宮津エコツアー · 12月 2013

12月 2013

右はカツラ、左がエノキ。仲良く並んでいるようですがそこは自然界。がっぷり組んで、光りの奪い合いをしています。

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ちなみに、エノキ。東アジアに分布し、北へ進出してきた木のため、広葉樹でも常緑の性質を残しているのでしょうか、12月になっても葉を落としません。
巨木になり、葉もおおく肉厚なため昆虫たちには大人気。
テングチョウ、、タマムシ、オオムラサキ、ゴマダラチョウ、ヒオドシチョウ、エノキハムシホシアシブトハバチ、エノキトガリタマバエ、エノキワタアブラムシなどがよるといいます!
熟した実も熟すと甘くて、これまた鳥たちには大人気、自然の中のはやりのレストランです。

テルミさんがふっと思い出したとおっしゃるのです。「母親は“あんこなげな”ということをよういいましたなあ」と。

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上世屋には大江房さんという優れた語り部がいらっしゃって、その語りが忠実に採録されてNHK出版からの「日本の民話」の一部をなしています。その世屋のお婆ちゃんの民話を語りたい、ついては、上世屋のおばあちゃんたちの語り口、抑揚、リズム、言葉の意味などおしえていただきたいとおっしゃる古典文学の語り部三田乙絵さんを案内して訪ねた時のことです。

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「まあこんにあんこなげーなもん、おくれるだえ!」とつかわれたそうです。手の込んだたいそうなええものという意味で、賞賛する時に用いられます。
初耳、へーえ、そうだったんですか!
さて、褒める言葉があれば、けなす言葉があります。  「いなげなもんだけど」、、、、とへりくだり、「なに、いなげなことしとるだあ」とけなす、「いなげな」が上世屋ではそれにあたります。つまらない、くだらない、簡単な、しょうもない。手を抜いたええかげんなものという意味です。
否定する一方で肯定し賞賛して人間関係は膨らみます。
「いなげな」と否定する一方で「あんこなげー」と肯定し賞賛する言葉がみつかったのは貴重なことです(^.^)
また、これらがここ独特のコアな方言かというと「いなげな」のほうはそうでもないようです、広島愛媛島根などから報告が上がっていますので、四国、中国地方で広く使われているようです。漢字表記があるそうです。【異な気な】。漢字が使えるということは、相当な知識人、教養人でしたから、今は地方の方言になっていますけれど、元は都の由緒正しい教養人がお作りになった言葉かもしれません。でも、「あんこなげーな」という褒め言葉、これにはヒットすることができませんでした。セットでは残っていないようです。肯定語と否定語とのセットの内、肯定語から埋もれるとしたら残念じゃないですか、

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時間の地層にひょこっと顔をだした褒め言葉。これを生かさない手はありません。ぜひ、つかってください、、、“あんこなげーなことようしなっただあな!”と。

で、この世屋民話の語り、聞く会をぜひ実現したいと思っています。

7日の気圧配置は西高東低。
10;37 京丹後市に現れた雲の向かう先には、丹後半島の山。

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13;07

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雲は上世屋の背後、北西の山の尾根にあらわれて、南東の方向へ押し出していきます。

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今夜は二番雪になるのかも。

「内海は子どもの頃は泳いだし、魚が多くて海の形も鯛の形をしていたんだ!」と畑仕事の手を止めて話してくださいました。

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府中は中野の「古代の道」を辿っていたときのことです。

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ほう、鯛の?

お話しされたのは、80年ここで暮らしてきたという古老。

「頭は江尻の方で口は気船場あたり、背びれが文殊から二本松にかけて、尻っぽは岩滝の方。」 なるほど、そういわれれば!

