがないという、正にこれ以上ない“ど素人”の私ではありますが(^_^;;、その私・放蕩息子が、大胆にも、「生態系ピラミッド」に変わる新しい生態系の構造のモデルを、全世界の人類に向けて提案させていただきたくことにしました(爆)。

それがこれです(ジャーン!)。その名も生態系「藤棚」モデル(↓)。

これ結構、作るのに苦労しましてねぇ(^_^;;。でも良く出来てるでしょう?

(と、とりあえず自分で褒めておく。爆)このモデルのメリットを列挙しますと、こんなことになります。

○ 「吊り下げる」というイメージが、生態系の流動性や脆弱性・ダイナミズムを強力に表現する。
○ 視覚的に「食物網」そのものである。任意の栄養段階をスキップした関係も表現し得る。
○ 猛禽類などの高次消費者(当然「人類」も含む)は、「藤棚」の一番下に吊り下げられ、生態系の変化に最も弱い生き物であることを明示する。
○ 「分解者」の位置づけと役割が明確。「腐食連鎖(デトライタス・サイクル)」が、生態系維持に不可欠の要素であることを表現できている。
○ 太陽光から始まる栄養・エネルギー循環が一目瞭然。生態系の説明がそのまま、栄養・エネルギー循環の説明になっている。
○ 構成種の増加=「藤棚」の“網目”が密になる=生態系の強靭さの向上であり、生物多様性の重要性が分かりやすい。
○ 生態系の中の一部の生物群集のみが異常に増えると、「藤棚」の構造全体が歪む。これによって、一部の過剰な繁栄(繁殖)が生態系全体のバランスを崩すことを表現しやすい。

どうですか?
良いでしょう?
良いじゃないですか!(笑)

「生態系って何?」「生物多様性が失われるとどうなるの?」と訊かれたときに、今までの「生態系ピラミッド」を使うよりすっと、危機感が伝わりやすいとは思いませんか?(^_^;;

実はこのモデルは、単に紙の上で平面的に表現するだけでなくて、画用紙と紐、クリップなどを使って、立体的なモデルにしてあげると、生態系保全の難しさがますます実感し易くなるのではないかと思っていますので、そのうち実際に作ってみたいと思っています。出来たらまたこの『サンゴ礁年漂流記』にもアップしたいと思いますので、楽しみに?お待ち下さい(笑)。

既にお気づきの方もあるかもしれませんが、このモデルの最大のポイントは、今までは一般的に「食う-食われるの関係」と呼ばれていた生き物同士の相互関係を、(栄養/エネルギーを)「与える-与えられる/養う-養われるの関係」として解釈し直すことにあります。つまりそれは、「捕食者=強者/被食者=弱者」という、我々の無意識レベルで刷り込まれている力関係を、逆転して見て行こうという考え方です。

そしてこれは、何もへそ曲がりの私が勝手に考え出しただけの解釈でもなくて、それなりにきちんとした裏づけのある考え方でもあります。実際、かつて一般的な自然観だった「弱肉強食」というイメージで見ると、肉食動物は「生態系の上位にあって、下位にある草食動物を捕食する強者」という評価になってまいますが、一転、これを栄養/エネルギーの流れとして見直すと、むしろ草食動物が肉食動物に栄養/エネルギーを与えてくれているからこそ、肉食動物はその生命を養うことが出来ていると言える。つまり栄養/エネルギーの流れから言えば、明らかに、草食動物の方が上位(上流)にあって、肉食動物はそこから栄養/エネルギーを受け取っている下位(下流)の存在であるからです。

(これは例えば、「シマウマはライオンがいなくても困らないが、ライオンはシマウマがいないと生きていけない。」と言えば分かり易いでしょうか。それならば実は、シマウマに頼って暮らしているのがライオンであって、ライオンは、「シマウマに養われている、か弱い存在」だということになりますよね。そう考えればどこが「百獣の王」か。という話です。笑)

ですから、この“逆転の発想”に基づいて、従来の「高次消費者」をむしろ最下層に、「低次消費者」をその上に、「生産者」である植物を最上層に配置した“逆さまのピラミッド”状の生態系のモデル=私の生態系「藤棚」モデルは、従来の「生態系ピラッミド」よりむしろ、現在の自然の生きもの同士の関係の実態を上手に反映したものだと言えます。というのは、生態系の変動や変化を前提に考えたときには、「ピラミッド」の上位に位置する高次消費者ほど生態系の変化に弱く、真っ先に絶滅する“弱い”存在であるからです。
(実際、ソフトバンククリエイティブ社のサイエンス・アイ新書から上梓されている、『生態系のふしぎ』という本にも、高次消費者についてはっきり、「みんな強そうに見えても、…(中略)…生態系全体から見るともっとも弱い立場にあるのです。」なんてことが書いてあります。/同書P74)

そしてこの生態系「藤棚」モデルで、我々人類の立場を理解すれば、私たちは今やとても、「万物の霊長」などと戯けた(たわけた)ことを言い、他の動植物種を絶滅へと追い立てている場合ではありませんね。

