宮津エコツアー · 世屋川流域・稀少貴重生物レンジャー 第一回

世屋川流域・稀少貴重生物レンジャー 第一回

宮津天橋高F探部の協力を得て、世屋川流域・稀少貴重生物レンジャー 第一回を、行いました。

場所と対象は、世屋川流域の里、下世屋の谷の棚田の水田由来の植物。

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この谷で、その調査を専門研究者のかたにお願いしたその記録が、氏のサイトにアップされています。

京都・稀少種 – Satoyama, Plants & Nature – FC2

今回はその棚田の水田の様子と、そこで見られたスブタ属3種の形態の比較をしてみました。 画像:ヒロハイヌノヒゲ、サンショウモ、マルバノサワトウガラシ、在来水田雑草群落、

これが、11年前2013年のこと。

氏は、その時、『京都の棚田にセトヤナギスブタらしきものがあり、そこでの植物調査のお誘いがあったので行って来ました。そこはこれまで除草剤が全く使用されてこなかった棚田で、全面がサンショウモに覆われた水田もある素晴らしい場所でした。』こうおっしゃっていました。

さて、そんなことを思い出しながら、繁茂するススキをかき分けて辿り着いた目的地。

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水田の体は失われてはいました。それでも、2013年調査で確認されたもののいくつかが、かろうじて息をしている様子ながら見つけることができました。

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(↑ サンショウモ)

この間のF探の保全活動の成果であるのでしょう。

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(↑ 2019年 )

さて、「生物多様性保全上重要里地里山」に選定されている世屋川流域では30種を越える稀少動植物が確認されています。

 

これらの一つ一つがおかれている生育環境と状況は、この谷の植物群と同じなのです。

私たち人間が生きていくために必要な食料はもちろん、衣食住に関するものの多くは、生物多様性の恵みに由来しています。また、経済分野では、生態系サービスの供給源である天然の資本を「自然資本」と呼び、その持続的な利用が事業活動の持続可能性を確保するために不可欠との認識が広がりつつあります。

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(↑ ヤナギスブタ)

しかし、私たちは、事業活動や日常生活を通じて、その生物多様性に様々な影響を与えています。
生物多様性基本法に基づく生物多様性国家戦略では、生物多様性に及ぼす危機として
第1の危機:開発など人間活動による危機
第2の危機:自然に対する働きかけの縮小による危機
第3の危機:外来種など人間により持ち込まれたものによる危機
第4の危機:地球温暖化や海洋酸性化など地球環境の変化による危機
この四つに分類し、対策を促しています。

世屋川流域では、とりわけ
第2の危機:自然に対する働きかけの縮小による危機
が厳しくなり、その生育が脅かされているとあらためて感じました。

IMG_9931てるみさん

国連発表の報告書では生態系サービスを、「供給サービス」「調整サービス」「文化的サービス」「基盤サービス(生息・生育地サービス)」の4つのグループに分類しています。

私たちの「世屋川流域・稀少生物レンジャー」は、特に「基盤サービス(生息・生育地サービス)」に触れて、現地の状況を観察し保護と持続のための課題を共有していくことを目的としています、

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(↑ 2017年 下世屋湿地棚田)

レンジャーとは、JST科学技術用語日英対訳辞書によると、「ranger」は「歩き回る人または動物; レーンジャー; 国立公園管理官; レンジャ」と定義されています2

「これらの生態系サービスの保護と持続可能な利用を実現するためには、教育と意識の向上も重要である。協働が必要になると述べたように、一人の力で解決する問題ではない。協力関係を作るためにも、各人が知識や問題意識を共有していることが望ましい。一般市民や政策立案者、企業など、すべての関係者が生態系サービスの重要性を理解し、持続可能な行動を促進するためには、教育や啓発活動が必要である。」とも説かれています。

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30種を視野に入れて、宮津天橋高F探部の里山エクササイズと連携し、世屋川流域を稀少生物を中心に、今後レンジャー活動していく予定です。

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今後、月一で行う予定です、プランは案内させて頂きますので、どうぞ、お気軽にご参加ください。

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