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(↑ 妙見山より)

冶金の鉱石残土の埋め立てでシッポがなくなってしまった。海の形は変わるし、水は汚れておよぐどころではないし魚もとれんようになって、採れた魚にも背骨の曲がったのが混じるようになったとも。 さて、水質のこと、漁獲のこと等ずいぶん嘆いておられたのが印象に残って、すこし阿蘇海環境の問題について見てみました。

おっしゃる通りでした。昭和30年代以降急速に水質の悪化、富栄養化にともなう植物性プランクトンや動物性プランクトンの異常増殖による有機物の分解の低下が進みました。その結果、阿蘇海には75㎝ものヘドロがたまるほどになって、年間漁獲量も20tから7tに減ったということです。

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(↑ 縦貫林道から)

「豊かで美しい阿蘇海であってほしい」そんな願いの元、改善に向けて大きく動いたのは、平成19年5月に「阿蘇海環境づくり協働会議」(京都府、宮津市、与謝野町 有識者自治会、商工会議所、観光協会、農業協同組合、漁業協同組合、森林組合、婦人会など)が立ち上がったこと。意味のあるのは農業や林業に関わっている皆さんも加わられたこと。農作業の方法と内海の富栄養化、ヘドロ形成と関係があると気づかれたのだそうです。      ヘドロの化学処理によってゼオライトという堆肥になる物質を生成することにも成功したということです。

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(↑ 画面右上が野田川)

野田川上流で鮭の産卵が確認されたことを、昔は付近の農家が20匹は軒にほしていたものだとの古老の話とともに、毎日新聞の阿部記者が報じていらっゃいました※12/5。 「鯛の海を通って鮭、野田川を遡上!」おじいさんの目からはまだまだでも、水質改善の進んでいることに野生の生き物が反応しているのだったら素敵じゃないですか(^.^)

落葉の散り敷く世屋姫神社の境内を取りまくのはツバキ、

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中にはたくさんの花をつける古木があります。

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古木には時として妖怪が棲みます。

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妖怪たちは、この穴から出入りをするといいます(^.^)。

それにしてもまあようできたこと!。

 

小野小町さんの生涯をテーマにした京丹後市小町公園は、庭園部と展示・資料部とステージ部の三つからできています。内山を借景にした公園庭園!

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都は神水苑の小町さん雨乞い伝説を模した池は内山ブナ林を映す水鏡!

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生涯を描いた紙人形による精密なジオラマ展示、

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晩年を過ごしたとされる五十河の暮らしを描いた場面には、こんなお人形も。

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さて、小町さん、伝説に彩られてしゅうえんの地と伝えるところは主なところで11箇所。存在ガ疑わしいというむきもあります。しかし、彼女と歌の贈答を行った在原業平さんや文屋康秀さんが実在されていることを思えば彼女も「実在」したと考えるのが妥当でしょう。

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ちなみに彼女の作品。

◇思ひつつ寝ればや人の見えつらむ夢と知りせば覚めざらましを

◇ 色見えで移ろふものは世の中の人の心の花にぞありける

◇わびぬれば身を浮草の根を絶えて誘ふ水あらば往なむとぞ思ふ

◇いとせめて恋しき時はむばたまの夜の衣をかへしてぞきる

◇うつつにはさもこそあらめ夢にさへ人めをもると見るがわびしさ

◇ かぎりなき思ひのままに夜もこむ夢ぢをさへに人はとがめじ

◇夢ぢには足もやすめずかよへどもうつつにひとめ見しごとはあらず

◇ うたた寝に恋しき人を見てしより夢てふものはたのみそめてき

◇秋の夜も名のみなりけりあふといへば事ぞともなく明けぬるものを

◇人にあはむ月のなきには思ひおきて胸はしり火に心やけをり

◇今はとてわが身時雨にふりぬれば事のはさへにうつろひにけり

◇秋風にあふたのみこそ悲しけれわが身むなしくなりぬと思へば

◇花の色は移りにけりないたづらに我が身世にふるながめせし間に — 『古今和歌集』

◇ともすればあだなる風にさざ波のなびくてふごと我なびけとや

◇空をゆく月のひかりを雲間より見でや闇にて世ははてぬべき

◇宵々の夢のたましひあしたゆくありても待たむとぶらひにこよ — 『小町集』 以上 ウィキペディア 参考

♪夢ぢには足もやすめずかよへども 、、、、贈られたほうの心を融かさんばかりの吐息の熱さは中島みゆきこのみです(^.^)