そうです。植物から始まる「食物網」が維持している生態系の一番下で、様々な自然の生き物の複雑な関係に養われている「被扶養者」としての人類が、その生態系の食物網を構成している動植物を絶滅させてしまうことは即ち、自分自身の“養い親”を一つ一つ、失って行くことに他ならないからです。

どうですかねぇ?この生態系「藤棚」モデル(^_^;;。

もちろん、100%文系のど素人の私が、どれくらいの人に見られているのかも分からないこんなブログサイト(と自分で書いてしまうのも些か申し訳ありませんが(^_^;;)に書いているだけのことですから、これが世の中に広がっていくとは思いませんけどね(苦笑)。

ただどうも世の中には、いわゆる「常識」と言われているものをひっくり返してみたり、裏返してみたり、あるいは斜めから眺めてみたりすると、今までよりもずっとはっきりと物事の本質が見えてくることもあります。少なくとも私自身では、「生態系って何?」とか「食物連鎖って何?」と聞かれた時に、今までの生態系「ピラミッド」を見せて、

「ほら、生き物同士のつながりってのは、こんな風なピラミッドみたいになっていてね。下の土台が崩れちゃうと、そのうち、一番上に乗っかっている人間も、生きて行けなくなるんだ。」

なんて説明するよりも、

「ほら、生き物同士のつながりってのは、こんな“藤棚”みたいになっていてね。一番下の人間は、上にいる植物や小さな生き物がいなくなると、すぐに下に落っこっちゃうんだ。」

なんて説明をした方が、ずっと分かりやすいと思うのです。(しかも既に説明したように、そのほうが理に適っている。)ですから私としては、是非、今回提案した生態系「藤棚」モデルを、できるだけ多くの方に理解していただいて、生態系に対してこういう見方もできるのだということを、大事に育てて行きたいと思います。

、、、、、、、、、、、、、、、、

おそらく今夜産卵の予定だったのでしょう、写真のモリアオガエルのカップル、こともあろうに、このヤマカガシに狙われたのです。が、このとき、カメラなし、虎口ならぬ蛇口から外れた渾身の抵抗を目撃しました。

DSCN0612

翌朝の池の端には、白い泡一つ。

もう一つ。

「ヘビの一種であるヤマカガシは、実に変わった生き物だ。数百万年にわたる進化は、動物界で他に類を見ない防衛機構をこのヘビに授けた。」という記事に逢いました。攻撃はするが、攻撃もされる存在なのですね。

DSCN0594食い損なった

その解説は、次のように続きます。

「ヤマカガシは、皮膚との接触や食べることで人間に悪影響を受ける毒(ポイズン)と、牙などで体内に注入されることで悪影響を与える毒(ベノム)の両方を持つ。2つの用語は同じ意味で使われることもあるが、生物的な意味は異なる。人間が食べたとき病気になる動物はポイズンを持ち(poisonous)、噛まれたときに病気になる動物はベノムを持つ(venomous)。

厳密な定義はもっと細かい。学術誌のToxiconに掲載された2015年の論文によると、ポイズンを持つ動物は毒性の化合物を体内で生成、あるいは外部から取り込み、体内に保存、蓄積することによって、捕食者や寄生生物を撃退するための受動的な防御機構を構築する。

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ヤマカガシの場合、毒を持つカエルを食べることによって、毒を獲得する。具体的には、そのカエルが生成したブファジエノリドという猛毒(房室ブロック、心拍数低下、頻脈、さらには心停止を引き起こす)を安全に摂取できるように進化し、その毒を自らの防御目的のために蓄積するのだ。
研究によると、ヤマカガシは蓄積した毒を頸部にある毒腺から分泌し、休憩しているときでも捕食者を寄せ付けない。この毒による防御は、ヘビが体力を温存するために静止している低温下では特に重要だ。

ヤマカガシは、上顎の後方に毒牙を持つ後牙類の毒蛇だ。一般に、前牙類の毒蛇(毒の蓄積量が多く、より効率よく獲物に毒を送り込める)の方が後牙類よりも危険だと考えられているが、後牙類の毒蛇にも独特の危険性がある。

Journal of Toxicology誌に掲載された研究は、日本における1917年以降29件のヤマカガシによる咬傷例を報告しており、死亡例は稀だった。ヘビによる咬傷のほとんどは、自宅、野外あるいは路上で日中にヘビを捕まえようとした男性によるものだった。毒物が注入されると、噛まれた場所からの持続性の出血、歯茎からの出血、血尿、斑状出血、血液凝固作用への異常などの症状が起きる。」

さて、むごいというのか健気というのかこの命のドラマが演じられたのは、

人と自然の共生を参加型で守る里山公園をめざす『アスペン、泣いた赤鬼の森』。

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世屋高原の湿地湿原の生態系保全を正面に据えて現在、整備奮闘中。

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なにしろもともとが湿地湿原。「どもならずの鬼」でも悪戦苦闘!

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しかし、里山には活かせば資源イッパイ。

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世屋川流域源流の世屋高原は、『生態系サービスの本丸、牙城、幻の聖地』。

エコミュージアムつくりにいっしょにご参加いただけること、大歓迎です。

 

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