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しかし、どんな出自でどのような生涯だったのかは定かでないのです。紀貫之さんが「彼女の作風を、『万葉集』の頃の清純さを保ちながら、なよやかな王朝浪漫性を漂わせているとして絶賛した」ようなことから、想像は膨らむばかり(^.^)この公園は,ベールに包まれた生涯を大胆に想像し、表現しているという意味で実によくできています。旧大宮町時代に町おこしの切り札として作られた大宮町民一押し自慢の公園、ぜひ訪れてください

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金さんは、夜な夜な山を越えて、小町さんにお会いにいかれるとか、、、まさかぁ(^.^)。

 

 

 

 

 

うつくしいわあ、、、うっとり!

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日本にこの曲線を描けるお百姓が何人いらっしゃるでしょうか(^.^)

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♪消しちゃいけない その灯を消すな それでなくても 辛い夜 濡れたまンまの お前の顔が せめて名残りさ 抱いて行こ♪なぜか高倉健  「その灯を消すな」を思い浮かべました。

トントントン トントントンと古民家から。

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はてと覗くと紙漉きの作業中。 紙を漉くには繊維を細かくする必要があります。コウゾの玉を叩き棒で叩く音でした。

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40分は叩き続ける必要があるということです。トントントン トントントン、、、仕事ではあるけれど、そこは人間、単調な仕事に変化をつけ、疲れないように楽しく楽にと工夫をするはず、そこから、「太鼓」の技に発展しなのじゃないかなあと音を聞きながら思いました。

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♪お前紙なら わしゃ紙すきじゃ  とけてすかれる 身じゃわいな

♪ひるは紙すく 晩げはたたく  よさりやこうぞの 皮をむく

♪紙もすきたや かごむししたや  今日は日和じゃ 紙ほしやれ

♪苦労くろうで なろた紙も  白い肌みりゃ 気もはれる

「黒谷 紙すき唄」  伝承歌 アレンジ・梅原豊

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♪畑の谷間で紙漉く娘 器量がようて 気立てよい 嫁にやりたや 婿ほしや

「畑 紙漉き歌」 丹後の民謡 編・井上正一

 

葉の落ちた梢越しに成相寺の五重塔、

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ちなみに、塔が五重であるのには、下から地(基礎)、水(塔身)、火(笠)、風(請花)、空(宝珠)という仏教的な宇宙観を表現する意味があるということです。

また、西日が当たる時間に行くと、弁天の池に美しい姿を映すと駐車場係の方。

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確かに、逆光ではすこし厳しいです。

ところで、この成相寺、慶雲元年(704)真応上人の開山と伝えます。世屋観音の開山と同じです。今の山号は「成相山」ですが、かっては(世屋山)であったようにこの寺の檀家という方が下世屋や畑に多くいらっしゃいます。

女工哀史がみえ、一色氏の闘いが見え、渡来人が見え、千石船が見え、百姓一揆がみえ、縮緬飛脚が見え、グラマン艦載機がみえ、白銀に描くシュプールが見え、鯨が見え、戻ってきた鮭がみえる、、先史、古代、中近世、近代、現代、未来と時空を越えて、人と人とがつながって生きたふるさと丹後が見える、そんなところへ案内してくれというお題をいただいたら、、、、

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ここへご案内します。

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ただし、こんな無粋な行き方はしません、、、

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スタートはここから、そして歩いて。

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上から下へ降ります。

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エコツアーってのはそういうもんです(^.^)。

おー、ウイーナラー!わがふるさとよ。

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そして、民宿「川尻」さんの温泉と世界遺産「日本の和食」で精進落とし!

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遠方の方の宿泊は、天橋立ユースホステル(^.^)

 

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